処分理由・職務上請求書の不正使用
記
被懲戒者 竹原孝雄(登録番号12575)
登録上の事務所 東京都千代田区麹町3-4-3シェルブルー麹町301
RMC法律事務所
懲戒の種類 業務停止6月
効力の生じた日 2021年1月28日
懲戒理由の要旨
(1) 知人より紹介されたA会社の代表取締役からA会社所有の不動産に設定されている懲戒請求者甲の抵当権設定登記を抹消する必要があるが、抵当権者である懲戒請求者甲が行方不明の状態であるので、同人の所在調査の依頼を受け2016年1月13日、懲戒請求者甲から遺産分割調停事件について依頼を受けていないにもかかわらず、利用目的の内容欄に「遺産分割調停事件 相続人確定の為」と虚偽の内容を記載した住民票の写し(以下本件「戸籍の附表」という)を不正に取得し、しかもこれを懲戒請求者甲本人と自称する者に交付したところ、同人らによって運転免許証、印鑑登録証明書が偽造され、その偽造書類とともに公証人に対して提出されるなどして不正に抵当権設定登記の抹消登記手続きがなされ
(2) 不動産会社Bから懲戒請求者乙の所有の土地について同人と取引交渉するためと称して住民票の写しの取得の依頼を受け2015年10月8日、懲戒請求者乙から遺産分割調停事件について依頼を受けていないにもかかわらず、利用目的の内容欄に「相続人確定の為 遺産分割調停事件の申立事件」と虚偽の内容を記載した職務上請求書を使用して、懲戒請求者乙の住民票の写し(以下「本件住民票の写し」という。)を不正に取得し、しかもそれを不動産会社Bに交付したところ、本件住民票の写しがBらによって不正に使用され懲戒請求者乙の運転免許証、印鑑登録証明書が偽造され、その偽造書類とともに公証人に対して提出されるなどして不正に第三者に所有権移転登記手続がなされた。
被懲戒者は上記(1)の本件戸籍の附表及び(2)の本件住民票の写しを不正に取得したものであり、その結果懲戒請求者の成りすましの資料に利用され、上記(1)では抵当権設定登記の抹消登記手続がなされ、上記(2)は第三者に所有権移転登記がされるなど実際に被害が発生しており、被懲戒者のいすれの行為も弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
2021年1月29日 東京弁護士会会長 冨田 秀実