弁護士の懲戒処分を公開しています。
日弁連広報誌「自由と正義」2019年8月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告、神田雅道弁護士(埼玉)懲戒処分の変更の公告、懲戒処分の要旨
神田雅道弁護士は2018年5月に業務停止1月を受け,2回目の業務停止となりました。
今回も受任事件を適切に処理できなかったという処分理由です。
前回の処分と内容が同じで2回目なので業務停止2月になったと思われます。
神田雅道弁護士は事務所の先輩弁護士かボス弁なのでしょう、同時に事件を受けた邊見雄一郎弁護士(41682)も戒告処分を受けています。(文中A弁護士)
2012年の事案ですから勤務弁護士は新人のころになります。
62期 39704~ 2009年 63期 41985~ 2010年
先輩弁護士の教育が悪く勤務弁護士まで処分を受けたのか、それとも新人の弁護士の事件処理が不適切でボス弁まで処分を受けたのか?珍しい処分です。
埼玉弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下のとおり通知を受けたので懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規程により公告する。
記
1処分を受けた弁護士 氏名 新槇 雅道
職務上の氏名 神田雅道
登録番号 23415
事務所 埼玉県さいたま市大宮区桜木町1-8-2 NMビル6階
さくら総合法律事務所
2【処分の内容】 業務停止2月
3 処分の理由の要旨
(1)被懲戒者は、2012年11月19日、被懲戒者が雇用するA弁護士と共に懲戒請求者が代表者を務める会社から売買代金回収事件を受任したが、2015年1月29日まで訴訟を提起しなかった。
(2)被懲戒者はA弁護士に上記(1)の事件の処理を任せきりにし、懲戒請求者から多数回にわたる問い合せを受けていたにもかかわらず、これらを無視し続け、第1審で敗訴したあとも、A弁護士が懲戒請求者に対して敗訴した旨の電子メールと判決書のPDFファイルを送付したのみで、敗訴の理由、経緯等に関して懲戒請求者からA弁護士に対して再三にわたり説明を要求されたにもかかわらず、A弁護士と共に何らの対応もしなかった。
(3)被懲戒者はA弁護士に上記(1)の事件の処理を任せきりにしA弁護士が、懲戒請求者が作成したエクセルデータをそのまま証拠として提出したことのほかは、被懲戒者及びA弁護士のいずれも懲戒請求者との間で上記証拠の内容や裏付けに関する打ち合せを行わず、上記証拠の作成者である懲戒請求者の尋問すら申請することなく、弁論を終結させた。
(4)被懲戒者はA弁護士に上記(1)の事件の処理を任せきりにし、A弁護士は懲戒請求者に対する上記(2)電子メールにおいて控訴期間が2016年1月21日まであるにもかかわらず、これを怠り、同月22日であると伝えた。
(5)被懲戒者の上記行為は弁護士職務基本規程第35に上記(2)の行為は民法645条及び同規程第36条に上記(3)の行為は同法第644条に違反しいずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。4処分の効力が生じた日 2019年4月3日
2019年9月1日 日本弁護士連合会
民法 第644条【受任者の注意義務】
受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。
民法 第645条【受任者による報告】
受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない
2017年6月に戒告処分を受けましたが懲戒請求者が異議申立をし業務停止1月に変更されています。
懲 戒 処 分 の 公 告
埼玉県弁護士会が2017年1月26日付けでなし2017年1月30日に効力を生じた被懲戒者に対する戒告の懲戒処分について懲戒請求者から異議の申出があった。本会は上記懲戒処分を変更して、以下のとおり懲戒の処分をしたので懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第3号の規程により公告する。
記
1 処分を受けた弁護士 新槇雅道
職務上の氏名 神田雅道
登録番号 23415
事務所 埼玉県さいたま市大宮区桜木町1-8
さくら総合法律事務所
2 処分の内容 業 務 停 止 1 月
3 処分の理由の要旨
(1) 本件懲戒請求につき埼玉県弁護士会(以下「原弁護士会」という)の設定した事実及び判断は、原弁護士会の議決書(以下「原議決書」という)のとおりであり、原弁護士会は前記認定と判断に基づき被懲戒者を戒告の処分に付した。
(2) 日本弁護士連合会懲戒委員会が審査した結果、原弁護士会が原議決書の「当懲戒委員会が認定した事実」及び「委任契約の成立と終了」において認定した事実に誤りはなく、被懲戒者は2013年3月懲戒請求者から元勤務先会社に対する地位保全確認事件を受任しながら、その後委任事務の処理について懲戒請求者から何度も経過報告を求められているにも応答せず、また2014年12月に解任された後、懲戒請求者から説明を求められても、文書で簡単な回答をするのみで十分な説明を行わなかったものと認められる。
この点につき、被懲戒者は労働審判の申立を郵送で行ったが、裁判所からの連絡を受けて事実上取り上げたと弁明する。しかし郵送で申立を行ったことを裏付ける確たる証拠は提出されておらず、裁判所にも何の記録も残らないようなやり方で事実上の取下げが行われたと認めたと足りる客観的な証拠はない。
また日本弁護士連合会懲戒委員会において、被懲戒者は入所したばかりの勤務弁護士に労働審判の申立を指示し、その後労働審判がどうなっているか確認しなかったが、解任後、経過報告を求められ、勤務弁護士に確認したところ、上記のとおり報告を受けたので、その旨を懲戒請求者に回答したなどと述べるが、その陳述は曖昧であり、入所したばかりの勤務弁護士が被懲戒者に何の相談もなく勝手に事実上の取下げを行うとは考えらえず、さらに解任されるまでの間、懲戒請求者から経過報告を催促されているのに、勤務弁護士に状況を確認したというのも不自然であって被懲戒者の弁明は信用し難い、したがって、被懲戒者が本件について労働審判の申立を行ったとの事実は認められず、懲戒請求者に事実と異なる報告をしていたことが認められる。
(3) 被懲戒者は受任事件の処理を怠り、依頼者から再三にわたり経過報告を催促されながら、これに応答せず、解任された後も事件処理の状況等について十分な説明をしないどころか、事実と異なる報告をしていたというものであって、弁護士職務基本規程第35条、第36条及び第44条に違反し、その態様も軽微とはいえず、着手金等の清算もしていないというのであるから、原弁護士会の戒告処分は軽きに失すると、いわざるを得ない。したがって原弁護士会の処分を変更し、被懲戒者の業務を1月間停止することが相当である。
4 処分が効力を生じた年月日 2018年4月16日
2018年5月1日 日本弁護士連合会