弁護士自治を考える会

弁護士法人ベリーベスト法律事務所(東京)代表酒井将弁護士他、業務停止6月から3月に変更されました。これは業務停止6月を受けた被懲戒法人、代表の酒井将弁護士が処分は不当であると日弁連に審査請求を申し出て変更されました。日弁連広報誌「自由と正義」に公告として変更理由が掲載されますが、当会としても何が問題であったのかを検証してみたいと思います。

東弁が下した業務停止6月の懲戒事由は2つです。

(1) 司法書士事務所との業務提携が非弁提携にあたる

(2) 綱紀委員会で懲戒相当の議決があり、東弁の他に第一東京、第二東京にベリーベストと称する弁護士法人を設立したことが懲戒逃れとされた。

今回は(2)いわゆる【懲戒逃れ】について検証をします。

懲 戒 処 分 の 公 表 東弁会報リブラ 2020年4月号
本会は下記会員に対して、弁護士法第57条に定める懲戒処分をしたので、お知らせします。
               記 
被懲戒者     酒井 将   (登録番号 29986) 
         浅野健太郎  (登録番号 30001)
         弁護士法人ベリーベスト法律事務所 (届出番号486)
登録上の事務所  東京都港区虎ノ門5-3-14 日産研会館2階   
         ベリーベスト虎ノ門法律事務所
懲戒の種類    上記被懲戒者いずれも業務停止6月
効力の生じた日  2020年3月12日
懲戒理由の要旨

(処分理由)

懲戒請求後、被懲戒法人の業務活動を事実上停止させ第二東京弁護士会に新たに弁護士法人を設立して支店(従事務所)を移動して活動するなど、「懲戒逃れ」と見られてもやむを得ない行動もしている。

2020年3月12日 東京弁護士会会長 篠塚 力

東京弁護士会綱紀委員会で「懲戒相当」の議決がなされ全国の弁護士は、これは弁護士法人アデイーレ法律事務所の業務停止2月の再来で過払い案件が増えるに違いないと思った。ところが2回目の棚からボタモチはなかった。

弁護士法人ベリーベスト法律事務所に対する業務停止について       2020.03.12

ベリーベスト法律事務所は通常通り営業をしております。

2020年3月12日に弁護士法人ベリーベスト法律事務所、および弁護士酒井将、弁護士浅野健太郎(いずれもベリーベスト虎ノ門法律事務所所属)が、東京弁護士会から業務停止6カ月の処分を受けました。

ベリーベスト法律事務所は、ベリーベスト弁護士法人および弁護士法人VERYBESTによって構成されており、上記の弁護士法人ベリーベスト法律事務所、弁護士酒井、弁護士浅野とは、別の法律事務所です。従って、当事務所(ベリーベスト弁護士法人)とご契約されているお客様の案件については、何の影響もありませんので、ご安心ください。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

ベリーベスト法律事務所HPhttps://www.vbest.jp/topics/info/682

1 ベリーベスト法律事務所(第一東京)  代表弁護士 萩原達也  東京都港区六本木1-8-7 MFPR六本木ビル11階

2 ベリーベスト弁護士法人、弁護士法人VERYBEST (第二東京)

3 弁護士法人ベリーベスト法律事務所 ※今回の懲戒処分対象です。

酒井将弁護士らは実にうまいことやったのです。

他の弁護士に事件を渡さなかった。コケにされた東弁はこれも理由に加え懲戒処分を下しました。果たして東弁の処分理由は正しかったのか、処分は不当だと審査請求を申し出たベリーベストですが、この内容について深く切り込んでいません。日弁連懲戒委員会も業務停止3月に変更になった裁決書にも、「懲戒逃れ」について判断しませんでした。

弁護士法62条「懲戒逃れ」とは【条解弁護士法・第5版】(登録換等の請求の制限)弁護士法第62条                          懲戒の手続きに付された弁護士は、その手続きが結了するまで登録換又は登録取消の請求をすることができない。              2 懲戒の手続きに付された弁護士法人は、その手続が結了するまでに、法律事務所の移転又は廃止により、所属弁護士会の地域内に法律事務所を有しないこととなっても、これを退会しないものとする。                                      3 懲戒に付された弁護士法人は、その手続が結了するまで、第36条の2第4項の規定により所属弁護士会を変更することができない。     4 懲戒の手続に付された弁護士法人が主たる法律事務所を所属弁護士会の地域外に移転したときは、この章の規定の適用については、その手続が結了するまで、旧所在地にも主たる法律事務所があるものをみなす。                                 5 懲戒の手続に付された弁護士法人は、清算が結了した後においても、この章の規定の適用については、懲戒の手続が結了するまで、なお存続するものとみなす。

【1】本条の趣旨 【条解弁護士法・第5版】

本条は懲戒の手続に付された弁護士につき、その手続が結了するまで登録換え又は登録取消しの請求を禁止することにより、弁護士の懲戒逃れを防止しもって懲戒制度の実効性を確保する規定である。懲戒手続は第1次的には弁護士会が行うから、懲戒処分がなされるためには、弁護士がその弁護士会に所属しっていることが必要である、懲戒手続に付された弁護士が、他の弁護士会に登録換えしたり、又は登録を取り消してその弁護士会の所属でなくなれば、懲戒手続を続行して懲戒処分を行うことができなくなる。しかし、このようなことを認めれば懲戒制度はその存在意義がなくなるので、本条は弁護士が懲戒手続に付された場合いは登録換え又は登録取消しの請求ができないとしたものである。なお弁護士法人が認められたことに伴い、本条2項から5項までの規定が新設された、これらは弁護士法人の懲戒逃れを防止することを目的としたものである。

(以上引用)

弁護士法には登録換えの規定は62条の懲戒の手続に付されとは懲戒請求の申立てがあり綱紀委員会で審査が始まったときから処分が決定するまで(異議申立を含め)登録換えができない。弁護士法には登録換えについて62条以外に何もありません。

処分理由 議決書より

懲戒請求後、被懲戒法人の業務活動を事実上停止させ第二東京弁護士会に新たに弁護士法人を設立して支店(従事務所)を移動して活動するなど、「懲戒逃れ」と見られてもやむを得ない行動もしている。

「懲戒逃れ」だと断定したものではありません。見られてもやむを得ない行動もしている。」

しかし処分された、 酒井 将弁護士 (登録番号 29986) 浅野健太郎弁護士 (登録番号 30001) 弁護士法人ベリーベスト法律事務所 (届出番号486) は登録換えの請求はしていません。逃げてはいません。東弁におります。

一弁、二弁にベリーベストの法人を設立させた。在籍弁護士を逃せて?

酒井弁護士以外の所属していた多くの弁護士が登録換えを申請し受理したのは東京弁護士会と日弁連の登録課です。登録換えの申請書類の中には「懲戒に付されていない書面」「懲戒が結了した書面」の提出が義務付けられています。

東京弁護士会は法人と代表者2名しか懲戒請求の申立てをしていません。

東弁は(会請求)法人に懲戒を申し立てれば、他の弁護士もずっと在籍していると考えたのでしょう。弁護士法人アデイーレ法律事務所に在籍していた弁護士は東弁を辞めて一弁、二弁に移っていません。まさか業務停止2月とは思っていなかったのかもしれませんが、

弁護士法に規定がないもので処分することはできない。想定外の事案であった。東弁のベリーベスト所属弁護士に全員に懲戒請求を申し立てなかった。まさか一弁や二弁に紛らわしい名称の法人を設立するとは思わなかった。

懲戒の手続きに付されていない弁護士は堂々と東弁を出て行った。出したのは東弁です。

しかし会員からの苦情もあり処分するのは弁護士法62条違反は問えない。潜脱行為だと処分するには法がなかった。それならば「弁護士法56条第1項の弁護士としての品位を失うべき非行に該当する」これしかなかった。「懲戒逃げ」というなら逃げていった弁護士に懲戒を申し立てればと思いますが東弁が一弁の弁護士に処分はできません。

潜 脱潜脱(せんだつ)とは、法令等による規制を、法令で禁止されている方法“以外”の方法により免れること。 一見すると、法令等に違反していないように見えるところがポイントである。 一般的な表現では、「法の網を(くぐ)る」が潜脱に近い意味を表わしていると言える。

法に無いから違法とはいえないが「法の網を(くぐ)る」行為で今回、東弁は処分し日弁連も判断は変えませんでした。過去に懲戒逃げで逃げおおせた弁護士は1名しかいません。(異議申立期間中に登録換え申請し受理した日弁連のミス)これが弁護士自治の懲戒制度です。

棄却の議決書には「法に規定が無いから処分しない」、「違法とまではいえない、」「違法であるが処分するまでには至らない」。こんな文言で処分しませんでした。

しかし今回、法に無いもので業務停止の処分しました。これこそ会員弁護士に対し見せしめ懲戒、恣意的懲戒といわれても仕方のないことです。

東弁は会の規約の訂正又は以下の条項を追加すべきです。

「懲戒の手続に付された弁護士法人に所属する弁護士は法人に対する懲戒が結了するまで登録換えはできない」
なお、市民が「懲戒逃れ」ではないかと第一東京弁護士会に懲戒請求を申立てましたが棄却されています。
弁護士自治を考える会の各会員の判断
① 『懲戒逃げ』を理由に処分したのは不当。 処分する法が無い
②  業務停止6月を維持すべき。 潜脱行為には間違いない。今後の弁護士法人の在り方も問われる内容である。
意見が分かれ、結果、この処分理由では処分できないとの結論に達しました。        

『棄却された懲戒請求の議決書』弁護士法人が東京三会にそれぞれ法人の法律事務所を持つことは懲戒逃げのためでないのか 第一東京弁護士会

酒井将弁護士は10月30日ツイッターで処分変更の裁決書とベリーベスト法律事務所のコメントを公開しました。

裁決書  https://www.gyotei6m.com/common/pdf/press_20211029_01.pdf

弁護士法人ベリーベスト法律事務所のコメント

弁護士法人べリーベスト法律事務所(東京)酒井将弁護士らが受けた業務停止6月の懲戒処分は不当であると審査請求・日弁連懲戒委員会調査期日調書・検証(2)会請求 2021年9月21日