弁護士の懲戒処分を公開しています
2016年6月号日弁連広報誌「自由と正義」に掲載された弁護士懲戒処分の公告・金沢弁護士会・侭田明佳弁護士の懲戒処分の要旨
弁護士2人が事件を受任して報酬を分配する約束を守らなかった。
当初の事件のあらまし
石川銀行は能登地方にあった元は加州相互銀行、バブル期には株の仕手戦でも名前が出た銀行。地元よりも関西や関東方面にいる石川出身者特に企業、自営業者に融資をしていました。
石川出身の方は関西っでは豆腐屋、風呂屋を営む人が多くバブル期には風呂屋で儲けて大阪、京都でラブホテルなどの経営に手を出していきました。
普通の銀行は融資しない内容でも石川銀行は巨額の融資を引き受けました。
バブル期はホテルを購入する場合でも億単位の融資になりました。返済方法は必要費用を含め全額融資を受け金利だけを支払う方法。土地の値上がりが続いていた時はそれでも売却をした利益で次の物件を購入し売却益を銀行に預金ができた。石川出身の方たちだけで講のような集まりを作り、ひとりが物件を購入したら石川出身者の仲間全員が連帯保証するという形でした。バブルがはじけた2001年12月30日に石川銀行の行員が融資先を廻りました。目的は普通預金に入っている預金を石川銀行の株券に交換しておきましたとの事普段から月末に石川銀行がホテル等を廻り現金を集金していました。銀行員には信頼をして通帳印鑑や通帳まで預けていました。石川銀行の株券と交換するのは銀行の増資と次の融資を必ずするという約束等がありました。12月30日に普通預金と株券の交換が行われ1月4日石川銀行は破綻しました。株券はただの紙切れになりました。石川銀行の後を引き受けたたのは北國銀行や北陸銀行、等、ホテル1件に融資された金額は億単位でしたが金利のみ支払う約束は守っていました。普通預金で融資金をある程度の返済することも可能でしたが、株券になってしまい返済もできません。後を引き受けた銀行は石川銀行が融資した物件の再評価を行いました。バブルはじけ十億円のものも2~3億円しか評価されません。評価の足りない残りを返済してくださいと銀行の厳しい取立てが始まりました。当然、債権回収機構などに送られたり競売になりました。1件がそのようなことになると石川出身の方たちが連帯で債務保証をしてきたのですからドミノ倒しのように倒産、破産、競売になり自殺者まで出しました。
そして被害者たちは銀行を相手に裁判を始めました。
弁護士2人、依頼に反して訴訟続け報酬1億円超
依頼者の意思に反して訴訟を継続し、1億2866万円余りの報酬を得たなどとして、金沢弁護士会は22日、同会所属の敦賀彰一弁護士(63)を業務停止2か月、侭田明佳 ( ままだあきよし ) 弁護士(53)を戒告の懲戒処分にした。
同会の発表によると、2人は2001年に経営破綻した旧石川銀行に対し、出資者らが02~03年にかけて損害賠償を求めた訴訟を担当。原告男性の1人から05年に訴えの取り下げを求められたにもかかわらず訴訟を継続したとしている。
(2013年3月22日14時07分 読売新聞)
(北国新聞 )
金沢弁護士会によると、2人は2005年ごろ、訴えの取り下げを要請した会社経営者に対し、取り下げると多額の報酬が発生するとの誤った情報を伝えて取り下げを断念させ、約1億3千万円の報酬金を受け取った。
懲 戒 処 分 の 公 告
金沢弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下の通り通知を受けたので懲戒処分の公告公表に関する規定第3条第1号の規定により公告する
1 処分を受けた弁護士
氏 名 敦 賀 彰 一
登録番号 19634
事務所 石川県金沢市尾張町
敦賀法律事務所
2 処分の内容 業務停止2月
3 処分の理由
(1) 被懲戒者は弁護士Aと共に懲戒請求者及び同人が代表取締役を務める会社3社から、懲戒請求者らの破たんしたB銀行に対する出資金相当額8億円を超える損害賠償請求訴訟を受任し2002年4月から2003年11月までにかけて複数の損害賠償請求訴訟を提起した。2005年2月頃懲戒請求者は弁護士Aに対し上記訴訟の取り下げの依頼をしたが被懲戒者は弁護士Aと協議して翻意を働きかけることとし弁護士Aはみなし報酬規程により少なくとも数千万円の多額の弁護士費用がかかる旨の誤った説明をし被懲戒者も共同してこれを撤回させた。2009年5月22日懲戒請求者らが第一審判決で全面勝訴しB銀行が控訴を提起した。被懲戒者は控訴審において懲戒請求者らが取下げを要請していたにもかかわらず懲戒請求者らの代理人として引き続き控訴審での訴訟を遂行し2011年4月27日に控訴審判決を受け当該判決は確定した。(2) 被懲戒者は懲戒請求者に対し上記控訴審における取下げをしないことについて十分に説明せず承諾を得ることを怠った3) 被懲戒者は上記控訴審の受任時に委任契約書を作成しなかった。
(4) 被懲戒者らは2011年6月30日懲戒請求者らに対し上記第一審の取下げ要請がなされた時点での着手金を清算すべきであったのに第一審及び控訴審の被懲戒者らの報酬金として8億円に遅延損害金を加えた12億円余りを経済的利益としてその10パーセントである1億2866万円1554 円を請求した。
(5) (4)被戒者の上記(1)の行為は弁護士職務基本規定第22条、上記(3)の行為は同規定第29条第1項に上記(4)の行為は同規定第24条に違反しいずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4 処分の効力を生じた年月日 2013年3月22日
2013年6月1日 日本弁護士連合会
懲 戒 処 分 の 公 告
金沢弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下の通り通知を受けたので懲戒処分の公告公表に関する規定第3条第1号の規定により公告する
1 処分を受けた弁護士
氏 名 侭田明佳
登録番号 25762
事務所 石川県金沢市兼六元町
侭田明佳法律事務所
2 処分の内容 戒 告
3 処分の理由
(1) 被懲戒者は弁護士Aと共に懲戒請求者及び同人が代表取締役を務める会社3社から、懲戒請求者らの破たんしたB銀行に対する出資金相当額8億円を超える損害賠償請求訴訟を受任し2002年4月から2003年11月までにかけて複数の損害賠償請求訴訟を提起した。2005年2月頃懲戒請求者は弁護士Aに対し上記訴訟の取り下げの依頼をしたが被懲戒者は弁護士Aと協議して翻意を働きかけることとし弁護士Aはみなし報酬規程により少なくとも数千万円の多額の弁護士費用がかかる旨の誤った説明をし被懲戒者も共同してこれを撤回させた。2009年5月22日懲戒請求者らが第一審判決で全面勝訴しB銀行が控訴を提起した。被懲戒者は控訴審において懲戒請求者らが取下げを要請していたにもかかわらず懲戒請求者らの代理人として引き続き控訴審での訴訟を遂行し2011年4月27日に控訴審判決を受け当該判決は確定した。
(2) 被懲戒者は懲戒請求者に対し上記控訴審における取下げをしないことについて十分に説明せず承諾を得ることを怠った
(3) 被懲戒者は上記控訴審の受任時に委任契約書を作成しなかった。
(4) 被懲戒者らは2011年6月30日懲戒請求者らに対し上記第一審の取下げ要請がなされた時点での着手金を清算すべきであったのに第一審及び控訴審の被懲戒者らの報酬金として8億円に遅延損害金を加えた12億円余りを経済的利益としてその10パーセントである1億2866万円1554 円を請求した。
(5) (4)被戒者の上記(1)の行為は弁護士職務基本規定第22条、上記(3)の行為は同規定第29条第1項に上記(4)の行為は同規定第24条に違反しいずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
被懲戒者は従的立場にあったことを考慮し戒告を選択する
4 処分の効力を生じた年月日 2013年3月22日
2013年6月1日 日本弁護士連合会
今回の懲戒処分
懲 戒 処 分 の 公 告
金沢弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下の通り通知を受けたので懲戒処分の公告公表に関する規定第3条第1号の規定により公告する
1 処分を受けた弁護士
氏 名 侭田明佳 登録番号25762
事務所 石川県金沢市兼六元町
侭田明佳法律事務所
2 処分の内容 業務停止2月
3 処分の理由の要旨
被懲戒者は2001年に破綻した株式会社A銀行の増資に関して損害を受けたとする多数の依頼者からA銀行に対する損害賠償請求訴訟事件を懲戒請求者B弁護士と共に受任し2013年4月13日勝訴判決が確定したが懲戒請求者B弁護士との間で弁護士報酬を折半して分配することを合意していたにもかかわらず、3億円を超える弁護士報酬を独占し懲戒請求者B弁護士から分配請求に応じなかった。被懲戒者の上記行為は弁護士職務基本規定第70条及び第71条に違反し弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4 処分が効力を生じた日 2016年2月23日 2016年6月1日 日本弁護士連合会
弁護士職務基本規定
第九章他の弁護士との関係における規律
(名誉の尊重)
第七十条 弁護士は他の弁護士、弁護士法人及び外国法事務弁護士(以下弁護士等という)との関係において、相互に名誉と信義を重んじる。
(弁護士に対する不利益行為)
第七十一条 弁護士は、信義に反して他の弁護士等を不利益に陥れてはならない