日弁連日弁連新聞 2022年9月号「弁護士職務の適正化に関する全国協議会」8月5日

「弁護士職務の適正化に関する全国協議会」 8月5日 弁護士会館

弁護士会からの事例報告 
 次の会請求事例について報告がなされた。弁護士費用の徴収等を業者に委託し、報酬の一部を対価として支払う旨の業務委託契約を締結して金銭を支払ったとして業務停止9月となった事例,受任した事件処理の遅滞・放置・連絡が取れないなどで2回の懲戒処分を受け業務停止6月となった事例,期日を欠席した上に敗訴判決を確定させたり、送達された審判書を依頼者に送付せずに不服申立の機会を失わせたことを理由に業務停止8月となった事例,弁護士職務の適正化に関する委員会の上田英友委員(福岡県)は元会員が依頼者から金員を詐取した事案で、福岡県弁護士会が元会員に関する指導監督権限の行使を怠ったとして提起された損害賠償被告事件(原告らの請求は棄却)あわせて市民窓口に寄せられた際の調査体制を紹介し日弁連の取り組みなど石本哲副委員長(東京)は弁護士法人に対する業務停止処分の執行手続きの留意事項を説明した。柴垣明彦委員長(東京)は日弁連の取り組みについて①非行探知②被害拡大防止③非行発生自体を防止④重大非行防止への対応という項目に沿って課題や具体的な瀬策を紹介した.  以上日弁連新聞9月号
新聞では具体的にこの事案、この処分という具体的な記述はありません。
懲戒処分については当会は専門です。ひとつひとつ順に検証しましょう。
弁護士会からの事例報告  
次の会請求事例について報告がなされた。
弁護士費用の徴収等を業者に委託し、報酬の一部を対価として支払う旨の業務委託契約を締結して金銭を支払ったとして業務停止9月となった事例
事 例①東 弁弁護士費用の徴収等を業者に委託し、報酬の一部を対価として支払う旨の業務委託契約を締結して金銭を支払ったとして業務停止9月となった事例
◆当初から業務停止9月になったのではなく業務停止1年6月だったものを日弁連が大急ぎで業務停止9月に変更した。(資料は当会)
懲 戒 処 分 の 公 告 2018年7月号

東京弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告公表に関する規定第3条第1号の規定により公告する

1 処分を受けた弁護士氏名 杉山博亮 登録番号23069 事務所 東京都港区新橋1-18 華鼎国際法律事務所            

2 処分の内容      業務停止1年6月

3 処分の理由の要旨(1)被懲戒者は2015年1月20日一般社団法人Aとの間で、法人Aに委託する業務の内容を営業及び広報、通訳及び翻訳、書類の収集及び提出、弁護士費用等の徴収等とし、法人Aの業務遂行の対価として支払う報酬金を被懲戒者が受任した外国人事件において被懲戒者が現実に支払を受けた弁護士報酬の3分の1を原則とする旨の業務委託契約を締結し、上記契約に定める業務の対価として法人Aに対し金銭を支払った。

(2)被懲戒者は2016年10月18日から同年11月17日まで所属弁護士士会から業務停止の懲戒処分を受けていたにもかかわらず、少なくとも同月3日から同月10日までの間、株式会社Bが運営しているサイトのウエブページの「C法律事務所(11月1日開業)の求人詳細」に業務停止期間中であること及びその期間を表示することなくC法律事務所の代表者として弁護士の肩書を付して懲戒請求者の氏名を表示した。4 処分が効力を生じた年月日  2018年3月14日2018年7月1日 日本弁護士連合会

裁決の公告(処分変更)2019年2月号

東京弁護士会が2018年3月14日に告知した同会所属弁護士杉山博亮会員(登録番号23069)に対する懲戒処分(業務停止1年6月)について同人から行政不服審査法の規程による審査請求があり本会は2018年12月11日弁護士法第59条の規程により、懲戒委員会の議決に基づいて、以下のとおり裁決したので懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第3号の規程により公告する。             記

1 採決の内容

(1)審査請求人に対する懲戒処分(業務停止1年6月)を変更する。

(2)審査請求人の業務を9月間停止する。

2 採決の理由の要旨

(1)ア 懲戒請求理由1について

審査請求人が2015年1月20日から2018年3月14日まで、一般社団法人A連合会(以下「連合会」という)代表者はB)との間で締結していた委託業務(以下「本件業務委託契約」という、)において業務委託の対価として弁護士が現実に支払を受けた弁護士報酬(着手金、報酬、及び手数料)の3分の1を支払うとの約定(以下「本件約定」という、)に従い業務委託料を支払っていたことは、弁護士職務基本規程(以下「基本規程」という)第12条に違反する。

イ 懲戒請求事由2について

審査請求人が業務停止1月の懲戒処分を受けていたにもかかわらず、事務員募集のWEB上に業務停止期間中であること及びその期間を表示することなく、事務所の代表者として「弁護士 杉山博亮」と自己の名を表示したのは、日本弁護士連合会の「被懲戒弁護士の業務停止期間中における業務規則等について弁護士会及び日本弁護士連合会の採るべき措置に関する基準」(以下「日弁連基準という」第二の十に違反する。

ウ 懲戒事由3について

審査請求人が2016年10月18日から同年11月17日までの間、業務停止1月懲戒処分を受けていたにもかかわらず、同年11月17日にC社発行の在日華人向けフリーペーパーである「D」に「E法律事務所」の広告を掲載し、業務停止期間中であること及びその期間を表示することなく、同事務所の代表者として「弁護士杉山博亮(東京弁護士会所属)」と写真付きで表示したのは日弁連基準第二の十に違反する。

(2)以上の経過及び審査請求人から新たに提出された証拠も含め審査した結果、以下のとおり判断する。

ア、懲戒請求事由1について

(ア)審査請求人と連合会との本件業務委託契約の成立

審査請求人の懲戒委員会審査期日における陳述によれば2015年1月20日における陳述によれば、2015年1月20日から2018年3月14日までの間(この間。2016年10月18日から約1月間解約されている)審査請求人と連合会との間で審査請求人を委託者、連合会を受託者とし①営業及び広報②通訳及び翻訳③書類の収集及び提出④弁護士費用等の徴収⑤その他これらに付随する業務を委託業務として本件業務委託契約が締結されていた。

(イ)業務委託料の支払

本件業務委託契約締結期間中に少なくとも5件の弁護士受任事案について弁護士報酬の3分の1が業務委託料として連合会に支払われていたことは明らかであるが、審査請求人事務所案件のうち60%が外国人関係の事案であり、本件業務委託契約の締結期間も約3年1か月と長期であることからすると、弁護士報酬の3分の1が連合会に支払われた受任事案は5件をはるかに超えるものであったと推測される、

(ウ)基本規程12条違反(正当理由の存在)について

基本規程第12条は正当な理由がある場合を除き、弁護士がその職務に関係する報酬を弁護士又は弁護士法人でない者との間で分配してはならないとする。これは、弁護士が弁護士以外の者との間で弁護士報酬自体を分配することになると、弁護士の独自性の保持への懸念及び非弁提携に陥 りかねないと懸念を生じるためであると考えられる。

ところで、審査請求人は本件業務委託契約の本件約定について審査請求人が連合会に弁護士報酬3分の1を委託料として支払うことは①通訳業務及び外国語を用いた弁護士補佐業務という委託業務を遂行する「労働」に対する「対価」として支払われているものであり②連合会の行う業務は法律事務ではなく、そのものが適法に行うことができる事務があって、非弁護士による法律事務遂行の対価ではなく③弁護士報酬3分の1を業務委託の対価とすることは合理的な金額である、との理由で正当理由があると主張する。

しかし、連合会の業務は本件業務委託契約の受託業務内容からすると弁護士の受任する個々の事案により、通訳業務のみであったり、外国語を使用した弁護士補佐業務や弁護士報酬等の請求が中心となる業務であったり、受任にいたらぬ電話による法律相談への勧誘行為など、様々であり、その業務内容及び業務量が客観的に一律に定まるものでないことは明らかであるから、その労働の対価も3分の1に該当すると解することはできない。また連合会への支払が非弁護士の法律業務の遂行に対する対価であってはならないのは当然のことである。以上からすると、本件業務委託契約の本件約定に正当理由が存在するとの客観的な事実関係は見いだせず、弁護士の独自性の保持への懸念及び非弁提携に陥りかねないという懸念を払拭するまでの理由は認められない。

イ 懲戒請求事由2について

審査請求人が懲戒請求事由2の行為を行った事実はあきらかである、審査請求人は懲戒請求事由2の行為は自らのチェックミスによりWeb上の求人詳細に業務停止期間中であること及びその期間を表示することなく「F法律事務所」の代表者として「弁護士 杉山博亮」と表示してしまったとのことであるが、過失にものであっても日弁連基準第二の十の違反を免れることはできない。

また、審査請求人は懲戒による業務停止期間中であっても事務員の募集自体は許されるのであるから、募集行為に業務停止中の弁護士の表示は許されるのであるから、募集行為に業務停止中の弁護士の表示は許されると主張する、しかしたとえ業務停止期間終了後に雇用するための事務員募集行為であっても業務停止期間中の募集広告中に弁護士と表示することができないと解され、上記審査請求人の主張は独自の考えであり採用できない。

ウ 懲戒請求事由3について

懲戒請求事由3についてこれを認めることができないとした原弁護士会に誤りはない。

(3)量定について

原弁護士会は弁護士の統制を外れてその自由裁量で法律事務を処理させることは非弁提携として禁止されているものであり、本件にあっては、連合会の代表者であるBに中国語を話す依頼者への対応を任せきりにしている点で非弁提携と同様の評価を受ける事案であるとする、そして200件を優に超える可能性がある事案につき非弁提携の一態様である弁護士報酬分配を継続的に行っていることは看過できないとし審査請求人に対しては非弁提携類型の「周旋」事案と同程度の提携状態にある者と判断し、これと同等の裁定を前提としたとする。しかし弁護士報酬の分配がなされたこと自体が直ちに非弁提携が存在したことを立証することには」ならない、非弁提携と同様の評価を受ける事案であり、非弁提携の一態様であるとの原弁護士会の認定は、弁護士報酬の分配という事実を拡張して解釈するもので採用することはできない。本件において審査請求人と連合会ないしはBとの間に非弁提携があった。又は非弁提携類型の「周旋」事案と同程度の提携関係があったことを認定すべき客観的な証拠は見出せず、このような事実関係の存在を前提として、審査請求人を業務停止1年6月として原弁護士会の判断は重きに失する。

しかしながら、基本規程第12条について審査請求人の主張する理由は本件業務委託契約の本件約定に弁護士の独立性の保持への懸念及び非弁提携に陥りかねないという懸念を払拭できるような正当理由として認められない、また審査請求人は3年以上にわたり本件業務委託契約により弁護士以外の者との間で弁護士報酬の分配を行っていた、さらに審査請求人は基本規程第12条に対し独自の解釈を基に本件業務委託方式によるビシネスモデルとして主張し、本件事案の問題点を理解しようとせず、自己の独自の見解を固持している、またこれ以外に日弁連基準第二の十の違反も認められるところである。

(4)結 論

以上を総合考慮すると原弁護士会の処分を変更し、審査請求人を業務停止9月の処分とすることが相当である。

3 採決が効力を生じた日 2018年12月12日 2019年2月1日 日本弁護士連合会

事 例②埼 玉受任した事件処理の遅滞・放置・連絡が取れないなどで2回の懲戒処分を受け業務停止6月となった事例
◆2回目でも業界追放までせず業務停止6月という甘い処分で済ませたという事例 (資料は当会)
(1回目)懲 戒 処 分 の 公 告 2019年9月号

埼玉弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下のとおり通知を受けたので懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規程により公告する。
1処分を受けた弁護士氏名 加藤善大 登録番号 45584事務  所 埼玉県所沢市東所沢和田1-1-18栄ビル2階C 
東所沢法律事務所
2処分の内容 業務停止2月
3 処分の理由の要旨
(1)ア 被懲戒者は、懲戒請求者Aから、2015年4月30日に亡父Bの遺産に係る遺留分割事件を、同年5月27日にBに対する自殺幇助の被疑事件、同年7月28日に詐欺に係る損害賠償請求被告事件をそれぞれ受任したが、いずれも委任契約を作成しなかった。また被懲戒者は同年6月頃に懲戒請求者Aの父である懲戒請求者Cから懲戒請求者Aを被疑者とする弁護活動を受任したが、捜査段階に関する委任契約書は作成したものの、公判弁護活動に関する委任契約書を作成しなかった。

イ、被懲戒者は、上記詐欺事件、上記損害賠償請求被告事件等の各相手方との示談等に必要な金員を得る目的で懲戒請求者AからBの勤務先に対する死亡共済給付金等の至急手続を受任したが、速やかに着手せず、遅滞なく処理しなかった。

ウ、被懲戒者は上記詐欺事件について懲戒請求者Aが情状弁護を希望していたにもかかわらず、被害弁償に関する諸事情の立証その他情状に関する懲戒請求者Aとの打ち合わせ等の弁護活動に十分に取り組まなかった。

エ、被懲戒者は上記詐欺事件について一定の回数は懲戒請求者Aと接見したものの、2016年2月24日に開かれた第6回公判期日以降は、弁護人として接見が求められる時機に必要な接見を行わなかった。被懲戒者は上記期日の前日の接見時やその後の懲戒請求者Aの強い保釈希望を認識しており、また、同年3月17日に懲戒請求者Cから身柄引受書を取得していたにもかかわらず、同年5月2日までの保釈請求手続を採らなかった。

オ、被懲戒者は、懲戒請求者Cに対し、上記損害賠償請求被告事件について2016年3月17日付け請求書をもって着手金等324万円を請求したが、金額の具体的根拠、算定方法を示さなかった。

カ、被懲戒者は懲戒請求者A及びCから2016年6月4日付け文書をもって書類の返還等を求められ、その頃までに上記各委任契約が終了したにもかかわらず、起訴状等の預かり書類4点を返還しなかった。

(2)被懲戒者は懲戒請求者Dから2015年11月18日に懲戒請求者Dを相手方とする遺産分割調停事件を受任し着手金28万円のうち20万円を受領したが、上記調停事件が2016年2月頃に取り下げられてから間もなく、懲戒請求者Dから上記調停事件と被相続人及び遺産を同じくする遺産分割調停事件の申立てについて依頼を受けて了承したことについて、上記委任に基づく委任関係が継続していたにもかかわらず、同年6月頃から何度となく電話による問い合わせを受けたがこれに対応せず、調停申立ても行わなかった。

(3)被懲戒者は2015年12月頃、懲戒請求者Eから離婚した元夫に対する養育費請求事件を受任し、被懲戒者において日本司法支援センターへの代理援助申込みの手続をすること等も契約内容とする委任契約を締結したにもかかわらず、日本司法支援センター所定の手続及び養育費の支払実現に必要な法的手続をおよそ半年間行わず、懲戒請求者Eからの問い合わせ等にも対応しなかった。また、被懲戒者は懲戒請求者Eから内容証明郵便により書類の返還を求められたにもかかわらず、2016年11月に懲戒請求されるまで返還しなかった。

(4)被懲戒者は2016年9月29日、懲戒請求者Fから遺産分割事件について受任し、着手金等として27万円を受領したが遅滞なく着手せず、進捗状況の問い合せに対し多忙等を理由に説明の機会を設けなかった。また被懲戒者は所属弁護士会に対して懲戒請求者Fが申し立てた紛議調停による解決に務めなかった。

4処分の効力が生じた日  2019年5月9日2019年9月1日 日本弁護士連合会

(2回目)懲 戒 処 分 の 公 告 2021年3月号

1処分を受けた弁護士氏名 加藤善大   登録番号 45584 事務所 埼玉県所沢市東所沢和田1-1-18栄ビル2階C東所沢法律事務所
2処分の内容 業務停止6月

3 処分の理由の要旨

(1)被懲戒者は2018年6月1日、未成年者Aの親権者である懲戒請求者BからAの相続放棄申述手続を受任し、その手数料として同月15日までに10万8000円を受領したが、その後連絡が取れなくなり相続放棄手続のなし得る期間内に手続を行わなかった。

(2)被懲戒者は2018年7月6日、懲戒請求者Cから同人を被請求者とする慰謝料請求交渉事件を受任したところ、同年9月11日、実際には示談が成立していないにもかかわらず、あたかも示談が成立し、弁護士の成功報酬も発生しているかのような記載のメールを送信して、懲戒請求者Cに対し示談金や弁護士報酬合計84万4000円を振り込むよう請求し、その支払を行わせた。

(3)被懲戒者は所属弁護士会から業務停止2月の懲戒処分を受け2019年5月9日にその効力が生じたところ、同月13日、人事訴訟の期日に代理人として出頭し、同月14日、受任した刑事事件に係る示談書を検察庁に提出した、また被懲戒者は所属弁護士会から上記懲戒処分をうけたことから、受任している法律事件について直ちに依頼者との委任関係を解除した上、委任契約を解除した依頼者及び新たに取り扱う弁護士に対し誠実に法律事務の引継ぎ等をなすべきにもかかわらず、一部の受任事件について契約の解除手続をせず、預り金や資料の返還をしなかった、

4 処分が効力を生じた日 2020年9月9日 2021年3月1日 日本弁護士連合会

事 例③ 島 根期日を欠席した上に敗訴判決を確定させたり、送達された審判書を依頼者に送付せずに不服申立の機会を失わせたことを理由に業務停止8月となった事例

◆これで業務停止8月で済ませた島根県弁護士会 (資料は当会)
懲 戒 処 分 の 公 告 2021年1月号

1 処分を受けた弁護士氏名淺田憲三 登録番号18493 事務所 島根県出雲市今市町736-11 淺田憲三法律事務所 島根県弁護士会

2 懲戒の種別 業務停止8月  

3 処分の理由の要旨

(1)被懲戒者は2005年11月頃、Aから破産手続開始申立てを行う方針で債務整理を受任し、Aとの間で実費等を含む着手金を分割で支払うことを合意したが、Aがこの分割金を全く支払わなかったため、債権者である懲戒請求者B株式会社が被懲戒者に和解の連絡をしても弁護士費用の未納等を理由に事案の対応をせず、約13年間放置した

(2)ア 被懲戒者は2007年10月頃、懲戒請求者Cから債務整理事件を受任し、破産手続開始及び免責を申立てる方針であったにもかかわらず2017年11月28日の委任契約解除に至るまで申立を行わず、債務整理事件の処理を怠った。

  イ 被懲戒者は、懲戒請求者Cが2012年にD株式会社から、2015年にE協会からそれぞれ債務の履行を求める訴訟を提起された際、これまでの事情及び事実関係並びに債務整理事件に関する手続の見通しなども含めて説明した上で、訴訟事件の受任の可否及び訴訟対応について了解を得るべきであったにもかかわらず、それをせずにいずれの訴訟事件も受任し裁判所に訴訟委任状や答弁書を提出することもせずに期日に欠席し、漫然と懲戒請求者敗訴の判決を確定させた。

 ウ 被懲戒者は2015年10月頃、懲戒請求者Cに一切の説明することなくE協会に対し、懲戒請求者C及びその妹Fの代理人としてFが懲戒請求者Cの債務の履行を引き受け、毎月4万円ずつ履行する内容の念書を提出した。

(3)被懲戒者は、2017年11月頃、Gから任意整理を内容とした債務整理事件を受任したが債権者から消滅時効期間前に時効中断手続として訴訟提起がなされた場合、それまでの間に生じた遅延損害金の負担が生じる必要があったにもかかわらずこれを怠り、またその事件につき適切な報告をしなかった。

(4)被懲戒者は2017年6月23日懲戒請求者Hから土地所有権確認等請求訴訟を受任し、着手金50万円を受領して訴訟代理人として口頭弁論に出廷する等していたが、同年9月18日に面談をした後、懲戒請求者Hと協議を行う必要が高かったにもかかわらず、約5か月間もの間、事件の経過に関する報告や説明を怠り、また協議を行わなかった。

(5)被懲戒者は懲戒請求者Iから婚姻費用分担調停申立事件等を受任したところ2018年11月12日の調停期日の後頃から、懲戒請求者Iが連絡を試みたが被懲戒者と連絡が取れず、苦情の申出を受けた所属弁護士会の市民窓口の対応者から連絡を受けた2019年1月9日以降も懲戒請求者Iに連絡をしなかった。また、被懲戒者は上記調停申立事件につき、同年1月4日付けで懲戒請求者Iが相手方に対し毎月9万円を支払うこと等を内容とする調停に代わる審判がなされ、その頃、審判書が被懲戒者に送達されたが、これを懲戒請求者Iに送付せず、その結果、懲戒請求者Iが上記審判に対する不服申立ての機会を失った。

4処分が効力を生じた日 2020年7月20日 2021年1月1日 日本弁護士連合会

事 例④福 岡弁護士職務の適正化に関する委員会の上田英友委員(福岡県)は元会員が依頼者から金員を詐取した事案で、福岡県弁護士会が元会員に関する指導監督権限の行使を怠ったとして提起された損害賠償被告事件(原告らの請求は棄却)あわせて市民窓口に寄せられた際の調査体制を紹介した。

◆2012年に福岡の高橋浩文弁護士が約6億円の横領をした。福岡県弁護士会は事前に寄せられた苦情などから逮捕必至と考え、高橋弁護士に破産させた。逮捕時の新聞発表では元弁護士とし、福岡県弁護士会はうちにはそんな弁護士おらん!と上手く逃げ切った。成功例を紹介(資料は当会)

当会記事
日弁連の取り組みなど石本哲副委員長(東京)は弁護士法人に対する業務停止処分の執行手続きの留意事項を説明した。
◆弁護士法人アデイーレ法律事務所の業務停止2月の処分で全国の弁護士が過払い請求事件を受任し恩恵を受けた、しかし弁護士法人べリーベスト法律事務所の業務停止6月では事前に察知され東弁の他に第二東京、第一東京にベリーベストが法人を申請したため、業務停止6月(後日3月に変更)懲戒処分を受けてもまったく影響がなく全国の弁護士はアデイーレの時のように恩恵にあずかれなかった。
柴垣明彦委員長(東京)は日弁連の取り組みについて①非行探知 ②被害拡大防止 ③非行発生自体を防止 ④重大非行防止への対応という項目に沿って課題や具体的な瀬策を紹介した
◆日弁連は市民、依頼者のためにある組織ではなく、あくまでも弁護士のため、弁護士が業務をしやすいようにするために作られた組織です。
8月5日全国の懲戒担当者が日弁連に集まり、綱紀委員会に申立てされる懲戒請求にはどのように応じてきたか、今後の対策を講じたらよいか、つまり、どのような懲戒であったとしても弁護士のため退会までさせずに処分する。
弁護士を続けさせるために綱紀・懲戒はどうのような処分の出し方があるかという会議を開催したのです、(あくまで個人の推測です)