弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2026年7月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・東京弁護士会・麻布 秀行弁護士の懲戒処分の要旨
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処分理由・国際ロマンス詐欺事件被害救者を募る誇大広告し依頼者には怠慢な事件処理
東京弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。
記
1 処分を受けた弁護士氏名 麻布 秀行 登録番号 39227
事務所 東京都港区西新橋1-18-6 クロスオフィス内幸町901
あすみ法律事務所
2 懲戒の種別 業務停止3月
3 処分の理由の要旨
(1) 被懲戒者は、所属事務所のホームページ に、「詐欺被害問題の多くの経験を持つ弁護士があなたの大切なお金を取り戻すサポートします!」 「詐欺返金はスピードが 勝負です!!」 「お金を取り戻します」などといった、 事業ごとの回収可能性にかかわらず回収できるとの誤解を与える誇大あたか るいは過度な期待を抱かせる広告を掲載した。
(2) 被懲戒者は、2022年8月5日、懲戒請求者 Aとの間で、 国際ロマンス詐欺事件について、示談折衝等を受任範囲とする委任契約 を締結したが、事務職員をして、懲戒請求者Aの期待する詐欺被害の回復という結果が得られる見込みがほとんどないにもかかわらず、かかる事情を一切説明することな く、早急に契約等をしなければ被害回復の 可能性が少なくなるかのようにあおった上 で懲戒請求者A を信じ込ませ、 委任契約の 締結と着手金の振込みへと誘導した。
(3) 被懲戒者は、2022年11月15日、懲戒請求者Bから、国際ロマンス詐欺による被害金 の返還請求及びそのための銀行口座凍結や 残高の調査などを受任したが、事件を受任するに当たり、口座凍結の手続以外に、具体的にどのような方法で被害回復を図って いくのかについて、被害回復が可能かどうかについて及び被害金額を回収できなかった場合のその他の手続と回収可能性についての説明を行わなかった。
(4) 被懲戒者は、懲戒請求者Bに対し、 国際ロマンス詐欺については一般的に被害回復が極めて困難というべきことを一切説明し ないまま、 事務職員をして、返金可能か否かを調べるためとして振込記録のスクリーンショットを送らせる等した上で、費用の振込口座を知らせた。
(5) 被懲戒者は、懲戒請求者Bから送信され た上記(4)のスクリーンショットにより振込 送金がなされた事実を確認したにとどま り、振込みに至った具体的な経緯について 十分な調査を行わなかった。 また、被懲戒 者は、これにより、2022年11月16日、誤っ 請をした。 て懲戒請求者C株式会社の預金口座凍結申請をした。
(6) 被懲戒者は、2022年12月30日、懲戒請求 者Dから、 投資詐欺事件の示談折衝等を受任したが、 非接触型の詐欺被害事件である から、 一般的に被害金額の回収が困難であり、 弁護士費用以上の成果を得られない可能性があることについて十分な説明をしなかった。
(7) 被懲戒者は、2023年10月10日、懲戒請求者Dに対し、被害回復分配金額が分かり次第報告すると約束し、同月から同年11月に かけて分配金が振り込まれたが、 同年12月 4日、懲戒請求者Dに対して分配金はなかったと伝え、 2024年3月に分配金の振込 みに気付いた懲戒請求者Dから指摘を受けるまで分配があったことやその金額について報告をしなかった。
(8) 被懲戒者は、懲戒請求者Dが振込先として挙げた口座のうち口座について弁護士会照会の申出をせず、申出を行った口座についても口座名義人の氏名等を特定できたのか否かについて報告せず、訴訟提起の選択肢を提示するのみで、口座名義人との間で示談交渉を行おうとしなかった。
(9) 被懲戒者の上記(1)の行為は弁護士等の業 広告に関する規程第3条第1号から第3号 までに違反し、上記各行為はいずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての非行に該当する。ན
4処分が効力を生じた日 2026年2月20日 2026年7月1日 日本弁護士連合会
https://www.toben.or.jp/know/iinkai/children/libra/
本会は下記会員に対して、 弁護士法第57条に定める懲戒処分 をしたので、お知らせします。
記
被懲戒者 麻布秀行 (登録番号39227)
登録上の事務所 東京都港区西新橋1-18-6 クロスオフィス内幸町901 あすみ法律事務所
懲戒の種類 業務停止3月
効力の生じた日 2026年2月20日
懲戒理由の要旨
被懲戒者は
1 令和4年8月頃、懲戒請求者Aとの間でいわゆる国際ロマ ンス詐欺にかかる懲戒請求者Aの被害回復について委任契約を締結したものであるが
(1) 被懲戒者が所属する事務所のホームページ上に 「15分で特定調査を終わらせる」 「詐欺被害問題の多くの経験を持つ弁護士があなたの大切なお金を取り戻すサポートをします」「お金を取り戻します」などと掲載し、 ホームページを見た者をして事案毎の回収可能性にかかわらず詐欺による 被害金の回収ができるとの誤解を与える誇大あるいは過度の期待を抱く広告を掲載した。
(2) 被懲戒者の監督下にある事務職員をして、懲戒請求者Aに早急に委任契約を締結しなければ被害回復の可能性が 少なくなるように信じ込ませて委任契約の締結及び着手金の支払いへと誘導した。
2 同年11月頃、 懲戒請求者Bとの間でいわゆる国際ロマンス 詐欺にかかる懲戒請求者Bの被害回復について委任契約を締結したものであるが
(1) 懲戒請求者Bから受任するにあたり、口座凍結以外に具体的にどのような方法で被害回復を図っていくのか、被害回復が可能であるのか、 その回収可能性などについて説明をしなかった。
(2)被懲戒者の監督下にある事務職員をして、返金可能であるかどうか調べるとして懲戒請求者Bに対して国際ロマンス詐欺による振込のスクリーンショットを送らせた上で、 暗号資産のプラットフォームの情報を懲戒請求者Bに伝え、その後弁護士費用の振込口座を懲戒請求者Bに案内しており、 被害回復の見込みがあるように装って事件を受 任した。
(3) 振込のスクリーンショットを送付させる以外に詐欺被害の経緯について何ら確認することなく、事件処理に当たって 必要かつ可能な事実関係の調査を行わなかった。
(4) 懲戒請求者Bが送付した口座のスクリーンショットの中 には、国際ロマンス詐欺による振込とは関係のない懲戒請求者Cの口座が含まれていたところ、 事実関係の調査を怠った結果、懲戒請求者Bが被った詐欺被害とは関係のない懲戒請求者Cの口座についても取引停止等を求める 情報提供を行って使用できない状態にした。
3 同年12月頃、懲戒請求者Dとの間で同人が被害を受けた LINE上での投資詐欺の被害回復について委任契約を締結したものであるが
(1) 委任契約締結に際し、非接触型詐欺であり、一般的には被害金の回復が困難であり、懲戒請求者Dが支払う弁護士費用以上の成果が得られない可能性があることを説明すべきであったのにその説明をしなかった。
(2) 懲戒請求者Dに対し、 被害回復分配金額が分かり次第報告すると約束しており、 令和5年10月から同年11月に かけて分配金が支払われたにもかかわらず、令和6年3月 に懲戒請求者Dから分配金の振込の事実について指摘を受けるまで、何ら報告をしなかった。
(3) 懲戒請求者Dから詐欺の加害者との示談折衝、懲戒請求者Dが振り込んだ口座の名義人の氏名・連絡先等の調査を受任したにもかかわらず、懲戒請求者Dが振込先としてあげた口座のうち1口座については弁護士法第23条の2に基づく照会の申し出を行わず、 また同条に基づく照会の申し出を行った口座についても懲戒請求者Dに対して 口座名義人の氏名が特定できたのかなどについて報告をせ ず、かつ、特定できた口座名義人との示談交渉を行おうとしなかった。
上記被懲戒者の各行為は、弁護士等の業務広告に関する規程 第3条、弁護士職務基本規程第29条、 第36条、 第37条に違反する行為であり、 弁護士法第56条第1項に定める品位を失う べき非行に該当する。
被懲戒者の各行為は、非接触型詐欺の被害回復は一般的に困難であり、詐欺被害者との間で委任契約を締結して弁護士費用の支払いを受けながら被害金をほとんど回収できないという 弁護士による二次被害ともいうべき問題が社会問題化している中において行われたものであり、その責任は重いと言わざるを得 ない。
2026年2月26日 東京弁護士会会長 鈴木 善和
