弁護士自治を考える会

弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2010年8月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・長野県弁護士会・上條剛弁護士の懲戒処分の要旨

処分理由・建築瑕疵等に基づく、損害賠償請求事件の処理が不適切

 

懲 戒 処 分 の 公 告

 長野県弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。

          記

1 処分を受けた弁護士氏名 上條剛

登録番号 19477

事務所 長野県松本市蟻ケ崎

上條剛法律事務所

2 懲戒の種別 戒告

3 処分の理由の要旨

被懲戒者は懲戒請求者から建築瑕疵等に基づく、損害賠償請求事件の委任を受け2005年5月16日A株式会社に対し請求元本を6000万円余とする損害賠償請求訴訟を提起した上記訴訟係属中の2007年5月8日懲戒請求者とA社との間でA社が懲戒請求者に対し上記請求元本全額を同月9日に支払うことなどを内容とする和解が成立し被懲戒者はこれに立ち会ったが同月10日被懲戒者は懲戒請求者から電話で上記和解の内容が被懲戒者の関係者Bらの意向に添わず同人から強く叱責されたとの報告を受けた。そこで被懲戒者はBに対して謝罪したが同人から相当厳しい口調で今後の協力は難しくなるなどと言われた、被懲戒者はBらとの人間関係を失うかもしれないと危惧し2007年5月11日懲戒請求者に頻繁に架電して被懲戒者が窮地に陥っている状況等説明し弁護士を辞めなければならないなどと自己が極めて差し迫った状況下にあることを訴えたうえ懲戒請求者に対し既に同人がA社から受領している和解金を早急に返還するよう要請した。

この要請に従い懲戒請求者は同日和解金の返還措置をとった被懲戒者の上記行為は弁護士基本規定第21条及び第22条第2項に違反し弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する、

 4 処分の効力の生じた日 2010年4月16日 2010年8月1日  日本弁護士連合会

 

弁護士職務基本規定」
(正当な利益の実現)
第二十一条
弁護士は、良心に従い、依頼者の権利及び正当な利益を実現するように努める。
(依頼者の意思の尊重)
第二十二条
弁護士は、委任の趣旨に関する依頼者の意思を尊重して職務を行うのとする。