日弁連異議申立書・宮下真理子弁護士(東京)

弁護士懲戒請求手続①所属する弁護士会綱紀委員会に付され審査が始まります。
懲戒書を受理し被調査人に送付→被調査人は答弁書を期限までに綱紀委員会に提出
→綱紀委員会の委員の中から2名が担当となり審査を始めます。
→被調査人提出の答弁書を懲戒請求者に送付→懲戒請求者は答弁書を見てさらに反論を書面に綱紀委員会に提出
→事案により何回か繰り返し担当がまとめる、
→委員全員出席の綱紀委員会で採決し議決書を作成→懲戒相当であれば懲戒委員会に付されます。どのような申立てであっても最低半年を要します。

(異議申立書のひな型としてもよくできています。参考にしてください)

宮下真理子弁護士には2件の懲戒請求の申立がありました。二人の関係はありません。当会とも関係ありません。

(令和5年東綱第279号)

令和 6年 2月 3日 

 

日本弁護士会御中

 

懲戒請求者 

住所 〇〇

氏名 〇〇

  

               異 議 申 立 書

 

     

〒158-0085 東京都世田谷区玉川田園調布1-11-14   

ファリオ田園調布401 茜空法律事務所   

被調査人 東京弁護士会所属 弁護士  宮 下 真 理 子     

申 立 の 趣 旨

東京弁護士会綱紀委員会による決定(令和5年東鋼第279号)は不適当なので異議を申立て、被調査人の懲戒処分を請求する。

懲 戒 の 理 由

令和5年10月の懲戒請求に対し、決定まで3か月程度しか経過していない上、更に必要な調査が行われていないと思料される、詳細は以下に述べる。 

1 令和5年9月9日、被調査人は世田谷区人権・男女共同参画課主催の「離婚をめぐる法律・制度活用講座 法律編」(以下、「講座」)の講師として、講座を担当した(甲第1号証「チラシ」・甲第2号証「音声データ」)。講座の中で、被調査人は別紙1を約20名の参加者に指南した(音声データ40:25~41:37)。

これは「配偶者に隠れて作成した口座に財産を移す」方法を用いた、不正な財産分与逃れであり、夫婦間の財産分与逃れについては、浦和地方裁判所川越支部平成元年9月13日民事部判決で、妻が本来財産分与の対象となる国債を隠していた事案において、夫の財産分与請求する機会を喪失させた不法行為だとして、妻に対して隠していた国債の半分の額の支払いが命じられている。

被調査人の上記のような行為は、弁護士職務基本規程第14条に規定する違法行為の助長にあたる。

2 被調査人及び代理人弁護士等は懲戒請求者の主張に対し、 講座内での不適切な発言は認めたものの、「弁護士職務基本規程第14条に違反することは争う」とし、また一方で「深い反省の意を表している」と弁明している。これでは一体何を深く反省しているのか不明である。「違法行為を助長するような発言を認め、深く反省する」ことと、「弁護士職務基本規程第14条違反を争う」ことは両立しない、全く矛盾した状態だからである。

3 また、本件講座は確かに DV・ モラルハラスメントの被害者を対象に含めていたが、 参加者に対して「実際に被害を受けている者であるか」等の必要な調査は行われていない。参加者は講座タイトルにあるように、純粋に「離婚について思い悩む」女性がほとんどであったことが予想され、また厚労省調査結果等の「離婚のうちDV事由によるものが4パーセント程度」である事実に鑑みると、離婚を思い悩む参加者の20名のうち、DV被害者は0~1人であった可能性が高い。被調査人の発言は、急迫していない者に財産分与で不正な利益を得させてしまうことにもなりかねない発言であり、 重大な非行に該当する。

 従って、東京弁護士会綱紀委員会の「本件発言のような方法を取ることが結果として必ずしも不当とは言えない場合もあること、本件発言によって具体的に不当な結果が生じたと認めるに足りる証拠はない」とすることには無理がある。

4 最後に、令和5年東鋼第279号の議決書には第1部会の部会長の氏名すら記載されていない。これは、責任の所在を明らかにしたくないという意図そのものであり、裏を返すと調査が適切に行われたとは認めがたく、 再度、日弁連綱紀委員会に詳細な調査を求める。 

以 上