弁護士自治を考える会

弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2021年2月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・東京弁護士会・牧野孝二郎弁護士の懲戒処分の要旨

処分理由・詐欺容疑の被疑者と接見室にPCを持ち込み架空会社へ振込させた。

元新興系法律事務所に勤務。ここまで甘い処分はあり得ないという内容。報道と東弁会報リブラも併せてご覧ください。

懲 戒 処 分 の 公 告

 東京弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。          記

1 処分を受けた弁護士氏名 牧野孝二郎

登録番号 47177

事務所 東京都新宿区西新宿8-1-2PMO西新宿6階

Kiitos法律事務所 

2 懲戒の種別 業務停止2月 

3 処分の理由の要旨

被懲戒者は、2016年5月16日、詐欺被疑事件の被疑者Aの私選弁護人に選任されたところ、Aからの逮捕勾留知られたくないとの要望を受けて、Aが逮捕される以前から架空の会社への追加出資として500万円が必要であるとAから伝えられていた懲戒請求者に対し、同月31日までの間、警察署の接見室内にAのパソコンを持ち込み、Aのメールアカウントを使用してAを装ってAの所在について積極的に虚偽の事実を送信し、またAから要望を受けてAに上記架空の会社について支払を求めるメール等を送信し、その結果、懲戒請求者は架空の会社への出資金として500万円をA名義の銀行口座に振り込んだ。

被懲戒者の上記行為は弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

4処分が効力を生じた日 2020年10月9日 2021年2月1日 日本弁護士連合会

報道がありました。

詐欺容疑者教示で出資募る、弁護人が接見室からメール

弁護人を務めた詐欺事件の容疑者から指示され、架空会社への出資を募るメールを送信したとして、東京弁護士会は9日、所属する牧野孝二郎弁護士(33)を業務停止2カ月の懲戒処分とした。メールの受信者は容疑者が管理する口座に現金500万円を振り込み、詐取された。

 弁護士会によると、牧野弁護士は平成28年5月、警視庁築地署で容疑者と複数回接見。容疑者のパソコンを持ち込み、指示通りに架空の特定目的会社(SPC)への出資を呼び掛けるメールを送信した。指示に従った理由は不明という。

 弁護士会は「詐欺行為を知りながら加担したとまでは認められないが、結果は重大」と判断した。牧野弁護士と被害者の間で、既に示談が成立したとしている。

引用 産経 https://www.sankei.com/affairs/news/201009/afr2010090024-n1.html

懲 戒 処 分 の 公表 東弁会報リブラ

本会は下記会員に対して弁護士法第57条に定める懲戒処分をしたので、お知らせします。

           記

被懲戒者 牧野孝二郎(登録番号47177)

登録上の事務所  東京都新宿区西新宿9-12-2PMO法律事務所

Kiitos法律事務所

懲戒の種類 業務停止2月 

効力の生じた日 2020年10月9日

懲戒理由の要旨

被懲戒者は、2016年5月16日、当番弁護士として詐欺被疑事件で警察署に在監していた被疑者のもとに派遣され同人から私選弁護人に選任されたものである。被懲戒者はAから、懲戒請求者には逮捕・勾留されていることを秘しておきたいので、A所有のパソコンを接見室に持ち込みAが申し述べる内容の電子メールを作成してA名義で懲戒請求者に送信してほしいとの依頼を受けてこれを承諾し、同月18日頃から同月31日頃までの間、複数回にわたって、Aとの接見の際に同人から申し向けられた内容のA作成名義(ただし同月30日からは「A代筆 被血懲戒者」名義のものを含む)の電子メールを作成しA所有のパソコンから接見中もしくはその直後に懲戒請求者に送信したものである。被懲戒者はA作成名義で送信した電子メール(「A代筆 被著会社」名義のものを含む)中には、懲戒請求者に対して、Aが設立するSPCへの出資を促す内容も含んでいたにもかかわらず、被懲戒者は当該SPCの内容やそこにおける登場人物の実在性などについて何ら具体的な確認作業をしなかった。

被懲戒者はAが詐欺罪で逮捕・勾留されている事実を知らないままSPCへの出資として同年5月31日にA名義の銀行口座に500万円を振り込んだが、当該SPC設立はAが懲戒請求者を欺くための架空の話であり、懲戒請求者はAに500万円を騙し取られる被害を受けた。

被懲戒者は、警察署の接見室で通信機器の利用が制限されていることを知熟しながら複数回にわたってAを装って接見室内から電子メールを送信し、その内容も出資金の振込みという複雑な取引に関する内容のものであり、その仕組みや取引に関与する登場人物などについてAに対して十分に確認した上でその実在性や客観的資料を収集・確認すべきであったにもかかわらず漫然とAが申し向けた内容の電子メールを懲戒請求者に送信した。

被懲戒者がAの詐欺行為を知りながらこれに荷担したとまでは認められないまでも、生じた結果も重大であり、被懲戒者の上記行為は弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当するものであり、被懲戒者が懲戒請求者に対して500万円を超す金額の支払が行われて既に示談が成立していることを考慮しても上記の懲戒処分はやむを得ない。

2020年10月9日 東京弁護士会会長 冨田 秀実

接見室で携帯電話、撮影、口止め、もみ消し、伝言、伝書鳩 弁護士懲戒処分例