弁護士自治を考える会

弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2021年9月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・愛知県弁護士会・北口雅章弁護士の懲戒処分の要旨

処分理由・自身が開設したブログに訴訟の相手方に対する内容を投稿

有名な女性ジャーナリスト志望女性と高名な男性ジャーナリストとの民事訴訟の男性側の代理人に就任した。自身のブログに相手方女性の行動や訴訟に至る経過等を批判的に掲載。弁護士が裁判外で場外乱闘をする必要は全くない。法廷で主張するのが代理人の仕事ではないでしょうか

なお、懲戒請求者は女性ジャーナリストの側に立って懲戒を申し立てたものではありません。

懲 戒 処 分 の 公 告

 愛知県弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。

          記

1 処分を受けた弁護士氏名 北口雅章

登録番号 22464

事務所 名古屋市中区丸の内3-6-4

北口雅章法律事務所 

2 懲戒の種別  戒告  

3 処分の理由の要旨

 被懲戒者は、AB間の訴訟事件におけるAの代理人であったところ、2018年10月1日、被懲戒者が主宰する法律事務所のホームページ内に設定しているブログにおいて、Bの社会的評価を低下させるとともに、その名誉感情を害して人格権を侵害する内容の言質であり、かつ、過度に侮蔑的侮辱的な表現であって見聞きする者に不快感や嫌悪感を惹起させるに足りる表現の記載された記事を掲載して不特定多数人が閲覧し得る状態に供した。 

被懲戒者の上記行為は、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。 

4 処分が効力を生じた日:2021年3月30日 2021年9月1日 日本弁護士連合会 

報道がありました

伊藤詩織さんをブログで侮辱か 男性弁護士を戒告処分  (2021年3月31日 朝日)

愛知県弁護士会は31日、同会所属の男性弁護士を戒告の懲戒処分にしたと発表した。処分を受けたのは、ジャーナリストの伊藤詩織さんが元TBS記者の男性に損害賠償を求めた訴訟をめぐり、ブログで伊藤さんを侮辱したとされる男性弁護士とみられる。  伊藤さんは2015年に就職相談のため飲食をともにした元記者から、望まない性行為をされ精神的苦痛を受けたと訴えていた。元記者の代理人だった男性弁護士は、伊藤さんの訴えについて、自身のブログに「妄想」「虚構」「虚偽」などと記載。県弁護士会は19年9月、懲戒の審査を求める議決をしていた。  男性弁護士は「議決を受けたこと自体は真摯(しんし)に受け止めている」とした上で、「内容については承服しかねる部分もある。慎重に検討の上、適切に対応したい」とコメントした。元記者は嫌疑不十分で不起訴処分になったが、損害賠償訴訟は東京地裁が19年12月、「合意がない性行為だった」と認定し、元記者に330万円の賠償を命じた。元記者は控訴し、東京高裁で係争中。

引用朝日https://www.asahi.com/articles/ASP305WN0P30OIPE00N.html

ブログで訴訟相手の女性侮辱 弁護士に「懲戒審査相当」 「正当防衛」と反論  2019年10月産経

元TBS記者の50代男性に乱暴され、精神的苦痛を負ったとしてジャーナリストの伊藤詩織さん(30)が男性に1100万円の損害賠償を求めた訴訟をめぐり、男性の代理人を務める男性弁護士が自身のブログで伊藤さんを侮辱したとして、男性弁護士の所属する愛知県弁護士会が「懲戒審査相当」の議決をしていたことが23日、関係者への取材で分かった。これを受け、同弁護士会の懲戒委員会は懲戒審査を始めた。

 伊藤さんは平成27年4月、男性と飲酒中に意識を失い、乱暴されたと主張している。準強姦罪で警視庁に被害届を提出したが、東京地検は28年7月、嫌疑不十分で不起訴処分とした。検察審査会に審査を求めたが、29年9月、不起訴相当と議決された。

 伊藤さんが男性を民事で提訴したのに対し、男性は「合意があった」と反論。逆に伊藤さんの記者会見での発言などで社会的信用を奪われたとして1億3千万円の損害賠償を求め反訴している。訴訟は今月7日に結審し、判決は12月18日。

 関係者によると、男性弁護士は自身のブログに、伊藤さんの訴えについて「裁判に提出されている証拠に照らせば、(伊藤さんの)虚偽・虚構・妄想」と記載。被害の様子をつづった伊藤さんの手記の出版は「(男性の)名誉・社会的信用を著しく毀損(きそん)する犯罪的行為」と書き込んだ。

 県弁護士会の綱紀委員会は今年9月、「内容は(伊藤さんの)名誉感情を害し、人格権を侵害するもの」と認定し、「過度に侮蔑的侮辱的な表現を頻繁に交えながら具体的詳細に述べ、一般に公表する行為は、弁護士としての品位を失うべき非行に該当する」と判断した。

 男性弁護士は「虚偽の事実の宣伝広告によって男性の名誉が毀損されていることに対する正当防衛」と主張したが、綱紀委は「男性弁護士の主張によっても男性の社会的評価はすでに低下しているため正当防衛には該当しない」と退けた。

男性弁護士は議決を受けブログ記事を削除した。

弁護士の不正を監視する「弁護士自治を考える会」の広報担当者は「世間の関心が高い訴訟なので確信犯的にやったのだろうが、品位を欠く行為なのは間違いない」との見方を示した。 

男性弁護士は産経新聞の取材に「品位を欠くというのは評価が分かれるところで、ブログの内容は適正の範囲だと思っている。綱紀委の決定は表現の自由を侵害する」と話した。

◇【弁護士の懲戒】 弁護士に違法行為や品位に反する行為があった場合、誰でも懲戒を請求できる。懲戒は重い順に、除名▽退会命令▽業務停止▽戒告-がある。懲戒請求された場合、まず各弁護士会の綱紀委員会が調査。懲戒の可能性があると判断した場合、懲戒委員会に審査を付し、懲戒委が懲戒の是非や処分内容を決める。綱紀委から懲戒委に審査が付される割合は5%前後で、そのうち懲戒委の審査で実際に懲戒処分が下るのは6割前後とされる

引用産経https://www.sankei.com/affairs/news/191023/afr1910230060-n2.html

北口雅章弁護士(愛知)懲戒処分議決書 『伊藤詩織さんをブログで侮辱し戒告処分』愛知県弁護士会