令和2年に第二東京弁護士会の登録番号11000台、刑事弁護が得意な弁護士に申立てた懲戒請求書。
弁護士法63条・懲戒の事由があったときから3年を経過したときは、懲戒の手続を開始することができない。
とあり、除斥なら審査に入れないのですが、懲戒請求の理由についても棄却したと書いてあることがあります。
今回の二弁の綱紀の議決書には余計なことが書いてあります。
令和2年コ209号令和2年コ209号
議決書
懲戒請求者 , 個人
対象弁護士 東京都千代田区麹町 〇〇・〇〇法律事務所
●●(登録番号11×××)
主 文
対象弁護士につき,懲戒委員会に事案の審査を求めないことを相当とする。
理 由
本事案は,懲戒請求事由の一部については,除斥期間経過により,懲戒の手続を開 始することができないものと判断し,その余の懲戒請求事由については,調査した結 果,後記のとおり懲戒事由が認められないと判断した。以下,詳論する。
第1 懲戒請求事由の要旨
1 対象弁護士は,その妻及び医師らと共謀の上,懲戒請求者を死亡させてその財産を強取することを企て,懲戒請求者に対し,平成18年7月9日頃から翌19年7月頃までの間,7懲戒請求者に必要のない精神科診療及び投薬等を継続するなどした結果,懲戒請求者に中枢神経障害等の重大な傷害を負わせるとともに,
2 懲戒請求者の遺産につき対象弁護士が全権限を有することとなる遺言書の作成を強要するなどし,
3その後,所期の目的が叶わないとみるや,証拠隠滅行為をはじめ,懲戒請求者のする告訴,民事訴訟の提起及び遂行を妨害するための各種工作活動を継続するなどしており,品位を失うべき非行がある。
第2 対象弁護士の弁明の要旨
1 懲戒請求事由の1について
対象弁護士は,懲戒請求者と旧知の間柄であったところ, 平成18年7月以降, 了解不能な言動を繰り返すようになった懲戒請求者を医師に引き合わせたり,入院院先の確保に向けた助力等をしたことはあるが,その余は全て懲戒請求者の精神疾患による妄想である。
2 懲戒請求事由の2について 、 遺言というのは,平成18年か19年頃,遺産の全てを▼▼氏に遺贈した いのでその遺言の書式が欲しいという懲戒請求者の要望に応えて,そのとおりの 案文をワープロで作成し,入院中の懲戒請求者に送付したものである。
3 懲戒請求事由の3について
対象弁護士は,懲戒請求者から不当な提訴を受けた医師らの相談に乗るなどしているだけである。
第3 証拠
別紙証拠目録記載のとおり。
第4 当委員会の判断
1 懲戒請求事由の02にいう対象弁護士の所為については,懲戒請求者の主張及び前記証拠によっても,いずれも遅くとも平成19年7月頃までには終了してい るものと認められ,本件が綱紀委員会の調査に付された日である令和2年9月14日までに既に3年を経過していることから,弁護士法第63条の規定により懲戒手続を開始することはできない。
2 懲戒請求事由の3については,前記証拠によっても,懲戒請求者のいう妨害工作等の事実はいずれも認められない一方,対象弁護士が自認する所為はおよそ弁護士としての非行を構成するものではないから,対象弁護士に弁護士法第56条第1項に定める品位を失うべき非行があったとは認められない。
3 よって,主文のとおり議決する。
令和3年2月15日 第二東京弁護士会綱紀委員会第1部会 部会長 岩下圭一
『その余は全て懲戒請求者の精神疾患による妄想である』
「答弁書」
懲戒の申立てですから、対象弁護士にも攻撃、防御は認められ答弁書を提出します。
この懲戒請求者は裁判負けたので悔しいからとか懲戒出してきた、こいつはクレーマーだ!
離婚して子どもに会えないから頭がおかしくなった、等々、答弁弁明をしてくるでしょう。
今回の「懲戒請求者は精神疾患があり述べていることは妄想だ。」
これも弁護士であれば弁明してくるでしょう。
しかし綱紀委員会が議決書で対象弁護士の弁明を、そのまま書いた二弁の綱紀委員会はいかがなものかでしょうか。
議決書はこの後、日弁連、綱紀審査会にいくわけですが、そこで議決書を読んだ方は。『この方は精神疾患があり妄想で懲戒を出したのね』と理解するでしょう
「何人も」
弁護士法第58条には「何人も」弁護士に非行の疑いがあれば所属の弁護士会に懲戒の申立てができるとしかありません。『何人も』とは全ての人です。子どもでもお年寄りでも外国人でも可能です。もちろん身障者の方も文字さえ書ければよいのです。目の不自由な方であれば電話でも受け付けなければなりません、書面で5部出してこいというのは、弁護士会側が勝手に言っているだけです。本来1部でも受け付けなければなりません。
「懲戒とは通報制度」
街で違法行為を見つけて110番通報をするのと同じです。110番通報しても通報者は捜査に関わりません。懲戒も懲戒請求者は通報するだけで審査の端緒、きっかけでしかありません。110番して警官が『あなた、頭大丈夫ですか?』とは聞かないでしょう。でもサイレン鳴らして現場に行き、何もなければ帰ります。
『懲戒請求者は精神疾患があり述べていることは妄想だ!』と対象弁護士が主張してきても、精神疾患があるという証拠がない。と綱紀は否定するものです。仮に精神疾患があったとしても、『精神疾患による妄想だ、』は書く必要はありません。
「懲戒とは」
懲戒請求者の身分や出自、学歴、病歴など一切関係ありません、出された懲戒書の中に非行行為、違法行為が認定されれば処分をするだけです。
『懲戒請求者の精神疾患による妄想である。』という証拠、医師の診断書などを対象弁護士は綱紀委員会に提出されたのでしょうか。
出したとしても懲戒の審査には何ら関係ありません。
出された事案を証拠に基づいて審査する。処分するまでの証拠がないなら棄却。処分するまでに至らない。あれば処分、これで良いのです。
「第4 当委員会の判断」 で良かったのです。
これみよがしに、対象弁護士の弁明 「懲戒請求者は精神疾患での妄想だ」など書く必要ありません。
第二東京弁護士会とはこの程度の人権感覚しかない弁護士会です。