弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2011年8月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・茨城県弁護士会・野武興一弁護士の懲戒処分の要旨
処分理由・報道
2011.5.27 02:09 債務整理において債権者でなく自分や周辺者の利益を図ったなどとして、県弁護士会は26日、同日付で土浦市に拠点を置く野武興一弁護士を業務停止2カ月の懲戒処分としたと発表した。 同会によると、野武弁護士は平成21年から、企業の債務整理を担当。債権者の請求を禁止し、企業の不動産を処分するなどの債務処理を進めた。だが、(1)不動産処分に野武弁護士の息子が経営する業者が介入(2)売掛金を認識しながら回収していない(3)社長個人の代理人とも偽る-などの問題点があるという。 同会の懲戒委員会では、債務者代理人である弁護士として品位を失う非行があったと認定した
茨城検弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。
1 処分を受けた弁護士氏名 野武興一
登録番号 17776
事務所 茨城県土浦市川口1 野武法律事務所
2 懲戒の種別 業務停止2月
3 処分の理由の要旨
被懲戒者は2009年1月初旬頃、株式会社Aについて破産申立を視野に入れた債務整理事件の依頼を受け同月23日及び2月14日付で債権者に対しÅ社の債務整理を受任した旨の通知をした際に受任していないA社の代表取締役B個人の債務整理事件を受任した旨の虚偽の受任通知を発送した。被懲戒者は同年11月頃A社が所有するマンションを売却した際に売買代金2億8000万円の中から弁護士費用内金として420万円を受領し、また被懲戒者が監査役を務める株式会社Cに仲介手数料として740万2500円を受領させた。さらに被懲戒者はA社が所有する土地及び建物を売却した際に売買代金2500万円の中から仲介手数料として85万500円をC社に受領させた被懲戒者は資産と負債の状況を迅速かつ正確に把握し資産の確保を図り事案にふさわしい処理方針を立てて実行するという倒産事件を受任した弁護士として当然行うべき基本的な職務遂行を怠りÅ社に数千万円の売掛金があると認識しながら受任後1年以上に渡って特に回収の努力をせず債権者集会その他の債権者に対する説明の機会も設けず不動産売却以外は実質的にはほとんど事件処理を進めていない上、今後の事件処理の方針もいまだ曖昧であった。被懲戒者の上記行為は任意の債務整理事件において本来公正であるべき債務者代理人としての立場を忘れて被懲戒者自身若しくはその関係者の利益を図ろうとしているなか債権者の利益、立場を無視しているなどと批判されてもやむ得えないものであり弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する