企業どうしの裁判で、原告側の社内弁護士が被告側の代理人がいる弁護士事務所に移籍したとして、この事務所の弁護士らを裁判の代理人から外すよう求めた申し立てに対し、最高裁判所は、こうした申し立てはできないとして退ける決定をしました。
最高裁の決定などによりますと、おととし、大阪市の製薬会社が特許をめぐる裁判を起こした1か月余り後に、提訴の準備を担当した社内の弁護士が退職して市内の弁護士事務所に移籍しましたが、この事務所では特許裁判の相手方のアメリカの製薬会社から依頼され、別の弁護士2人が代理人になりました。
弁護士が対立する双方に関わるのは利益が相反するおそれがあるため弁護士法で禁止され、日弁連=日本弁護士連合会では、弁護士の共同事務所単位でも利益相反が起きないよう規範を定めています。
このため、大阪市の製薬会社は、弁護士2人を相手方の代理人から外すよう申し立て、去年、知的財産高等裁判所が申し立てを認めていました。
これについて、最高裁判所第2小法廷の草野耕一裁判長は、日弁連の規範で禁止されている事務所単位での利益相反について、法律では禁止する規定がないと指摘しました。そのうえで、代理人を外す申し立てはできないと判断し、16日までに知財高裁の決定を取り消し、大阪の製薬会社の申し立てを退ける決定をしました。草野裁判長は補足意見で日弁連に対し「抽象的な規範ではなく、具体的なルールを規律することが喫緊の課題だ」と注文を付けました。
引用 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210416/k10012979631000.html
普通は弁護士の方から私はこの事件には関わることができませんのでとお断りするもんですが・・・・懲戒申立てすれば戒告もあり得る事案だと思いますが、今まで断ってきた事件もこれからは引き受けるのでしょうか?!
第二十七条 弁護士は、次の各号のいずれかに該当する事件については、その職務を行ってはならない。ただし、第三号に 掲げる事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合は、この限りでない。
一 相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件
二 相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるもの
三 受任している事件の相手方からの依頼による他の事件
四 公務員として職務上取り扱った事件
五 仲裁、調停、和解斡旋その他の裁判外紛争解決手続機関の手続実施者として取り扱った事件
岡山弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下の通り通知を受けたので懲戒処分の公告公表に関する規定第3条第1号の規定により公告する
1 懲戒を受けた弁護士
氏 名 S 登録番号 18623
2 処分の内容 戒 告
3 処分の理由の要旨
被懲戒者は2003年2月20日懲戒請求者からA大学を実質的被告とする国家賠償請求事件を受任し、同年3月訴訟を提起した。被懲戒者は、訴訟係属中である2004年2月ころ、A大学が法科大学院の学生に対する法律実務教育を実施するために同大学施設内に設置する法律事務所の所長に応募した。被懲戒者は同年4月ころには事実上の、同年6月2日にはA大学教授会の承認による所長就任の内定を得た。被懲戒者は所長就任の内定を得たことにより、上記訴訟活動を続けることには問題があると考えるようになったものの、懲戒請求者に対し上記訴訟の代理人を辞任することについて明確な説明をせず、説得を得る努力をすることもないまま、同月16日、裁判所に上記訴訟について辞任届を提出し、懲戒請求者には辞任届を提出した旨ファックスにより通知したのみであった。被懲戒者の上記行為は弁護士法第25条第3号の精神に違反し、また職務上の信義誠実義務に違反し同法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4処分が効力を生じた年月日 2007年3月26日 2007年6月1日 日本弁護士連合会