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弁護士の懲戒処分を公開しています

「日弁連広報誌・自由と正義」2019年10月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・大阪弁護士会・松村直哉弁護士の懲戒処分の要旨

処分理由・事件放置、預り金を速やかに返還しなかった。
事件を受任し費用等受領して事件に着手しない。弁護士の懲戒処分で一番多い処分理由はこの『事件放置』です。3~4回までは戒告しか処分しない弁護士会もあります。事件放置について日弁連、弁護士会の、対応、対策はありません。この弁護士に依頼した人の自己責任です。弁護士会は弁護士に注意しましたからと終わりです。

処分を受けた弁護士は54期 2001年弁護士登録 受任当時は経験5年目、

自己破産事件で長期の放置をするのは『時効待ち手段』と思われます。事件を受けて相手方に一度だけ通知し以降何もしないで時効まで待ち続けるという手法です。相手も分かっていますから時効になる前に時効の中断の措置をとります。依頼者は7年ほど無駄に過ごしたことになります。日弁連はこの『時効待ち手段』を禁止していません。弁護士は時効待ち手段がバレたら依頼者に着手金を返して終わりにします。依頼者から懲戒が申し立てられますが、着手金を返したら、あなたも納得していたでしょうとなり多くは棄却になります。弁護士の中には着手金返すから懲戒出さないで欲しいと依頼者にお願いするのもおります。預り金を直ぐに返還しない場合のみ戒告になります。破産事件を弁護士に委任する際に『時効待ち手段』を採りますかと聞いてみましょう。

懲 戒 処 分 の 公 告

大阪弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告公表に関する規定第3条第1号の規定により公告する
1 処分を受けた弁護士 氏名 松村直哉 登録番号 28624
事務所 大阪市北区天神橋2-3-22西川ビル301
ソラリス法律事務所
2 処分の内容 戒告
3 処分の理由の要旨
(1)被懲戒者は2006年7月24日、A株式会社並びにA社の代表取締役B及び監査役Cから自己破産申立事件を受任し、その後同年9月4日にA社から申立手数料として42万円を預り金として33万9941円を受領したが、破産申立を行わなかった。
(2)被懲戒者は、既にBが死亡しておりA社の取締役が存在しなくなった2016年4月19日A社の債権者DからA社に対する催告書を受け取ったが。A社の監査役であり、かつ債務の保証人でもあるCに対し報告しなかった。
(3)被懲戒者は2016年10月頃、B及びCの親族である懲戒請求者から上記(1)の預り金等の返還を求められ2017年6月7日にその一部である60万9941円の返還に応じたものの、同年11月14日に上記(1)の預り金等と上記返還額の差額である15万円を支払うまで全額の返還に応じなかった。
(4)被懲戒者の上記行為はいずれも弁護士職務基本規程第35条に上記(2)の行為は同規程第36条に、上記(3)の行為は同規程第38条及び第45条に違反し、いずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4 処分が効力を生じた日 2019年6月3日
2019年10月1日 日本弁護士連合会

 

弁護士懲戒処分【事件放置】の処分例 2024年3月更新 

事件放置の研究