弁護士自治を考える会

弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2021年5月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・札幌弁護士会・粟生猛弁護士の懲戒処分の要旨

処分理由・解任時の報酬の説明が不十分。

処分理由は2つ、1は了解なく合意書を作成。2は依頼者が解任した時の報酬についての説明が不十分という理由です。

懲 戒 処 分 の 公 告

札幌弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。          記

1 処分を受けた弁護士

氏名 粟生 猛

登録番号 21632

事務所 札幌市北区北17条西2丁目2-24 粟生ビル4階

あわお法律事務所 

2 懲戒の種別  戒 告  

3 処分の理由の要旨

(1)被懲戒者は、懲戒請求者からAらに対する損害賠償請求事件に関する示談折衝等を受任していたところ、Aに対する損害賠償請求に関して、Aの代理人弁護士Bとの間で作成する合意書の調印の可否について、2019年2月8日、懲戒請求者から兄に相談してから結論を出したい旨の意向を示され、これを了解したにもかかわらず、懲戒請求者からの返答を待つことなく、同日、懲戒請求者の最終的な了解が得られた旨記載した送付文書により被懲戒者の職印を押印した合意書をB弁護士に送付し、さらに、B弁護士との電話において、懲戒請求者の最終確認を得た旨説明した。また、被懲戒者は、懲戒請求者から指摘を受けて自らの過失に気付き、翌日、郵便局に郵便物の取戻しの手続を申し出たが功を奏せず、同月14日、B弁護士に事情を説明し、上記合意書の取戻しを要請したが受け入れられず、懲戒請求者に対して上記合意書が取り戻せなかった事実を報告し謝意を示したのは同月25日になってからであった。

(2)被懲戒者は、懲戒請求者から、2019年2月27日、上記(1)の事件の委任契約を解除し、契約時に支払った金員全額の返還を求める電子メールを受領したところ、委任契約書では事件処理が中途で終了したときには協議に基づいて清算を行う旨の定めがあり、その協議ができない事情がないにもかかわらず、一方的に弁護士報酬の返還を拒絶した上、事件処理の状況又はその結果に関する説明を行わなかった。

(3)被懲戒者の上記(2)の行為は弁護士職務基本規程第44条及び第45条に違反し、上記各行為はいずれも弁護士法56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

処分が効力を生じた日2020年12月3日  2021年5月 日本弁護士連合会