弁護士自治を考える会

弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2022年7月号に掲載された弁護士の懲戒処分の処分変更公告・大阪弁護士会・橋本太地弁護士の懲戒処分の要旨

日弁連広報誌「自由と正義」は毎月発行です。特集の読み物も充実しています。

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処分理由・Twitterでの投稿を品位が無いとした大阪弁護士会の処分を取り消す

この処分(戒告)は取り消したことで、弁護士、大阪弁護士会の会員の品位が上がったでしょうか、表現の自由であると処分を取り消しましたが、大阪といえば、着手金取って事件処理しない。放置する。態度が偉そうで依頼者が指示などすれば放置する。そして報酬を値切れば弁護士であれば法的に処置すればよいものをTwitterで「タヒね!」と投稿する。このくらいは当然であると日弁連は大阪の下した処分を取り消した。 

弁護士が所属する弁護士会から懲戒処分を受けて日弁連に処分は不当だと審査請求する場合、2つの方法があります。

① 徹底抗戦型 所属弁護士会の処分は間違いで不当である 

② 反論はするが反省もしている。 

今回は②のタイプです。

では、こんな「タヒね!」などという大阪の弁護士にどう対処すればよいでしょうか。日弁連は一般人に弁護士の懲戒処分など関係が無い、弁護士業務に影響は出ないと思っての処分取消です。処分取消になったとしても、この事務所に行列ができるでしょうか。

私たち市民ができることは、大阪弁護士会の弁護士に依頼しない。「タヒね!」と市民に向かって馬鹿にする大阪の弁護士に依頼しないことです。依頼するしないは私たちの自由です。処分を受けて反省しTwitterなどやめて、審査請求を出さなかった方が良かったのではないかと感じています。

関係のない野次馬弁護士はよくやったというかもしれませんが中には眉をひそめる弁護士もおります。

処分取消になっても依頼者が来なかったらこの先どうします?

報道がありました。

死ねを意味する「タヒね」投稿、弁護士を戒告…依頼者と着手金トラブル 2021年3月5日
 大阪弁護士会の男性弁護士(34)が、ツイッターで依頼者に対し「死ね」を意味する隠語を投稿したとして、同会から戒告の懲戒処分を受けていたことがわかった。処分は1日付。 同会などによると、男性弁護士は、民事訴訟の依頼者と着手金の返還を巡ってトラブルになっていた2019年12月~昨年4月、実名で発信しているツイッターに「弁護士費用を踏み倒すやつはタヒね」金払わない依頼者に殺された弁護士は数知れず」などと投稿した。依頼者個人を特定する書き込みはなかった。 「タヒ」は、横に並べると「死」と読めるインターネット上の俗語。男性弁護士は同会に対し、「自らの苦しい感情をちゃかして投稿した」と釈明したという。同会は弁護士の品位を損なう非行として処分した。 男性弁護士は取材に「コメントは差し控える」としている。

引用 読売 https://www.yomiuri.co.jp/national/20210305-OYT1T50120/

橋本弁護士のツイート

橋本太地(弁護士・あなたのみかた法律事務所)

@kojin_syugi

大阪弁護士会の戒告について 3月1日付で大阪弁護士会は私に対し、「金払わん奴はタヒね」等の発言が品位を害するとし、戒告としました。 日弁連への審査請求に向けて、現在代理人と方針策定中です。 取り急ぎ、ご報告いたします

読売新聞 3月5日付

① 弁護士費用を踏み倒す奴はタヒね!

② 金払うつもりないなら法律事務所来るな。

③ 弁護士に金払わなくて平気な奴は人殺しと同じだよ。

④ 金払わん奴はタヒね!

⑤ 金を払わない依頼者に殺された弁護士は数知れず。

⑥ 正規の金が払えない言うなら法テラス行きなさい。

⑦ 大陰唇暦?

橋本太地弁護士(大阪)の懲戒処分の「議決書」(抜粋)

懲 戒 処 分 の 公 告 2021年7月号

大阪弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。

          記

1 処分を受けた弁護士氏名 橋本太地 登録番号 49200

事務所 大阪市北区西天満6-7-4 大阪弁護士ビル910

あなたのみかた法律事務所 

2 懲戒の種別  戒告  

3 処分の理由の要旨

被懲戒者は、懲戒請求者から、2019年12月9日のメールで、受任していた損害賠償請求訴訟の代理人の辞任を求められ、2020年1月19日のメールで、着手金から10万円を差し引いた残金等の返還を求められていたところ、自己の本名と共に、弁護士及び自己の法律事務所名を括弧書きで表示したツイッターで、2019年12月30日から2020年4月5日までの間に、「金払わん奴はタヒね」、「弁護士費用を踏み倒す奴はタヒね」、「正規の金が払えない言うなら法テラス行きなさい」、「金払わない依頼者に殺された弁護士は数知れず」等の「死ね」、「殺される」等の表現を用いたツイートを発信した。 被懲戒者の上記行為は、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。4 処分が効力を生じた日 2021年3月1日  2021年7月1日 

採決の公告(処分変更)2022年7月号

大阪弁護士会が2021年3月1日に告知した同会所属弁護士 橋本太地 会員(登録番号49200)に対する懲戒処分(戒告)について同人か行政不服審査法の規定による審査請求があり本会は2022年5月17日 弁護士法第59条の規定により懲戒委員会の議決に基づいて以下のとおり採決したので懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第3号の規定により公告する。

          記

裁決の内容

(1)審査請求人に対する懲戒処分(戒告)を取り消す。

(2)審査請求人を懲戒しない。

2 裁決の理由の要旨

(1) 審査請求人が、依頬者である懲戒請求者から、訴訟代理人の辞任と共に着手金の一部の返還請求を受けて、辞任手続は行ったものの着手金の返還請求を拒絶し、以下のツイート(以下「本件ツイート」という。〉を発信した行為について、大阪弁護士会(以下「原弁護士会」という。)は、本件ツイートを発信した事実が非行に該当するとして、審査請求人を戒告の処分に付した。

① 2019年12月30日

「金払わん奴はタヒね!」

② 2020年3月4日

「金払うつもりないなら法律事務所来るな。」

③ 同年3月25日

「弁護士報酬の踏み倒しを撲滅するために何ができるだろうか。」「弁護士に金払わなくて平気な奴は人殺しと同じだよ。」

④ 同年3月28日

「弁護士費用を踏み倒す奴はタヒね!」

⑤ 同年4月3日

「正規の金が払えない言うなら法テラス行きなさい。」

⑥ 同年4月3日

「金払う気ないなら法律事務所来るな!」

⑦ 同年4月5日

「金払わない依頼者に殺された弁護士は数知れず。」

(2) 本件ツイートの経緯は次のとおりである。

まず、審査請求人は、2019年12月9日、懲戒請求者から辞任を求められて、裁判所に辞任手続を行ったが、懲戒請求者は、着手金の返還について具体的な請求はしなかった。審査請求人は、その後、前記①のツイートを発信した。

次いで、懲戒請求者は、審査請求人に対し、2020年1月19日、着手金の一部の具体的金額の返還を請求したが、審査請求人が実費残額以外の金員の返還を拒絶し、着手金をめぐって紛争となったことから、同年2月23日、着手金返還拒絶の理由説明が虚偽である等として懲戒請求を行った。

その後、同年3月3日、審査請求人は、原弁護士会から懲戒請求事件の開始通知を受領し、その翌日から前記②から⑦までのツイートを発信したところ、懲戒請求者は、同年4月20日に本件ツイートを懲戒請求事由として追加した。

(3) 原弁護士会は、虚偽説明等の懲戒請求事由は認められないと判断したが、本件ツイートについては、これらが懲戒請求者に向けられたものかどうかは明らかでないとしながら、その可能性があるとした上で、本件ツイートは全て「品位を失うべき非行」に該当すると判断した。そこで、この判断の当否を検討する。

(4) まず、ツイートの内容が、特定の相手を侮辱するものであれば、当該相手の名誉を棄損する具体的事実の記載が明白でない場合にも、非行に該当すると解される。

しかし、本件ツイートの内容は、「弁護士報酬の支払いを不履行にする者」が対象者であって具体的に名指しているものではないし、懲戒請求者は弁護士費用の清算を求めているに過ぎないから、弁護士報酬を支払わない者とまでは直ちに言えない。

確かに、本件ツイートの発信に関する経緯及び事情からすれば、本件ツイートは懲戒請求者との紛争が背景となったことがうかがわれるが、審査請求人の内心の動機がそうであったとしても非行が成立するものではない。むしろ本件ツイートは、侮辱というより、自己の愚痴や不満の感情を発散させるための手段という面も認められる。

(5) 次に原弁護士会は、審査請求人の動機、目的にかかわらず、ツイートの内容自体が品位に欠けるので非行に該当すると判断したが、本件ツイートの内容は、弁護士の報酬を踏み倒す依頼者は許されないという趣旨であってその意見自体は妥当なものである。前記⑤のツイートも、法テラスの制度趣旨を貶めるきらいはないとは言えないが、虚偽の主張を含むものではない。問題は「タヒね」「人殺しと同じ」「殺された」という文言であるが、これらは軽薄で下品な表現であるものの、ツイッターは大衆が個人的意見や感情を自由に発信することが認められていること、「タヒね」は「死ね」を茶化した俗語として認識されており、文脈からしても「殺された」は被害を受けるという意味に過ぎないことからすれば、弁護士の肩書を名乗った発信であっても、いまだ懲戒処分を行うことが相当とまでは言えない。

殊に、過去の懲戒処分例においては、特定の対象者に対する名誉棄損又は侮辱行為でなく、特異な私見を公開したことだけをもって懲戒された事例は見当たらないところ、弁護士といえども、私的な発言は表現の自由の対象として広く許されるべきであり、過去の処分例との公平性を考慮することも重要である。

(6) 以上のとおり、本件はいまだ「品位を失うべき」私的な非行に該当するとまでは言えない上、審査請求人も一定の反省を示していることに鑑み、審査請求人を懲戒しないものとする。

ただし、本件ツイートは懲戒請求者に向けたものと解することもできるし、それが認定できないとしても、その内容自体が、客観的に見て弁護士としての品位を欠く内容というべきであるから、原弁護士会の判断は相当であるとの少数意見があったことを付加する。

被懲戒者の上記行為はに違反し、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

4処分が効力を生じた日 2022年5月23日 2022年7月1日 日本弁護士連合会