東京弁護士会が2023年4月14日に告知した同会所属弁護士 板倉武志会員(登録番号50962)に対する懲戒処分(戒告)について、同人から行政不服審査法の規定による審査請求があり、本会は2024年6月11日、弁護士法第59条の規定により懲戒委員会の議決に基づいて以下のとおり裁決したので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第3号の規定により公告する。
東京弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。
記
1 処分を受けた弁護士氏名 板倉武志 登録番号 50962 事務所 東京都港区西新橋1-21-8弁護士ビル408
板倉総合法律事務所
2 懲戒の種別 戒告 3 処分の理由の要旨
被懲戒者は、懲戒請求者学校法人Aとの間で、懲戒請求者A法人が設置運営する法科大学院における在学生らに対する教育指導業務に関し就業場所を法科大学院棟とする雇用契約を締結したところ2015年11月15日から複数回にわたり、法科大学院棟以外の場所で上記業務を行ったとしながら、これを懲戒請求者A法人に申告しないまま、また法科大学院棟において上記業務を行っていないにもかかわらず、これを行ったとして、上記雇用契約に基づく賃金及び交通費の支給を受けた。
被懲戒者の上記行為は弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4処分が効力を生じた日 2023年4月14日 2023年8月1日 日本弁護士連合会
記
1 採決の内容
(1)審査請求人に対する懲戒処分(戒告)を取り消す。
(2)審査請求人を懲戒しない。
2 採決の理由の要旨
(1)審査請求人は、懲戒請求者学校法人Aとの間で、懲戒請求者A法人が設置、運営する法科大学院における在学生らに対する教育指導業務に関し、就業場所を法科大学院棟とする雇用契約を締結したところ、複数回にわたり法科大学院棟以外の場所で教育指導業務を行ったとしながら、これを懲戒請求者A法人に申告しないまま、また法科大学院棟において上記業務を行っていないにもかかわらず、これを行ったとして上記雇用契約に基づく賃金及び交通費の支給を受けた。
原弁護士会は、審査請求人の上記行為が弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当するとして審査請求人を戒告の処分に付した。
(2)本会懲戒委員会が審査した結果、原弁護士会懲戒委員会の議決書が認定している事実に誤りはない。
しかしながら、懲戒請求者A法人は審査請求人との間で雇用契約書を締結し、上記業務について、勤務状況報告書等の書類に記入し、提出させる方法で管理していたが、上記業務を行う制度について運用規程等の明文化されたルールを確認することはできず、むしろ、上記制度は、上記業務に従事する者が届出をすれば裁判傍聴も含む等、自由度の高い運用であったことが認められる、懲戒請求者A法人が審査請求人に対して、就業場所が法科学院棟に限定されることについて、あらかじめ注意喚起した形跡や発覚後に改善を求めた形跡も見当たらない。
さらに審査請求人は懲戒請求者A法人から指摘されるや、賃金の不正受給に当たるとされた行為を素直に認めて、懲戒請求者A法人の求めに応じて念書を即座に差し入れるとともに、懲戒請求者A法人に対して不正受給相当額とされた額の金員を速やかに返金していること等の事情も存するところであり、これらの事情を総合考慮すると、審査請求人を戒告に付することはやや重きに過ぎ相当でないと考えられる。
(3)よって、原弁護士会のなした懲戒処分を取り消し、審査請求人を懲戒しないこととするのが相当である。
3 裁決が効力を生じた日 2024年6月17日
2024年8月1日 日本弁護士連合会