弁護士の懲戒処分を公開しています。
日弁連広報誌「自由と正義」12月号に公告として掲載された裁決(処分取消公告)香川県弁護士会・西山司朗弁護士の懲戒処分取消の理由の要旨
これは2016年4月13日に戒告処分を受けた被懲戒者が処分は不当であると日弁連に審査請求を出し、認められ処分が取消となったもの
取消しされた懲戒処分
懲 戒 処 分 の 公 告
香川県弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告公表に関する規定第3条第1号の規定により公告する
1 懲戒を受けた弁護士
氏 名 西山司朗 登録番号 15089
事務所 香川県高松市紺屋町5 西山司朗法律事務所
2 処分の内容 戒 告
3 処分の理由の要旨
被懲戒者は2010年10月1日懲戒請求者らから損害賠償請求事件を受任し2011年11月25日に訴訟を提起したが懲戒請求者らが被懲戒者の行った調査結果に不満を持ち更なる調査を要望したにもかかわらず、懲戒請求者らに対し、主張立証方針について十分な報告と説明を行わず、懲戒請求者らの意向を尊重した立証方法の協議、調査等の訴訟活動を行わなかった。また、被懲戒者は懲戒請求者らの意思に反する証人尋問申請や証拠提出等を行った。
被懲戒者の上記行為は弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。4処分が効力を生じた年月日 2016年4月13日
2016年8月1日 日本弁護士連合会
裁決の公告(処分取消)
香川県弁護士会が2016年4月13日に告知した同会所属弁護士 西山司朗 会員(登録番号15089)に対する懲戒処分(戒告)について同人から行政不服審査法の規定による審査請求があり、本会は2017年10月17日、弁護士法第59条の規定により、懲戒委員会の議決に基づいて、以下のとおり裁決したので懲戒処分の公告及び公表に関する規程第3条第3号の規定により公告する。
記
1 採決の内容
(1)審査請求人に対する懲戒処分(戒告)を取り消す。
(2)審査請求人を懲戒しない
2 採決の理由の要旨
(1)香川県弁護士会(以下「原弁護士会」という)は損害賠償請求訴訟を受任した審査請求人が、懲戒請求者らに十分な報告と説明を行わず、懲戒請求者らの意向を尊重した立証主義の協議、調査等の訴訟活動を行わなかった、と判断し審査請求人を戒告の処分に付した。
(2)しかし日本弁護士連合会懲戒委員会が審査した結果、審査請求人は建築士の専門的調査、意見に基づき訴訟活動を行っている上、別の建築士にも依頼を打診していたもので、加えて鑑定や懲戒請求者の尋問による立証を考えていたことが認められる。
原弁護士会は懲戒請求者らが調査を求めていた「A機構」に代わる立証方法を協議、調査すべき義務があったとするが、同機構は自動車事故の衝撃については専門的知見を有することがうかがえるものの、本件の争点は、事故により塀に加えられた衝撃が、建物にどの程度伝わり建物を損壊したかといえるのか、であるから、同機構に依頼するのと同等の立証方法を模索しても本件訴訟において容易には適切な立証を考え難い。審査請求人が代理人を解任された後、他の代理人が就いて、結局、塀と建物の一体性(建物への衝撃が大きかったこと)立証できず、塀の損傷についての損害賠償のみが認められていることや本件訴訟の原因となった衝突事故の態様等に照らせば審査請求人の訴訟活動が不十分であったとはいえない。
(3)したがって原弁護士会の判断には誤りがあるといわざるを得ず、審査請求人を戒告処分とした原弁護士会の処分を取消し、審査請求人を懲戒しないこととするのが相当である。
3 採決が効力を生じた日 2017年10月20日
2017年12月1日 日本弁護士連合会
所属弁護士会懲戒委員会と日弁連懲戒委員会の判断が180度変わってしまいました。
当会は、この懲戒について調査を行っています。後日記事にします。
なお、こういう事もありました。
日弁連官報訂正公告