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東京弁護士会会報 リブラ11月号 東京弁護士会の会報です。
東弁の弁護士が処分を受けた時に
懲戒処分の公表が行われます。
日弁連広報誌「自由と正義」の懲戒処分の要旨
の掲載は3か月ほど遅れます。
弁護士が業務停止1月以上の懲戒処分を受けた場合、弁護士会は記者クラブに記者発表をすることになっていますが、最近は大きな事件が立て続けにあり報道各社の紙面が空いてなかったようです。
懲戒処分の公表本会は下記会員に対し弁護士法第57条に定める懲戒処分をしたのでお知らせします。
記
被懲戒者 小口恭道 (登録番号12095)
登録上の事務所 東京都新宿区四谷2
四谷法律会計事務所
懲戒の種類 業務停止10月
効力が生じた日 2017年10月10日
懲戒理由の要旨1、被懲戒者は懲戒請求者が代表を務める法人において生じた3億2000万円の業務上横領事件に関し、同法人の関係者である被疑者らの弁護人を務めた。
被懲戒者は平成18年12月19日に上記被疑者らを担当していた検察官の指示により横領金3億2000万円のうち6500万円を預かるに至ったが、これは上記刑事事件の弁護人として保管を指示されたものであるので、上記業務上横領事件が平成20年9月30日に不起訴となって終結した時点で、遅滞なく上記被疑者らに返還すべきだったが、被懲戒者はこれを返還しなかった。
懲戒請求者は民事訴訟において債権者代位権に基づき被懲戒者に上記預り金の返還を求めたが、被懲戒者は訴訟において上記預り金を被疑者AないしはAの弟のBに返還したとの不自然かつ客観的証拠と明らかに矛盾する不合理な主張を繰り返し、弾劾証拠に接し主張を返還させるなど不誠実な態度に終始し、本人尋問においても上記不合理な主張に沿って事実と認められない陳述をした。これらの訴訟における被懲戒者の対応は誠実義務に違反する。
2、被懲戒者は、上記訴訟において上記不合理な主張を裏付けるため虚偽であることを認識している文書を証拠として提出した。
3、被懲戒者は本懲戒手続いおいて、6500万円をAに返還したとの虚偽の答弁をした。
4、被懲戒者は前記訴訟の控訴審において、虚偽であることを認識して虚偽の主張・供述を行った。
5、被懲戒者は、上記6500万円のうち預り金口座から払い戻した合計4500万円を自己の金庫に保管したと主張するがこのような多額の預り金を預り金口座において保管していない以上、預り金等の取扱いに関する会規第4条に違反する。また上記6500万円は前記1のとおり、平成20年9月30日に刑事事件が不起訴処分により終結した段階で、被疑者らに返還すべきであったが、控訴審判決を受けて平成27年7月に返還するまで、長期間返還していなかった。これは弁護士職務基本規程第45条及び預り金等の取扱いに関する会規第2条第2項(旧業務上の預り金の取扱いに関する会規第5条)に違反している。
6、被懲戒者の上記行為は弁護士法第56条第1項に定める弁護士の品位を失うべき非行に当たる。
2017年10月10日
東京弁護士会会長 渕上玲子
社会一般常識であれば、業界追放の処分になると思われますが、預り金を返さない。返還を求める裁判で虚偽の弁明をする。弁護士としてあるまじき行為ですが、とりあえず返せばこういう甘い処分になるのです。
なお小口恭道弁護士は4回目の懲戒処分になりました。
① 2010年 6月7日 業務停止1月
② 2011年 8月1日 業務停止1月
③ 2012年 12月5日 戒告
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