弁護士自治を考える会

弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2020年11月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・京都弁護士会・中野勝之也弁護士の懲戒処分の要旨

処分理由・事件放置

中野弁護士は2回目の処分となりました。1回目の処分と併せてご覧ください。事件放置はまた次にも同じ間違いを起こす率が高い処分理由です。2回目なら普通は戒告ですが、依頼者に虚偽の報告をした場合と放置件数が多い場合は業務停止が付く場合があります。1回目が甘すぎるから何度も繰り返すのです。

2020年7月31日 弁護士登録取消

報道がありました

依頼3件事件放置、弁護士を懲戒処分・京都弁護士会

京都弁護士会は15日、依頼のあった婚姻無効確認請求など3件の処理を長期間放置したとして、中野勝之弁護士(46)を業務停止2カ月の懲戒処分にしたと発表した。処分は10日付。

 同会によると、中野弁護士は2016年秋までに、婚姻無効確認請求を受任したが、17年2月から現在まで依頼者に連絡をせず、預かったメモも返還していないという。07年には別の依頼者2人から過払い金返還請求を受任したが、11年ごろから17年まで処理を放置したほか、18年には別の依頼者2人から受任したマンション管理者解任請求の提訴を怠った上、関係者に提訴済みと虚偽の報告を行った、という。

 同会の調査などに対し、中野弁護士は「申し訳なく思っている」と話しているという。中野弁護士は、依頼を放置したとして18年にも戒告の懲戒処分を受けている。

京都新聞 4月16日 朝刊

 

懲 戒 処 分 の 公 告 2020年11月号

京都弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。

          記

1 処分を受けた弁護士

氏名 中野勝之 登録番号33972

事務所 京都市中京区麩屋町通二条下る第二ふや町ビル402

中野法律事務所 

2 懲戒の種別 業務停止2月  

3 処分の理由の要旨

(1)被懲戒者は、2007年頃、懲戒請求者A及び懲戒請求者Bから過払金返還請求事件を受任し相手方に対し回答を求めたものの、遅くとも2011年頃以降、懲戒請求者Aらへの連絡を全く怠り、後任弁護士が事件を受任した2017年まで事件処理を放置した。

(2)被懲戒者は2016年秋頃までに懲戒請求者Cからその父と配偶者Dの婚姻が無効であることの確認請求事件について委任契約を締結し2017年1月頃までの間、懲戒請求者Cに対しDやDの代理人弁護士からの主張等を連絡していたが、同年2月以降連絡をせず、懲戒請求者Cからの連絡に対しても応答しない等3年以上にわたり不応答を継続し、また、懲戒請求者Cからの預り物の返還も行わず、委任契約上の事務の処理を行わなかった。

(3)被懲戒者は懲戒請求者E及び懲戒請求者Fから2018年11月頃、マンション管理士Gの紹介を通じて懲戒請求者Eらが居住するマンションの管理者の解任請求訴訟手続を依頼され、かつ、速やかな提訴を求められた後、遅くとも2019年1月下旬頃委任契約が成立し、同月29日、懲戒請求者Eから着手金等として17万円の送金を受けたにもかかわらず提訴を怠り、また同年3月頃Gからの進捗状況の確認を受けた際、裁判所に訴状を提出していないにもかかわらず裁判所からの訴状の一部修正を求められてると虚偽報告を行い、さらに上記修正等についてGから説明文を同月27日付けメールで受け、懲戒請求者Fから同年4月20日にファックス送信を受ける等し、その後も同年7月9日に何度も電話、留守番電話等への伝言、被懲戒者の法律事務所への訪問等の方法で連絡を受けたにもかかわらず、応答しなかった。

被懲戒者の上記行為は弁護士職務基本規程第35条及び第36条に違反し、いずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

4処分が効力を生じた日 2020年4月10日 2020年11月1日 日本弁護士連合会

 

懲 戒 処 分 の 公 告 2018年11月号
京都弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告公表に関する規定第3条第1号の規定により公告する。
1 懲戒を受けた弁護士
  氏 名     中 野 勝 之
  登 録 番 号 33972
  事 務 所   京都市中京区麩屋町通二条下る。第二麩屋町ビル  
          中野法律事務所            
2 処分の内容      戒 告
3 処分の理由の要旨
(1)被懲戒者は、懲戒請求者Aから、消費者金融会社3社を相手方とする債務整理事件を受任し、2007年12月頃、受任通知を発送して各取引履歴の送付を受け、いずれも過払金の発生が見込まれたが、1社とは若干の交渉を行ったものの、他の2社は2017年1月に解任されるまでの具体的な交渉を全く行わず、懲戒請求者Aからの問い合わせに対し2008年1月以降は事件処理を全くしていなかったのに、あと数か月で過払金の返還があるかのような虚偽の説明をした。
(2)被懲戒者は、遅くとも2015年12月2日に懲戒請求者Bから裁判費用補償請求を含む刑事補償手続等を委任されたが、裁判費用補償要求の請求期間である無罪判決確定後6か月となる2016年2月14日が経過するまでに裁判費用補償請求を行わず、懲戒請求者Bからの刑事補償手続等の進捗状況の確認の求めに対し、既に刑事補償手続等を行ったと虚偽の説明を繰り返した。
(3)被懲戒者の上記行為はいずれも弁護士職務基本規程第35条及び第36条に違反し弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
 4処分が効力を生じた年月日 2018年7月18日
2018年11月1日 日本弁護士連合会

弁護士懲戒処分「事件放置」の処分例