弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2022年3月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・神奈川県弁護士会・澤田久代弁護士の懲戒処分の要旨
処分理由・元依頼者と交わした紛議調停の合意を履行しなかった。(解決金を支払わなかった。)
「自由と正義」3月号の処分要旨だけ見た方はこういう弁護士もいるもんだという程度でしょうが、
澤田久代弁護士は2回目の処分となりました。今回の処分は1回目の関連の内容であると思われます。
1回目の処分は日弁連への異議申立が認められた事案でした。
「時系列」
①2018年10月3日 相続事件(建物明渡請求訴訟)受任 着手金32万円被懲戒者は事件受任時は横浜綜合法律事務所所属
②2018年春頃、事件に着手しないので紛議調停を申し立てた。
③2019年5月27日 被懲戒者、横浜綜合法律事務所退所
②と③の時期に被懲戒者は依頼者の了解なく調停を成立させた。元依頼者は神奈川県弁護士会に1回目の懲戒を申立てしたと思われる。
④2019年11月19日 神奈川県弁護士会綱紀委員会は懲戒請求を棄却した。(懲戒しない)
⑤2019年12月4日元依頼者と解決金(42万4000円)を支払うとの合意を締結した、
⑥2020年2月、解決金支払い期限が過ぎたが合意内容を履行しないので2回目の懲戒請求を申し立てたとみられる。
⑦懲戒請求者(元依頼者)は神奈川県弁護士会の棄却(1回目)に日弁連に異議(懲戒しないのは不当)を申立てた。
⑦2021年4月14日 日弁連は異議を認め戒告とした。被懲戒者は処分通知を受け取らない。官報に公示送達公告
⑧2021年4月29日 4月14日から14日後に日弁連は処分を公示送達による処分を決定した。(1回目の処分)
⑨2021年10月19日 神奈川県弁護士会は被懲戒者を業務停止1月の処分を下した。(2回目の処分)
(戒告処分は被懲戒者が処分通知を受けとらない限り処分になりません。)
神奈川県弁護士会が2019年11月19日付けでなした被懲戒者を処分しない旨の決定について、懲戒請求者から異議の申出があった。本会は上記決定を取り消して、以下のとおり懲戒の処分をしたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第6号の規定により公告する。
記
1 処分を受けた弁護士氏名 佐瀬久代
職務上の氏名 澤田久代
登録番号 23945
事務所 神奈川県横浜市中区扇町1-1-25 ギンガビル1階
澤田法律事務所
2 懲戒の種別 戒告
3 処分の理由の要旨
(1)神奈川県弁護士会は、懲戒請求者から東京家庭裁判所における遺産分割調停事件を受任したが被懲戒者が調停条項案を懲戒請求者に事前に送付せず、電話等で読み聞かせることもなく調停を成立させた点について、弁護士として万全であったとは言えないとしつつも、遺産のうち他の相続人が取得するとされた土地については、懲戒請求者が取得を望んでいないと被懲戒者が考えたことは諸事情からして無理からぬところがあり、被懲戒者の事件処理がその職務を行うに当たり品位を失うべき非行とは言えないと判断した。
(2)上記遺産分割調停事件については、懲戒請求者は一度も出頭しておらず、弁護士としては調停の経過などについて委任者に十全な説明をすることが求められる。特に調停の成立が見込まれるような段階に至った場合、想定される調停条項の意味内容等を委任者に説明し、了解を得ておくことは弁護士として当然の責務と言うことができる。しかし、被懲戒者は、自ら調停条項案を起案しながら、それを懲戒請求者に送付せず、説明することもなく遺産分割調停を成立させているのであって、このような行為は事件処理の協議(弁護士職務基本規定第36条)を著しく怠ったものであり、被懲戒者の事件処理はその職務を行うに当たり品位を失うべき非行というべきである。
(3)なお、被懲戒者は、日本弁護士連合会懲戒委員会における2回の審査期日に何ら連絡をすることなく出頭せず、日本弁護士連合会懲戒委員会による質問事項にも回答を提出していない。
(4)以上のとおり、本件異議申出は理由があるといえることから、被懲戒者を懲戒しないとした神奈川県弁護士会の決定を取り消し被懲戒者を戒告とすることが相当とする。
4処分が効力を生じた日 2021年4月29日 2021年6月1日 日本弁護士連合会
神奈川県弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。
記
1 処分を受けた弁護士氏名 佐瀬久代 職務上の氏名 澤田久代 登録番号 23945
事務所 横浜市中区扇町1-1-25ギンガビル1階 澤田法律事務所
2 懲戒の種別 業務停止1月
3 処分の理由の要旨
被懲戒者は、2018年10月3日にAから建物明渡請求訴訟の提起を受任し、着手金32万4000円及び実費代3万円の支払を受けたがこれに着手せず、その後Aの相続人である懲戒請求者が申し立てた紛議調停手続において2019年12月4日に解決金42万4000円を2020年1月末限り支払うとの合意が成立したにもかかわらず、これを遵守せず期限までに支払をしなかった。被懲戒者の上記行為は、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4処分が効力を生じた日 2021年10月19日 2022年3月1日 日本弁護士連合会
澤田法律事務所所属の澤田 久代弁護士に依頼された方へ 神奈川県弁護士会HP
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