日弁連会長選 様相一変、熱い論戦 仙台で公聴会
日弁連の会長選(6日公示、2月5日投開票)が、かつてないほど熱気を帯びている。
「著名弁護士」と「主流派」の一騎打ちとなり、信任投票の色彩が濃かった過去の選挙とは一変。
有権者の弁護士らが候補者の理念や政策をただす公聴会などで論戦を展開し、集票にしのぎを削る。
仙台市での公聴会では、熱戦の底流にある日弁連の課題も浮き彫りになった。
立候補しているのは、ともに東京弁護士会所属の宇都宮健児氏(63)と山本剛嗣氏(66)。
宇都宮氏は多重債務など消費者問題の第一人者で、市民の間でも知名度が高い。
山本氏は2008年度に日弁連副会長と東京弁護士会長を務め、会務に精通している。
会長選は全国約2万8800人の弁護士全員が投票権を持つが、
従来は有権者の多い東京の3弁護士会と大阪弁護士会の会長経験者が就任してきた。
仙台市青葉区の仙台弁護士会館で18日に開かれた公聴会ではこの慣例に対し、弁護士の1人が「さまざまな人が自由に発言、議論する中で選ばれるべきだ」と訴えた。
両氏が重視しているのは法曹人口の問題。政府は司法試験合格者を2010年までに
年間3000人に増やし、法曹人口を18年に5万人とする方針を掲げている。
仙台の公聴会で、宇都宮氏は「司法基盤の整備状況や法的需要を踏まえ、
適正人口を検討することなどをしないまま増やしたことで、ひずみが生じている」と指摘。
山本氏は「政府の目標は現実的でも妥当でもない。現状の年間約2000人にもこだわらず、
さらなる削減で対応すべきだ」と強調した。
仙台市の男性弁護士は「山本氏は東京など大規模弁護士会の支援があり、地方では宇都宮氏
への支持も少なくない。両氏の主張に極端な開きはないが、課題に切り込み、
改善できる新会長の誕生を期待したい」と話している