弁護士自治を考える会

弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2019年11月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・第一東京弁護士会・宮之原陽一弁護士の懲戒処分の要旨

処分理由・① 公正証書遺言の内容に反した行為 ② 相手に代理人がいながら直接交渉

 

弁護士職務基本規程

(違法行為の助長)
第十四条 弁護士は、詐欺的取引、暴力その他違法若しくは不正な行為を助長し、又はこれらの行為を利用してはならない。

(相手方本人との直接交渉)
第五十二条 弁護士は、相手方に法令上の資格を有する代理人が選任されたときは、正当な理由なく、その代理人の承諾を得ないで直接 相手方と交渉してはならない。

(正当な利益の実現)
第二十一条 弁護士は、良心に従い、依頼者の権利及び正当な利益を実現するように 努める。

懲 戒 処 分 の 公 告

 第一東京弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。

          記

1 処分を受けた弁護士

氏名 宮之原陽一

登録番号 21987

事務所 東京都千代田区平河町2-16-5クレール平河町202

宮之原法律事務所 

2 懲戒の種別 業務停止2月⇒業務停止1月に変更(2020年9月19日)

 処分の理由の要旨

1)被懲戒者はA及び懲戒請求者Bの父親Cが作成した遺言公正証書の内容を知っていたところ、2016年8月2日にCの相続が開始した後にAが上記内容に反した相続登記手続を行うことを知りながら、その手続きを行う司法書士をAに紹介してこれを支援した。

(2)被懲戒者は懲戒請求者Bの代理人弁護士から2016年8月23日及び9月29日にそれぞれ連絡を受ける等して、懲戒請求者Bに代理人がいることを熟知していたにもかかわらず、各連絡に対する同年8月26日付け警告書及び同年9月30日付け懲戒請求者Bに対して送付した。

(3)被懲戒者は依頼者であるD所有の建物の売却に関して、懲戒請求者Eの代理人弁護士から受任通知を受領する等して懲戒請求者Eに代理人弁護士がいることを熟知していたにもかかわらず、上記建物内の懲戒請求者Eの荷物の搬出について相談したい旨持ちかける内容の2017年9月1日付け通知書を懲戒請求者Eに直接送付した。

(4)被懲戒者は2017年9月17日、上記(3)の建物について、荷物搬出業者を同道して来訪し、その建物内にいた懲戒請求者Eに対してその占有がないから荷物を撤去しても構わない旨を告げて建物内に入ろうとした。(5)被懲戒者の上記(1)の行為は弁護士職務基本規程第14条に上記(2)及び(3)の行為は同規程第52条に、上記(4)の行為は同規程第21条に違反しいずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

4処分が効力を生じた日 2019年7月1日 

 2019年11月1日 日本弁護士連合会

 

第52条違反の処分例

弁護士が相手代理人を通さず直接交渉して懲戒処分になった例 2022年10月更新