東京弁護士会会報【リブラ】10月号が届きました。

(ネット版には懲戒処分の要旨は掲載されません。)
https://www.toben.or.jp/message/libra/  10月5日現在更新されていません

              

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東京弁護士会の会員(弁護士)が受けた懲戒処分の理由の要旨が掲載されています。この後に日弁連広報誌「自由と正義」にも掲載されます。「自由と正義」よりは詳細に処分の内容が書かれています。リブラ4月号以来久々の懲戒処分の公表です。業務停止以上の場合のみ掲載されるようです。

(平成30年9月11日付官報公告)
太郎浦勇二弁護士の処分理由の公表
登録番号15828の大ベテランです。過去に処分がなく初めての処分で業務停止の最高である業務停止2年です。預託金をなかなか返還しなかったという処分理由ですが、返還をしている場合に業務停止2年は過去にはありませんでした。

 

懲 戒 処 分 の 公 表
本会は下記会員に対して、弁護士法第57条に定める懲戒処分をしたのでお知らせします。

           記

被 懲 戒 者     太郎浦 勇二(登録番号 15828)

登録上の事務所     東京都千代田区九段北4-1-5
            太郎浦法律事務所

懲 戒 の 種 類   業務停止2年

効力の生じた日     2018年8月21日

懲戒理由の要旨
1、被懲戒者は、懲戒請求者Aから2013年4月1日①Aの財産の管理処分及び死後の遺言書作成執行等に関する一切の件並びに②Aの配偶者であるBの相続財産等の処理及び遺産分割に関する一切の件を受任し、Aの財産については2013年10月30日までに7780万7079円を、Bの相続財産については2013年11月5日頃までに8029万2786円を受託した。
被懲戒者はこのうち2014年7月15日までにAの妹らに対し、Aの旅行代等として530万円を2013年12月4日にBの相続人らに対しBの遺産分割協議に基づいて1637万8818円を支払った。
2、Aの妹らの申立てに基づき2014年11月7日、Aの成年後見人にC弁護士が選任され、C弁護士は被懲戒者に対し上記①②の弁護士報酬を減額すること、A及びBの通帳、証書及び受託した現金の返還を求めたが、被懲戒者は言を左右にしてこれに応じなかった。
そこでC弁護士は、被懲戒者に対し、被懲戒者が支払った上記の金員合計2167万8818円及び正当な報酬額457万0644円を控除した残金1億3185万0403円及びその遅延損害金を支払えとの判決を言い渡した。
その後、被懲戒者が控訴したが東京高等裁判所は、同年9月27日に控訴を棄却するとの判決を言渡しこの判決は被懲戒者が2018年3月22日に上告受理申立てを取り下げたことによって確定した。
その後、被懲戒者は東京弁護士会懲戒委員会において審査中であった2018年3月22日にC弁護士と和解し1億3185万0403円を同弁護士に返還した。
3、上記各判決で認定されているとおり、被懲戒者の行為はAから受託した預り金を分別管理しておらず、被懲戒者の資産と混在した状況で保有し、この一部を他に流用したことが認められC弁護士が被懲戒者に返還を催告した日の翌日から約3年2か月後に懲戒手続を意識して示談するまでの受託した現金を返還しなかったのであるから、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。 

2018年8月21日 東京弁護士会長  安井 規雄