弁護士自治を考える会

弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2020年4月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・愛媛県弁護士会・西山多一弁護士の懲戒処分の要旨

処分の理由・事件放置

弁護士職務基本規程第(事件の処理)
第三十五条 弁護士は、事件を受任したときは、速やかに着手し、遅滞なく処理しなければならない。

 

2014年7月、法テラスから斡旋され契約した離婚事件、その後1年5か月放置。2016年1月くらいまで放置。放置されても影響がなかった離婚事件だったのでしょうか??

自由と正義の処分要旨も、もう少し説明が必要ではないでしょうか、被懲戒者が「今やってるから待ってください」等、依頼者に言ったとか、なにか理由があると思いますが、

愛媛弁護士会の懲戒審査にはどうもおかしいことがあります。

 

懲戒請求の流れ(処分ありの場合)

① 弁護士会へ懲戒請求申立

      ↓

② 弁護士会受理⇒綱紀委員会審査開始(約1週間)懲戒請求者へ受理書送付

      ↓

③ 綱紀委員会「懲戒相当」  約6か月から1年要す、議決書送付

      ↓

④ 懲戒委員会で審査、裁決、 (綱紀委員会の議決から約1年~2年要す)

      ↓

⑤ 懲戒委員会(処分)の裁決し⇒所属弁護士会長(同日又は2日~3日)

      ↓

⑥ 所属弁護士会から日弁連へ送付(1日又は3~4日程度)

      ↓

⑦ 官報公告(日弁連決定から約2週間)

      ↓

⑧ 日弁連広報誌「自由と正義」懲戒処分の要旨掲載 (官報公告から3月~4月後)

 

 

2016年1月に事件の依頼者が被懲戒者の訴訟をしていないことに気が付いて、遅くとも2016年の夏くらいには懲戒請求を申し出たでしょう。この事案では普通1年6月あれば懲戒委員会で決定されるはず、他の弁護士会であれば2018年の春くらいには処分が決定されていてもおかしくないのですが、愛媛の処分した日は2019年9月27日です。

処分までにずいぶんかかりましたね、そして処分の決定までにかかった日数がおかしいのではと思います。

懲戒委員会が処分を裁決した後、所属弁護士会長が決定をし日弁連に送られて処分内容が公表されます。

所属弁護士会から日弁連へ要する日数、普通は同日から3日~4日程度です。

懲戒委員会が処分を決定し所属弁護士会長が署名押印して決定書となりますが、要する日数は、同日あるいは2~3日です。(これは懲戒請求者しかわかりません)

今回の処分は2019年9月27日に処分を出して日弁連の決定が11月25日です。2月もかかっています。遅すぎます。他の弁護士会の対応とはまったく違います。

たとえば、香川のA弁護士の場合は2019年11月28日で日弁連決定が12月2日です。香川のB弁護士の場合も処分された日が12月1日で日弁連決定が12月4日です。日弁連は単位弁護士会から通知された懲戒処分の決定書を見て官報の処分公告と自由と正義の手続きを行います。

 

西山多一(愛媛) 処分 9月27日 日弁連 11月25日 官報 12月9日 自由と正義2020年4月号

A弁護士(香川) 処分 11月28日 日弁連 12月2日 官報 12月16日 自由と正義2020年4月号

B弁護士(香川) 処分 12月1日  日弁連 12月4日 官報 12月18日 自由と正義2020年4月号

では、同じ頃に処分された弁護士配下のとおりです。

C弁護士(神奈川)処分10月2日  日弁連 10月4日 官報10月23日  自由と正義2020年1月号

愛媛が日弁連に速やかに通知を行わなった理由

① 愛媛弁護士会は日弁連に処分決定書を送ると官報公告と自由と正義に自動的に出されることを阻止したかった。つまり処分された弁護士の氏名の公表を少しでも遅らせたかった。

② 被懲戒者が弁護士登録を抹消するのではないか、抹消すれば処分は出さなくていいので弁護士会が様子を見ていた。病気、高齢など、(過去に愛知で高齢弁護士に懲戒相当まで出ていて処分しなかった例があります。対象弁護士の死亡につき懲戒審査終了、つまり処分ナシ、)

③ 愛媛弁護士会が懲戒について詳しくないので、たんなる怠慢が原因。

京都弁護士会でも日弁連に通知を遅らせて処分の発表を遅らせたことがあります。
処分を受けた弁護士 金井塚修 登録番号7095
処分した日  2017年 1月20日 (戒告)
日弁連決定  2017年 4月21日 (3月遅れ)
官報掲載   2017年 5月17日
自由と正義  2017年 8月号
京都の場合、懲戒に詳しくないことはありません。京都弁護士会が高齢弁護士に対して何がしかの忖度を行ったのはないかと思います。
  

 

懲 戒 処 分 の 公 告

愛媛弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。

          記

1 処分を受けた弁護士

氏名 西山多一

登録番号 20118

事務所 愛媛県西条市喜多川391-4ジョイ・リーフわかくさ1B号

西山法律事務所 

2 懲戒の種別  戒 告  

3 処分の理由の要旨

被懲戒者は、懲戒請求者から離婚請求訴訟を提起することを依頼され、日本司法支援センターの援助決定を受けた後、2014年7月22日に代理援助契約書を作成したが、正当な理由なく、約1年5か月間、訴訟を提起しなかった。

被懲戒者の上記行為は、弁護士職務基本規程第35条に違反し、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

4処分が効力を生じた日 2019年9月27日

 2020年4月1日 日本弁護士連合会

   

 

愛媛弁護士会が懲戒処分を出したもので過去にこういうこともありました。

「二重処分の禁止を知らなかった、愛媛弁護士会」

弁護士法人アデイーレ法律事務所(東京)懲戒処分の要旨と処分取消の公告

 

 

弁護士懲戒処分【事件放置】の処分例 2024年3月更新