弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2014年1月号に掲載された
第一東京弁護士会・山田公之弁護士の懲戒処分の要旨
第一東京弁護士会綱紀委員会が懲戒しないと議決したが懲戒請求者が
日弁連に意義申立てをし懲戒処分となったものです。
弁護士懲戒制度 懲戒の流れ(日弁連)
懲 戒 処 分 の 公 告

第一東京弁護士会が平成241010日付けでなし、同日に対象弁護士を懲戒しない旨の決定 について懲戒請求者から異議の申出があった。日本弁護士連合会は上記決定を取消して以下の通り懲戒処分をしたので懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第6号の規定により広告する。                    記

1 処分を 受けた弁護士 氏 名  山田 公之 
登録番号 33314
事務所 東京都港区赤坂22永田町法曹ビル501 しんらい法律事務所 
                                                         
2 処分の内容   戒 告    
3 処分の理由の要旨
(1)被懲戒者は2005年に弁護士登録をした実父が代表を務める法律事務所(以下本件事務所という)に勤務している。懲戒請求者は本件事務所にアルバイトとして就職した後正職員として正式採用された。
被懲戒者は当初は懲戒請求者の手を握ったり、キスをする程度であったが、 次第に本件事務所内での身体接触を含む性的な行為(以下本件行為という)をエスカレートさせた。こうした行為は一時中断期間があったものの約1間にわたり継続しておこなわれた。
(2) 第一東京弁護士会(以下原弁護士会という)は本件行為について被懲戒者の言動は対価型セクシュアルハラスメント又はパワーハラスメント(以下ハラスメントという)とは認定できず。被懲戒者の職務上の立場や地位とは関係しない私的にして対等に近い男女関係の範囲内のものとして被懲戒者の行為は弁護士法第56条第1項の「弁護士の品位を失うべき非行」に該当するとは認められず被懲戒者を懲戒しないとした。
(3)原弁護士会が判断したように懲戒請求者が長期間、多数回にわたって被懲戒者と本件行為に不快感や嫌悪感を抱きながら、やむなく従ったと認定することは困難でありこれをもってハラスメントと認定するのに困難が伴うことは否定できない。
(4)しかしながら本件は本件事務所の代表弁護士の息子である被懲戒者と事務職員である懲戒請求者という関係下で職場たる法律事務所において長期間多数回にわたりおこなわれていたものであって不正常、不適切な行為であると評価されるところであり被懲戒者の行為は弁護士としても、その職業倫理の観からも事務職員に対する対応や法律事務所における職場秩序のあり方という観点から見ても強い非難に値するものであるといわざえる得ず、弁護士としての品位を害する行為である
(5)以上総合して考慮すると、被懲戒者を懲戒しないとした原弁護士会の判断は相当ではなく原弁護士会の決定は取り消されるべきである、そして本件行為に関し懲戒請求者の側からも明確な拒絶の意思表示がなく懲戒請求者が全面的に受け入れていると誤解しやすい状況にあったこと、示談の申し入れをしていることなどを考慮に入れても被懲戒者を戒告とするのが相当である。
なお日本弁護士会懲戒委員会の委員の中には本件行為は明確なハラスメントと認定できること、明確に懲戒処分の理由とすべきとする意見、反対にハラスメントであることを否定したうえで原弁護士会と同様に被懲戒者を懲戒しないとすべきであるとする意見もあった
4 処分が 効力を生じた年月日
平成251023
平成251022日  日本弁護士連合会