弁護士自治を考える会
弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2010年5月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・東京弁護士会・木村和俊弁護士の懲戒処分の要旨
処分理由・高額な後見人の報酬を請求
懲 戒 処 分 の 公 告
東京弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。
記
1 処分を受けた弁護士氏名 木村和俊
登録番号 15869
事務所 東京都千代田区有楽町1-7木村綜合法律事務所
2 懲戒の種別
3 処分の理由の要旨
3 処分の理由の要旨
(1) 被懲戒者は、妻である同じ事務所の弁護士Aと共に2004年8月ころBの成年後見人開始申立についてBの子である懲戒請求者Cから依頼され、これを受任したが報酬等の説明せず委任契約も作成しなかった
(2) 被懲戒者は2001年5月ころB、C及びCの子Dらから賃貸していた土地の更新料についての契約締結交渉の委任を受け、交渉は概ね 合意に達したがDらは合意書等に必要な署名捺印をしなかった。被懲戒者はCらに対し実際の作業期間が比較的短かったこと、 被懲戒者らの事務所の報酬基準のみなし成功報酬規定の適用が疑問視されること等を併せて考えると不当に高額と評価される着手金及びみなし成功報酬を請求したまた被懲戒者は2005年8月6日Bが死亡したため、公正証書遺言の指定に従いBの遺言執行者に就任し遺言執行を行ったが、その途中でBの新たな自筆遺言証書の存在が明らかになり、後にこれを基にDからCらに対して提起された所有権移転登記手続請求訴訟の第一審判決でCらは敗訴判決を受けた。被懲戒者はこれらの事情やCらが被懲戒者の計算した金額を了解したとは認められない事等から考えると不当に高額と評価される遺言執行手数料を請求した
(3) 被懲戒者はBの遺言執行者であったにもかかわらずBの相続人間の遺産をめぐる前記所有権移転登記手続請求訴訟についてCらの訴訟代理人であるAと共にCと交渉する等、代理人と同様に立場で関与した
(4) 被懲戒者の上記(1)の行為は弁護士職務基本規定第29条及び
第30条に違反し上記(2)の各行為は同規定第24条に違反し上記(3)の行為は遺言執行の公正さを疑わしめる行為でありいずれも 弁護士法第56条第1項に定める品位を失うべき非行に該当し懲戒請求が取り下げられている事情を考慮しても懲戒に処するのが相当である
4 処分の効力の生じた日 2010年2月2日 2010年5月1日 日本弁護士連合会
弁護士職務基本規定
第三節 事件の受任時における規律
(受任の際の説明等)
第二十九条
(受任の際の説明等)
第二十九条
弁護士は、事件を受任するに当たり、依頼者から得た情報に 基づき、事件の見通し、処理の方法並びに弁護士報酬及び費用について、 適切な説明をしなければならない。
2 弁護士は、事件について、依頼者に有利な結果となることを請け合い又は保証してはならない。
3 弁護士は、依頼者の期待する結果が得られる見込みがないにもかかわらず、その見込みがあるように装って事件を受任してはならない。
(委任契約書の作成)
第三十条
2 弁護士は、事件について、依頼者に有利な結果となることを請け合い又は保証してはならない。
3 弁護士は、依頼者の期待する結果が得られる見込みがないにもかかわらず、その見込みがあるように装って事件を受任してはならない。
(委任契約書の作成)
第三十条
弁護士は、事件を受任するに当たり、弁護士報酬に関する事項を
含む委任契約書を作成しなければならない。ただし、委任契約書を作成することに困難な事由があるときは、その事由が止んだ後、 これを作成する。
(弁護士報酬)
第二十四条
第二十四条
弁護士は経済的利益事案の難易時間及び労力その他の事情に照らして適正かつ妥当な弁護士報酬を提示しなければならない。