弁護士自治を考える会

弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2020年3月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・大阪弁護士会・山本忠雄弁護士の懲戒処分の要旨

処分理由・双方代理 弁護士法25条違反

(職務を行い得ない事件)
弁護士法 第二十五条 弁護士は、次に掲げる事件については、その職務を行つてはならない。た
だし、第三号及び第九号に掲げる事件については、受任している事件の依頼者が同
意した場合は、この限りでない。
一 相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件

 

この懲戒処分は大阪弁護士会が行ったものではなく日弁連懲戒委員会が出した処分となります。

弁護士に対する懲戒請求を、所属弁護士会の綱紀委員会が棄却した場合、日弁連綱紀委員会に異議申立ができます。日弁連綱紀委員会で「審査相当」の議決が出た場合は次に大阪弁護士会懲戒委員会に戻されて審査をされます。(必ず処分がなされるかは分かりません)

所属弁護士会綱紀委員会が「懲戒相当」の議決をし次に所属弁護士会の懲戒委員会に審査が付されますが、所属弁護士会懲戒委員会が処分しないと決定した場合、日弁連への異議申立は、日弁連懲戒委員会となります。日弁連懲戒委員会は懲戒の審査をし、日弁連懲戒委員会で処分が下されます。大阪弁護士会に戻されることはありません。懲戒請求者の懲戒手続はこれで終了となります。処分が不当に軽いと異議を申立てることはできません。被懲戒者は処分取消訴訟を提起することができます。

1年に1回あるか、どうかの珍しい処分です。また判断が難しい内容となっております。

 

懲 戒 処 分 の 公 告

大阪弁護士会が2017年12月26日付けでなした被懲戒者を懲戒しない旨の決定の処分について、懲戒請求者から異議の申出があった。本会は上記決定を取り消して、以下のとおり懲戒の処分をしたので、懲戒処分の公告及び公表に関する規程第3条第6号の規定により公告する。

          記

1 処分を受けた弁護士

氏名 山本忠雄

登録番号 11093

事務所 大阪市中央区今橋3-2-20 洪庵日生ビル8階

山本総合法律事務所 

2 懲戒の種別  戒告  

3 処分の理由の要旨

(1)被懲戒者は、1996年に法人がAグループとBグループに分かれた内部紛争の際、Aグループの代表等であるC及びDの代理人として、Bグループを相手方とする役員の地位確認請求等の別件訴訟(最終的にAグループが敗訴)を遂行したが、2004年頃、Aグループ内でC派とD派に分かれ再分裂が起きた後、被懲戒者が、Cの代理人として、Dが代表を務める懲戒請求者を相手方として別件訴訟前にCが法人に返還した退職金の帰属に関する本件訴訟を2014年に提起し、遂行したことが、弁護士法第25条第1号に違反するか否かが問題となった事案で、大阪弁護士会は、別件訴訟と本件訴訟では、退職金に関係するという点では共通するが、紛争の実体を異にしており事件の同一性はなく、弁護士法第25条第1号の「相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した件」について職務を行ってならないものとは認められないとして被懲戒者を懲戒しない旨の判断をした。

(2)ところで事件の同一性を判断するためには双方の事件の基礎となる紛争の実体をどのように捉えるかが重要であり、形式的に争点が同一であるか否かによるべきではない、別件訴訟についてみると、被懲戒者は、退職金は既に返還された(所有権を確定的に移転された。)として、Cが元の地位に復帰した旨を主張しており、退職金が返還された事実は重要な間接事実であった。 他方、本件訴訟は、退職金相当額を受託していた銀行が供託した還付請求権について、Cと懲戒請求者がそれぞれ自らにあると主張したものである。被懲戒者は本件訴訟でCの代理人として退職金はその所有権が確定的に移転したものではないとの主張をしており、別件訴訟と本件訴訟とは、いずれも退職金返還に関する紛争である点で共通し、退職金返還の法的性格をどのように捉えるかという点で両訴訟の基礎となる紛争の実体は同一と考えられ、両事件の同一性が認められる。したがって、本件訴訟における被懲戒者の行為は「相手方の協議を受けて賛助しその依頼を承諾した事件」について職務を行ったものと認められる。

よって、本件異議申出は理由があり、被懲戒者を懲戒しないとした大阪弁護士会の決定を取り消す。被懲戒者が本件訴訟においてその訴訟行為を排除されていること等の事情を考慮し、被懲戒者を戒告とする。

4処分が効力を生じた日 2020年1月24日

 2020年3月1日 日本弁護士連合会

 

双方代理処分例

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