根拠のない訴訟提起をして懲戒処分になった例、根拠のない主張をして懲戒処分になった例。

 

自由と正義 2013年10月号 

 

氏名 佐藤敦史 登録番号10366 新井嘉昭法律事務所  戒 告
【処分の理由】
被懲戒者は20101029日頃、Aの財産管理を行っていたAの親族である懲戒請求者に対し、Aの代理人として懲戒請求者がAの現金及び預金を勝手に自己のために費消していると断定的に記載し、業務上横領罪又は背任罪で刑事告訴することを予告する内容の通知書を送付した。被懲戒者は上記通知書の作成にあたりAと旧知のBからの伝聞のみに基づいて上記通知内容を記載し裏付けとなる事実関係の調査を行わなかった。被懲戒者はAが認知症により近々成年後見制度を利用する予定であることを認識していたにもかかわらずAに面談して直接事情を聴取するなどAの意思確認のための適切な方法を講じなかった。 処分日 201425

 

 自由と正義 2014年2月号

 

氏名西浦一成(大阪)登録番号 14934 西浦法律事務所
  戒 告
【処分の理由の要旨】
被懲戒者は20056Aの訴訟代理人として懲戒請求者有限会社Bに対し不当利得返還請求訴訟を提起し、上記訴訟はAと懲戒請求者B社との間の債権債務不存在の確認等を内容とする裁判上の和解が成立して終了した。
 被懲戒者は20101221日上記和解を無効となし得るような事情は存在せず、相手方の法的地位をいたずらに、かつ、不当に害する訴訟に巻き込むものであるとの認識を有しながら、Aの訴訟代理人として懲戒請求者B社に対し上記訴訟と請求原因をほぼ同一にする不当利得返還請求訴訟を提起した。  処分日  2013117
自由と正義2016年9月号

 

氏名半田基 登録番号30404 東亜総合法律事務所
戒 告
【処分の理由の要旨】
被懲戒者は株式会社A及びその代表取締役であるBの代理人として懲戒請求者によるA社及びBの代理人として、懲戒請求者によるA社及びBに対する名誉毀損及び業務妨害の疑いのある行為を中止させる目的で、法的根拠が乏しいにもかかわらず損害賠償の請求金額を100万円とし、また、懲戒請求者がC大学の名誉教授を務めていることを指摘した上、使用者責任の要件を十分検討しないまま、懲戒請求者から支払も連絡もない場合にはC大学に対する使用者責任の追及を含めた法的措置を採らざるを得ない旨記載した2013225日付け内容証明郵便を懲戒請求者に対して送付した。  処分日2016523日 

 

 

 

自由と正義2014 2月号

 

氏 名 村嶋 修三(奈良)登録番号 13949 村嶋法律事務所 
 処分の内容    戒 告⇒業務停止1月に変更
 【処分の理由の要旨】
被懲戒者は懲戒請求者から懲戒請求者とAとの間で懲戒請求者がAに対し解決金として300万円を支払うこと等を内容とする訴訟上の和解が成立した事件について上記解決金の取戻しを相談され勝訴の見込みがなかったにもかかわらず、あたかも勝訴の見込みが多少あるかのように懲戒請求者を誤解させ事件の見通しについて適切な説明をせず2011913日上記解決金を取り戻す等を内容とする不当利得返還請求訴訟を着金35万円で受任した。被懲戒者は20111031Aに対し上記不当利得返還請求訴訟を提起した。被懲戒者は上記訴訟において上記解決金の受領は不当利得に当たると主張したのみで、和解の効力が否定されるべき理由その他不当利得の根拠について何ら主張及び立証をしなかった

 

<弁護士懲戒>勝訴困難の民事訴訟提訴で戒告処分 奈良
毎日新聞 1119()2125分配信

 奈良弁護士会は19日、勝訴の見込みのない民事訴訟を起こしたとして、同会所属の村嶋修三弁護士を戒告の懲戒処分(7日付)にしたと発表した。
 発表によると、村嶋弁護士の依頼人の男性は2004年、農地の小作権を巡り違約金を請求された訴訟で解決金を支払って和解したが、その後に和解内容を覆す資料があったとして村嶋弁護士に相談。「不当利得返還請求なら何とかなるかもしれない」という助言に従って11年10月に提訴したが、棄却された。

 

 

 自由と正義 2005年3月号   

 

氏 名 中村行雄 広島 登録番号23341
中村行雄法律事務所   処分の内容  戒 告
【処分の理由の要旨】
被懲戒者はAより強姦事件の刑事弁護の依頼を受け200157日、被害者であるBを地方検察庁に虚偽告訴罪で刑事告訴した。
そして内容の真実性について相応の根拠が全くなく、虚偽告訴の主張と関連性も薄いにもかかわらず、Bについて「柗も覚醒剤中毒患者の中毒患者の中毒症状に似た、精神障害を窮わせるに十分な状況」、「平素の非違行為(推測の域を出ないが、不純交遊、薬物濫用等)が、親たちに発覚することを極度に忌み、上記告訴人Aとのセックス遊びを種に、告訴人Aから金員取得方を企画し画策してのことか」と告訴理由書に記述し「覚醒剤中毒症状的精神障害者風」という表現や金銭取得を目的としている告訴である旨の表現を随所に繰り返した。
処分日2005116日 

 

 

 

自由と正義 2009年6月号 

 

氏名 高石 義一 登録番号 6917 (第二東京)
高石法律事務所 懲戒の種別  戒告
【処分の理由の要旨】
被懲戒者は懲戒請求者が上司Aからセクハラを受けB社から退社を余儀なくされたたとして2005318日にA社およびB社に対して提起した損害賠償請求訴訟においてB社から依頼を受けて代理人となったが2006828日に第1審の敗訴判決を受けて控訴し2007125日上告及び上告受理しない旨の決定がされて上記訴訟が確定するまでの間B社の代理人であった。
被懲戒者は上記訴訟における第1審の準備書面や控訴審の控訴理由書等において根拠となる事実の裏付けがないにもかかわらず、懲戒請求者を「美人局びよる恐喝行為」の実行者であると断定する主張や訴訟手続き上の必要性が全く認められない懲戒請求者の異性関係について懲戒請求者のプライバシーの機微に触れる事実を詳細かつ具体的に適示するばかりか懲戒請求者とその親族、知人のプライバシーを暴きその名誉感情をいたずらに損なう事項を言葉汚く述べたてた主張を行った被懲戒者のこれらの主張はいずれもその表現方法において懲戒請求者の名誉にかかわる配慮も何らされておらず懲戒請求者の名誉をいたずらに傷つけるものであって訴訟代理人として訴訟上の攻撃防御を尽くす範囲をはるかに超えるものでありかかる主張を行った
 処分日2009223

 

 
自由と正義2008年8月号

 

氏名 松本 勝 登録番号15420 栃木県弁護士会
松本勝法律事務所   懲戒処分  戒告

【懲戒処分の要旨】
被懲戒者は2006510日植木職人である懲戒請求者から70万円を渇取した容疑者で逮捕された容疑者A及びBの私選弁護人となった
同月17日被懲戒者は上記恐喝事件の原因となったA方の植木の枯死に関する民事上の紛争も併せて解決する趣旨で懲戒請求者に70万円を支払って示談を成立させたが示談書には清算条項がなかった。その後釈放されたAから改めて植木の枯死に基づく損害賠償請の相談を受けた被懲戒者は上記示談がAと懲戒請求者との間の民事上の紛争をも解決しる趣旨であり、改めて損害賠償を請求する法律的な根拠がないことを認識しながらAの依頼を受け同年712日懲戒請求者を相手方として民事調停を申立て調停が不成立となるや同年1017日損害賠償請求訴訟を提起し第1審で敗訴するや控訴した。
処分日   2008415

 

 

懲戒請求が棄却となった例

 

福岡弁護士会
離婚事件、子どもの親権の裁判になり、調査対象弁護士は夫側の代理人に就任、この子は父親が育てると申述べたが、裁判所はは母親に親権を認め養育費の支払いも夫が行う事になった。
この判決を受けて、夫側の代理人弁護士は、【この子は夫のほんとうの子どもではない】【計算があわん】と訴訟を提起した。(棄却)
母親が弁護士の所属する福岡県弁護士会に懲戒請求を申し立てたが、弁護士は依頼人の希望に沿ったまでだの主張の通りに棄却された。
自由と正義 2017年5月号

処分を受けた弁護士    山口達視 東京

  登録番号         13793
  事務所       東京都新宿区西新宿7
            山口達視事務所
2 処分の内容     戒 告
3 処分の理由の要旨被懲戒者は、2011年7月11日Aから同人が所有権移転登記名義人であった8筆の土地の所有権移転登記申請手続がなされたことに基づく、損害賠償請求の示談折衝について委任を受けたが、事実関係を十分に調査した上で、損害賠償請求が可能か否かの法律的検討を行うべき義務があったにもかかわらず、上記登記申請手続を行った司法書士である懲戒請求者がAの登記申請意思の確認を怠ったことをもって、Aが求める損害賠償請求が明らかに事実的、法律的根拠を欠いていて、通常の弁護士であれば容易にそのことを知り得たと言えるのに、必要かつ可能な事実関係の調査及び必要な法令の調査を行うべき義務を怒ったまま、同年9月3日、内容証明郵便をもって、懲戒請求者に対し、上記土地の売買代金相当額である8700万円及び遅延損害金の支払を請求した。
被懲戒者の上記行為は弁護士職務基本規定第31条、第37条に違反し、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4 処分が効力を生じた日   2016年12月28日
2017年5月1日  日本弁護士連合会