弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2025年6月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・第二東京弁護士会・高畑正子弁護士の懲戒処分変更の要旨
日弁連異議 業務停止2月72から業務停止3月
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第二東京弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。
記
1 処分を受けた弁護士氏名 高畑正子 登録番号 27569
事務所 東京都渋谷区南青山3-8-14 AUAPICE SANDO 株式会社Exponetial Design
2 懲戒の種別 業務停止2月
3 処分の理由の要旨
被懲戒者は、懲戒請求者株式会社Aの法務部門の弁護士であり、懲戒請求者A社の子会社であったB社の取締役であったところ、B社が株式会社Cに対し新株を発行するに当たり、懲戒請求者A社の取締役決議が必要であったにもかかわらずこれを経ず、懲戒請求者A社の代表取締役を解職されたDが懲戒請求者A社の代表権を冒用して上記新株発行手続に関する2020年10月26日付けのB社の株主決議書面に署名した偽造行為に協力、加担し、上記新株発行手続に関する同年11月4日付けん0B社の取締役決議書面にB社の取締役として署名し、B社をしてC社に対する新株発行をさしとめた。
被懲戒者の上記行為は弁護士職務基本規程第14条に違反し、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4処分が効力を生じた日 2024年6月24日 2024年12月1日 日本弁護士連合会
第二東京弁護士会が2024年6月19日付けでな し、同月24日に効力を生じた被懲戒者に対する 業務停止2月の懲戒処分について、 懲戒請求者 から異議の申出があった。 本会は、 上記懲戒処分を変更して、 以下のとおり懲戒の処分をしたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程 第3条第6号の規定により公告する。
記
1 処分を受けた弁護士氏名 高畑正子 登録番号 27569
事務所 東京都港区南青山3-8-14 AUSPICE SANDO OMOTE
株式会社Exponenti al Design
2 処分の内容 業務停止3月
3 処分の理由の要旨
(1) 株式会社である懲戒請求者の組織内弁護士であった被懲戒者が、 複数の懲戒請求事 由で懲戒請求され、 原弁護士会懲戒委員会 は、被懲戒者が、 懲戒請求者の代表取締役であったAによる懲戒請求者名義の株主総会決議書面(以下「本件株主総会決議書面」 という。)の偽造に加担し 懲戒請求者の取締役会決議を経ず、かつ、本件株主総会 決議書面が偽造であることを認識しなが ら、懲戒請求者の子会社の取締役としてそ の取締役会決議書面に署名し、同社をして新株発行をなさしめた行為は、 弁護士職務 基本規程 (以下「規程」という。) 第14条に違反すると認定及び判断し、 本件株主総会決議書面の偽造は、 私文書偽造罪に該当する犯罪行為であり、これに加担した被懲戒者の行為は、 弁護士への信頼を失わせる重大な違法行為であること、 懲戒請求者は上記新株発行により子会社の支配権を失うという損害も受けていることなどから、 業務 停止2月を相当とする議決をし原弁護士会は被懲戒者を業務停止2月とした。
(2) 懲戒請求者から本会懲戒委員会に新たに提出された証拠及び同委員会における被懲戒者の審尋結果も含め審査した結果、原弁護士会懲戒委員会議決書の上記認定及び判 断に誤りはないが、他の懲戒請求事由につ いて以下の事実を認定し判断した。
Aは、開催予定の取締役会(以下「本件取締役会」という。)で自らが代表取締役を 解任され、その後、Aの行為等につき調査 するために懲戒請求者の取締役会決議によ り設置されていた調査委員会による追加調 査が行われることを想定し、 A の発議によ り、被懲戒者や従業員らとの間で、本件取 締役会までにAの懲戒請求者に対する善管 注意義務違反等に関する資料やデータの消 去を行うことについて話し合い、 被懲戒者 は、Aの意図を認識しながら、 Aによる資 料やデータの消去について具体的なアイデ アや賛同する意見を述べ、 Aの上記行為に ついてAらと積極的に共謀した。そのすぐ 後に、Aの指示を受けた従業員らにより、 本件取締役会までに、懲戒請求者のサー バー上のデータの消去や書類の搬出が行わ れたのであり、 被懲戒者は A の指示による 書類の持ち出しやデータの消去に協力・加 担したと認定することができる。
そして、 Aは、当時いまだ懲戒請求者の代表取締役の地位にあったとはいえ、自身 の代表取締役解任や追加調査を予想して、 自身に都合の悪い書類の持ち出しやデータ の消去を行うことは、その権限を逸脱し 予想された追加調査を妨害するとともに、 懲戒請求者の財産である書類やデータを違 法ないし不当に処分し、 また、懲戒請求者 の業務に支障を来すおそれのある行為でも ある。 これに協力・加担した被懲戒者の行 為は、詐欺的行為に匹敵ないし準ずる行為と言え、規程第14条に違反する。
(3)上記(1)及び(2)の被懲戒者の各行為は、いずれも規程第14条に違反し、 弁護士としての品位を失うべき程度が甚だ重いと言わざ るを得ず、被懲戒者は、 いまだ反省が十分とは認められないことも併せ考慮すると、 Aが指示して消去させたデータは事後的に一部を除いて短期間に回復され持ち出した書類もAが返還に応じる旨回答している ことなどの事情を斟酌しても、 原弁護士会 の処分は不当に軽いため、 原弁護士会の処 分を変更し、被懲戒者の業務を3月間停止 することが相当である。
4 処分が効力を生じた年月日 2025年4月21日 2025年6月1日 日本弁護士連合会