強要未遂罪の弁護士、無罪主張 「DNA型鑑定は捏造」
自分が弁護を担当した刑事事件の被害者にはがきを送って被害届の取り下げを迫ろうとしたとして、強要未遂の罪に問われた第一東京弁護士会所属の弁護士、棚谷(たなや)康之被告(54)の初公判が8日、東京地裁(家令和典裁判長)であった。棚谷被告は「はがきの作成、発信のいずれにも関与していない。すべてを否認し、争います」と述べ、無罪を主張した。
起訴状によると、棚谷被告は2014年9月、国選弁護人として担当した傷害事件の被害者に対し、「公開の法廷で証言させられ、何も良いことはない」などと書かれた匿名のはがきを、住所地に宛てて郵送したとされる。被害者はすでに転居しており、はがきは受け取らなかった。
検察側は冒頭陳述で、「はがきの切手から検出されたDNA型が、被告の型とほぼ一致した」と主張。一方の棚谷被告側は「DNA型鑑定は捜査機関に捏造(ねつぞう)されたものだ」と訴えた。

朝日新聞社
引用
弁護士自治を考える会
2015年3月31日に逮捕されては初公判まで時間がかかったようです。
弁護人として被害者に示談を求めていく行為がどこまで許されるか
興味深い事案だと思います。
2015年3月31日 逮捕時の報道
弁護士を強要未遂罪で起訴 被害届の取り下げ迫る
 
弁護を担当している傷害事件の被害者に被害届を取り下げるように強要したようとしたとして東京地検は31日強要未遂罪で弁護士棚谷康之容疑者(52)東京都豊島区を起訴した。
地検は被害者の母親に対する強要未遂と証人威迫の容疑については不起訴処分とした。処罰価値が低いと判断したとみられる。
 起訴状などによると、棚谷被告は昨年9月18日、傷害事件の被害者の20代女性に「公開の法廷で証言させられる。そうなると学校や東京にいられなくなる。被害届を取り下げた方がいい」などと書かれたはがきを送ったとしている。
 
棚谷被告は傷害事件で起訴された男の国選弁護人でしたが、去年9月、被害者の20代の女性に「このままでは公開の法廷で証言させられて学校にいられなくなる」「被害届は取り下げたほうが良い」などと書いたハガキや封書を送り付け、被害届を取り下げさせようとしたということです。女性の関係者が警察に相談しため、被害届は取り下げられませんでした。
 
年度末のあわただしい中、検察が起訴をしました。
宮崎の強姦被害者への示談強要や札幌の弁護士の有罪判決もありました
弁護士の示談に関する手法、方法が問われているのかもしれません
(3月11日の逮捕時の報道)
 国選弁護人として担当した傷害事件の被害者らに対し、被害届を取り下げるよう脅したとして、警視庁捜査1課は10日、証人威迫と強要未遂の疑いで第一東京弁護士会に所属する弁護士棚谷康之容疑者(52)を逮捕した。 逮捕容疑は、昨年9月中旬、ホストの男に暴行を受けて大けがをした20代の女性やその母親に宛てて「傍聴人の前で決して愉快でないエピソードが白日の下にさらされる」「心にもない被害届は取り下げた方がいい」などと封書やはがきを送って脅した疑い。
 同課によると、ホストの男は昨年9月上旬に傷害容疑などで逮捕され、棚谷容疑者が弁護を担当。調べに対し容疑を否認している。
民事ですが

 

被害女性に示談強要は違法、弁護士に賠償命令

 富山県高岡市で2003年11月に起きた 強姦 ( ごうかん ) 事件の被害女性が、加害者の男(33)(強姦などの罪で実刑判決)の代理人の男性弁護士などを相手取り、 執拗 ( しつよう ) に示談を迫られ精神的苦痛を受けたとして損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が18日、名古屋高裁金沢支部であった。

 山本博裁判長は弁護士の活動を違法と認めた1審・富山地裁判決を支持し、弁護士に33万円の支払いを命じた。
 判決によると、弁護士は、女性が示談を拒否しているのを知りながら、10年7月から8月にかけ、女性と、女性の夫に計4回示談を求める文書を送った。さらに加害者の男の両親に女性の住所を教え、両親は同年7月、女性宅を訪問し、示談を申し入れた。山本裁判長は「弁護士の行為は社会的相当性を欠き、違法」とした。また、男の両親にも「過失は否定されない」として11万円を支払うよう命じた。
2012年7月18日23時04分 読売新聞)

賠償訴訟:性犯罪被害者に示談強要「違法」 弁護士に支払い命令--富山地裁

 富山県で03年に起きた性犯罪の被害者の女性が加害者の男(33)=強姦(ごうかん)罪などで実刑判決=やその弁護人の男性弁護士(44)を相手取り、執拗(しつよう)に示談を迫られ精神的苦痛を受けたとして880万円の損害賠償を求めた訴訟の判決があり、富山地裁が弁護士の行為を「違法」と認定していたことが分かった。判決は12月14日。男と弁護士に計583万円の支払いを命じた。
弁護士は「守秘義務があるので話せない」とコメントしている。
 男は当時20代の女性に包丁を突きつけて性的暴行をしたとして時効半年前の10年4月に強姦容疑で逮捕され
、懲役3年6月の実刑判決を同年9月に言い渡された。
 今回の判決などによると、女性は示談を強く拒否していたが、弁護士は加害者の家族に女性の住所を伝え、
家族が女性宅を10年7月に訪問。さらに、刑事裁判開始後の同年8月、女性の家族に「女性は検察官に都合よく利用されているが、裁判が終わると不要品を捨てるように相手にされなくなる」などと、示談を迫る手紙を送った。
 女性は「男の家族がまた訪ねてきたらどうしよう」などとパニックになり精神的苦痛を受けたという。
示談成立によって刑の減軽を図る弁護活動の一環とみられる。
 判決では「女性の示談に応じないとの意志は極めて明確で、示談交渉が不可能であることは客観的に明らか」と指摘。弁護士の行為の一部を「女性の感情をさらに傷付け、苦しめるだけであり、犯罪被害者等基本法の趣旨を損なう。正当な弁護活動を逸脱しており違法」と認定し、弁護士に33万円、加害者の男には550万円の賠償をそれぞれ命じた。 この弁護士は、被後見人の金を着服したなどとして、富山県弁護士会から過去4回、懲戒処分を受けている。

 

 

示談強要を行って懲戒処分を受けた例

 

棚谷康之弁護士(一弁)