弁護士自治を考える会

弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2023年11月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・大阪弁護士会・木原恵子弁護士の懲戒処分の要旨

日弁連広報誌「自由と正義」は毎月発行です。特集の読み物も充実しています。

あなたが取った懲戒処分の記念にぜひ1冊。お申込みは、日弁連広報課 自由と正義担当 03(3580)9840年間購読費12000円(税別)1冊でも購入可能です。

処分理由・依頼者と報酬でもめる

大阪弁護士会が懲戒申立を棄却したが懲戒請求者が日弁連に異議を申し立てた。過去、処分しないから、日弁連で戒告はありますが業務停止1月になった事案は1件もありません。

懲 戒 処 分 の 公 告

大阪弁護士会がなした2022年1月5日付けでなした対象弁護士を懲戒しない旨の決定について、懲戒請求者から異議の申出があった、本会は上記決定を取消して以下のとおり懲戒の処分をしたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第6号の規定により公告する。

          記

1 処分を受けた弁護士氏名  上月恵子

   職務上の氏名      木原恵子

登録番号 53391

事務所 大阪市北区中之島3-5-11 グランスイート中之島タワー306

リアン中之島法律事務所 

2 懲戒の種別 業務停止1月

3 処分の理由の要旨 

(1)被懲戒者は、受任事件について不当に高額な報酬の請求をしたことから依頼者と紛争となったところ、依頼者に有利になるよう作成し所属機関に提出した報告書の撤回や機微な私的情報の公開をほのめかし、さらに、依頼者が接触を拒絶して代理人を選任したにもかかわらず、終了した事件の相手方や所属機関の関係者に面談し、依頼者に不利益な事実等を述べて依頼者が被懲戒者に直接連絡するよう圧力をかけた等の事由により、当時懲戒請求者を雇用していた弁護士から懲戒請求された事案である。

原弁護士会懲戒委員会は、被懲戒者の各行為は、弁護士の最も基本的かつ重要な義務及び職責に反するもので、弁護士の名誉と信用を著しく害する非行に当たるとしたが、他方で懲戒請求者の請求に問題とするべき点があり、依頼者の秘密の保護の観点からも、懲戒処分に付することは相当でないとした。

(2)本会懲戒委員会は審査の結果、原議決書記載の被懲戒者の各行為に関する認定及び評価には誤りはないものと認めた。ただ、弁護士会の懲戒権の行使を促す端緒としてみれば、本件の懲戒請求者の請求に問題にすべき点はなく、依頼者の秘密の保護に被懲戒者の非行の程度の深刻さに鑑みれば、弁護士会が果たす観点からも、これをもって懲戒処分しない理由とすることは相当でないと判断した。

(3)したがって、被懲戒者がこの間反省を深め、周囲からサポートを受ける環境を整えてきたことを有利に斟酌すべき事情も考慮した上で、被懲戒者を処分しないとの原弁護士会の決定を取消し、被懲戒者の業務を1月間停止することが相当である。

4処分が効力を生じた日 2023年9月16日 2023年11月1日 日本弁護士連合会

弁護士自治を考える会

普通、懲戒処分の要旨には、弁護士職務規定第〇条に違反し、弁護士法第56条第1項弁護士としての品位を失うべき非行に該当すると記載されますが、この処分要旨にはありません、なぜ業務停止1月を選択したのかもありません。考えられるのは懲戒の審査に真摯に向きあわなかったと推測するしかありません。

懲戒請求を求めた事由よりも、弁護士として懲戒審査に臨む姿勢の問題ではなかったのではないかと思います。普通に対応しておれば処分が下されたとしても戒告で済んだのではなかったか?

原弁護士会懲戒委員会との記載がありますので、大阪弁護士会綱紀委員会で「懲戒相当」の議決がありましたが大阪弁護士会懲戒委員会は処分しないと裁決したことが分かります。

懲戒委員会は戒告・業務停止・退会命令・除名処分の中から処分を選ぶとなっていますが、「処分しない」ということもあるのです

女性弁護士懲戒処分