弁護士の懲戒処分を公開しています

「日弁連広報誌・自由と正義」2017年4月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・大阪弁護士会・井垣康弘弁護士の懲戒処分の要旨

懲戒処分の理由
神戸児童殺傷事件の担当裁判官が退官後弁護士になり、裁判官として扱った事件の内容を月刊誌に投稿したことが守秘義務違反にあたる。

 

綱紀の議決が出た2016年7月に報道がありました。


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読売新聞 2016年7月30日 朝刊

神戸児童殺傷の決定全文提供「元裁判官は懲戒相当」

神戸市須磨区で1997年に起きた連続児童殺傷事件の加害男性(34)を医療少年院送致とした神戸家裁の決定全文を「文芸春秋」に提供したとして懲戒請求された井垣康弘弁護士について、大阪弁護士会綱紀委員会が「懲戒相当」と議決したことがわかった。
井垣弁護士は同家裁裁判官として決定を出しており、綱紀委は「裁判官としての守秘義務に違反する」とした。
議決は12日付。同弁護士会懲戒委員会が今後審査し懲戒処分にするか決める。
議決書によると、井垣弁護士は裁判官を辞めた後、決定文全文を提供し「文芸春秋」2015年5月号に掲載された。加害男性が手記「絶歌」を出版した後の同年8月号には「元少年A『絶歌』に書かなかった真実」と題する記事も書いた。文芸春秋から対価は得てしないという。
綱紀委は議決書で「裁判官は退職後も守秘義務を負う」とし公表されなかった男性の成育歴や犯行前後の心情などが決定全文や記事に詳しく記載されていると指摘。「将来の更生も含めた少年法の趣旨に反し事件関係者に多大な苦痛を与えかねない。法曹としての倫理に反し、弁護士としての品位を失わせる非行にあたる」とした。
井垣弁護士は綱紀委に「男性がどう贖罪すべきか社会に問題提起したかった」と説明したが綱紀委は「動機は更生への真摯な気持ちに基づくが(守秘義務違反を)正当化できない」と判断した。
井垣弁護士は29日読売新聞の取材に「納得できない、決定文は社会全体で共有し、再発防止を考える必要があり後悔していない」と話した。
以上 読売新聞のスクープ
この懲戒請求は2回出されています。文芸春秋に掲載された1回目にすぐに懲戒が出されて、その後に井垣弁護士が再度投稿したので2回目の懲戒請求がなされています。2つの懲戒請求を一つとして議決されています。
井垣弁護士は懲戒請求の弁明書において、事件の内容の公開は社会にとって有意義であり必要なものであると述べておられます。
2回目の懲戒請求書(抜粋)

懲戒請求書(抜粋)2回目

平成27105     大阪弁護士会 御中

対象会員
事務所 〒560-0024 大阪府豊中市末広町
氏名 井垣康弘
懲戒の事由
対象会員は、自らが執筆した「元少年A『絶歌』に書かなかった真実」と題する記事を掲載した雑誌「文芸春秋」20158月号の出版に執筆という形で関与した。執筆について、神戸家裁はさる平成27714日付で対象弁護士に対し「同記事の中では当庁で審理した少年保護事件に関する具体的な記述がされているところ、このような記事を執筆し公にすることは、裁判官が退職後も負っている守秘義務に反する行為である上、少年法222項により非公開とされている少年審判に対する信頼を著しく損なうものであり、また、事件関係者に多大な苦痛を与えかねないものである。貴殿には、雑誌「文芸春秋」20155月号の記事に関し、410日付けで抗議し、更に守秘義務に反する行為をしないよう申入れをしたにもかかわらず、今般の記事を公にしたものであり、誠に遺憾である。よって、書面をもって抗議するとともに、今後、更に守秘義務に反する行為をすることのないよう適切な対応をとられるよう求める。」と申し入れている通りである。

懲 戒 処 分 の 公 告
 

大阪弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告公表に関する規定第3条第1号の規定により公告する

1 懲戒を受けた弁護士

氏 名          井垣康弘

登録番号         32533

事務所          大阪府豊中市末広町
             井垣康弘法律事務所

            

2 処分の内容      業務停止3月  

3 処分の理由の要旨
(1)被懲戒者は、殺傷事件について、非行を行った少年Aの保護事件を担当した裁判官であったところ、退官して弁護士登録をした後、発行部数が多数に上る著名な月間誌に掲載されることを意図して、Aの成育歴等、既に家庭裁判所が開示していた少年審判の決定要旨より詳しい認定事実の記載された決定要旨より詳しい認定事実の記載された決定の全文を提供し、上記決定の全文は2015年4月に出版された上記月刊誌に掲載された。
(2)被懲戒者は、Aが執筆した書籍が2015年6月に公刊されたことを受けて、非公開の審判廷におけるAの供述や態度等、上記事件の担当裁判官として初めて知り得た事実が少なからず記載された記事を執筆し、上記記事は同年7月に出版された上記月間誌に掲載された。
(3)被懲戒者の上記行為は、いずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4処分が効力を生じた年月日  2016年12月13日

2017月4月1日  日本弁護士連合会