処分を取った懲戒請求者とは・・・

弁護士に非行の疑いがあれば、所属弁護士会に懲戒を申し立てることができます。
(懲戒の請求、調査及び審査)
弁護士法第五十八条 何人も、弁護士について懲戒 の事由があると思料するときは、その事由の説明を添えて、その弁護士の所属弁護士会にこれを懲戒することを求めることができる。
とあります。
 
懲戒請求を申立てできる人は「何人も」です。
「何人も」について弁護士会、日弁連は何ら規定を設けていません。子どもからお年寄り、職業、学歴は問いません。一般人、普通人として常識がある人が懲戒をできるとも書いてありません。一般人、普通人の定義など論ずることもなく「何人も」です。弁護士の非行を知った人なら「誰でも可能」という意味です。当然、当時者でなくてもかまいません。
 
懲戒を出された弁護士が言う「懲戒請求を出す前に棄却になることを、普通の感覚なら分かっているだろう」ということも問題にされません。その判断は対象弁護士ではなく綱紀委員会が行うものです。弁護士は出されたものに『棄却』を求めるとだけ書けば済むことです。
 
当会には「何人も」の方からの懲戒請求書が送られてきますが、手書きで書かれたもの、弁護士の登録番号が書かれていないもの、趣旨が今ひとつあやふやなもの、処分を求める理由がもうひとつはっきりと書かれていないものもあります。弁護士への恨みつらみしかない懲戒書がたまにあります。
 
それでも、弁護士会は対象弁護士の氏名、住所、法律事務所の名称、所在、懲戒請求をした趣旨理由が書かれてあれば受付けなければなりません。しかし、あまりにも弁護士に対し誹謗中傷が狙いであるとか恨みのみ書かれたもの、根拠がないものについては綱紀委員会に掛ける前に却下、門前払いをすることもできるということになっています。
また提出書類が不足をしている場合(東弁は懲戒書5通)不足分の提出を求められます。対象弁護士のFAX番号が1番だけ間違っていただけで補正を命じられたこともあります。
 
詳しくは書庫をご覧ください
 
·        紛議調停の案内書
綱紀委員会は懲戒理由などの是正の指示はしません。綱紀委員会は出されたものだけで審査をします。懲戒書によく書かれてあるのは、「調べてもらえば分かる」「こういう噂もあるから調べて欲しい」などと書かれてあっても綱紀委員会は調べません。綱紀委員会、弁護士会は捜査機関ではありません。
「何人も」懲戒請求は申し立てることはできますが「簡単に懲戒処分は取れません」弁護士資格をはく奪する、業務停止になれば1か月でも仕事を失う、収入を失うことになる処分を同じ弁護士仲間の綱紀委員は簡単に出しません。世間では資格はく奪となるケースでも弁護士の常識は違います、処分はとても甘いものです。「何人にも」懲戒請求を申立てすることを認めるが「審査・処分」は弁護士会が行う。これが「弁護士自治」です。
 
2018年 日弁連広報誌「自由と正義」に公告として掲載された懲戒処分の要旨どのような懲戒請求者が処分を取ったか推測も含めてですが調べてみました。20181月~6月分)
 
処分を取った懲戒請求者に何人の「何人も」がいるでしょうか
 
 処分された弁護士  所属  処分    懲戒請求者   
① 中村忠志   東京  戒告   財産分与事件相手方弁護士
 
  佐藤博史   二弁  戒告   元勤務弁護士
 
  和賀弘恵   京都  戒告   京都弁護士会の弁護士
 
  平山正和   大阪  戒告   遺言執行者の双方代理相手方代理人弁護士(推測)が協力と思われる
 
  平塚雅昭   愛知  戒告     被害女性当時者が懲戒請求者
 
  石丸幸人   東京 業務停止2月  当時者ではない懲戒請求を熟知した人々
 
  田畠光一   福岡  業務停止16月  福岡県弁護士会
 
  菅谷公彦   東京  除名   懲戒請求者は遺産分割協議事件の依頼者となっているが恐らく弁護士が協力しなければ無理な内容 
   
  弁護士法人アデイーレ法律事務所 業務停止2月  当時者ではない懲戒請求を熟知した人々
 
  江口公一   東京   戒告    職務上の事がら等懲戒請求者の代理人B弁護士(推測)
  弁護士法人北斗  福岡 業務停止16月  福岡県弁護士会
 
  清水修   第一東京  退会命令     第一東京弁護士会
 
  太田垣万里  第一東京  業務停止1年  第一東京弁護士会
 
  小林正明   東京  業務停止1月     依頼者
 
  鈴木軌士   神奈川  戒告        相続事件内容から見て依頼者ではムリと思われる
 
  木﨑博  福岡  業務停止1月  懲戒請求者A社となっているが恐らく会社の依頼した弁護士
 
  島崎哲朗 京都  戒告     京都弁護士会と相手方弁護士
 
  小口恭道 東京 業務停止10月  懲戒請求者が創業した会社が属する企業グループの弁護士と思われる
 
  小林正博 長崎  戒告     依頼者が懲戒請求者だが懲戒を熟知した者が書面作成に協力等したものと思われる
 
  土橋伸吾 福井   戒告     法テラス関係者
 
㉑ 中嶋俊作   大阪  戒告     懲戒請求者株式会社となっており会社の関係の弁護士が書面作成をしたと思われる。
 
㉒ 望月 彬史  静岡 戒告     司法書士
 
㉓ 真船 裕之 神奈川  戒告    被成年後見人の家族、
 
㉔ 田原 一成  東京  業務停止6月   法人の自己破産の放置、着手金返還訴訟を提起されているのでその訴訟の代理人弁護士が懲戒請求者かと思われる。
 
㉕大橋 毅   東京  戒告        法テラスでの依頼者
 
㉖浅野憲一  東京 業務停止6月    離婚事件の相手方となっているが業務停止中の業務の懲戒理由は相手方弁護士以外困難 
 
㉗ 園田小次郎 第二東京  業務停止8月   第二東京弁護士会
 
㉘ 内山成樹  東京    業務停止1年    資産隠し問題、弁護士以外は無理かと思われる
 
㉙ 城野雄博   愛知  戒告       離婚事件 相手方の妻が請求者となっているが実際は妻の代理人弁護士が請求者。
 
㉚ 山岡宏敏   東京  戒告      法テラスか東弁 国選弁護人の報酬の不正請求
 
㉛ 興侶慎治   福岡  戒告      福岡県弁護士会 非弁提携
 
㉜保坂晃一    福岡  業務停止1月   相続事件 相続人が請求者
 
㉝村岡 徹也 第二東京  業務停止1年    業務停止中の業務 請求者は懲戒請求者A社だが弁護士が代筆したものと思われる
 
㉞ 辻内誠人   奈良   戒告       遺産分割協議事件 相続人が請求者だが専門家がバックアップしたのではないかと思われる。
 
㉟ 亀川榮一   沖縄  戒告     婚姻費用分担停の相手方が請求者だが相手方代理人の指導バックアップ及び代理人弁護士の代筆
 
㊱ 弁護士法人クローザー法律事務所  神奈川  業務停止1年   神奈川県弁護士会
 
㊲ 北穠朗    長崎  戒告    遺産分割協議事件の依頼者 
 
㊳ 丹羽靖    愛知  戒告    国選弁護被疑事件の被疑者が請求者、実際に懲戒を行うのは難しく、法テラス関係者と思われる。
 
㊴ 永野 貫太郎  第二東京 除名     第二東京弁護士会