弁護士自治を考える会

弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2023年2月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・兵庫県弁護士会・崔舜記弁護士の懲戒処分の要旨

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処分理由・SNS投稿者に対し委縮させる内容の通知書を送付

弁護士の懲戒請求は所属弁護士会に申立てをしますが、所属弁護士会で棄却(処分しない)となった時、日弁連に異議申立ができます。1年に1件あるかないか珍しい処分です。

懲 戒 処 分 の 公 告

兵庫県弁護士会が2020年7月15日付けでなした被懲戒者を懲戒しない旨の決定にについて、懲戒請求者から異議の申出があった。本会は、上記決定を取消して以下のとおり懲戒の処分をしたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第6号の規定により公告する。

          記

1 処分を受けた弁護士氏名 崔 舜記

登録番号 40492

事務所 神戸市中央区江戸町96 ストロングビル8階

弁護士法人セラヴィ 

2 懲戒の種別 戒告

3 処分の理由の要旨 

(1)兵庫県弁護士会は、被懲戒者が顧問先会社の依頼を受けて、異議申出人が自身のブログに同社の商品・サービスを利用したがその効用が実感できなかったという趣旨の記事を投稿したことにつき、通知書3通を送付した行為について次のように判断した。

1通目の通知書は異議申出人の当該投稿が名誉棄損罪・偽計業務妨害罪に当たると断定し刑法上の罰則を羅列する等して当該投稿の削除と謝罪と金額を明示しない損害賠償を求める内容であるが、職務上の行為として違法とまではいえない。

2通目の通知書は、違法行為を認めて謝罪することや相当額の損害賠償額を短期間に支払うこと等異議申出人には応じ難い事項を含む確認書への同意を強く求める内容であり、穏当ではないが弁護士としての品位を失うべき非行とまでいえない。

3通目の通知書は、異議申出人が業界団体の消費者窓口に相談したことを挑戦的で信じられない暴挙と激しく非難して、刑事告訴等採り得る手段の全てを実行し、その結果異議申出人のブログの運営やアフリエイト(成果報酬型インターネット広告)による収益にも悪影響が生じる等の内容であり、このような言及は必要性に乏しく穏当な通知とはいえず、一連の交渉態度にも批判すべき点はあるものの、弁護士としての品位を失うべき非行とまではいえない。

(2)しかし異議申出人は、自身の運営する個人ブログに投稿したものであり、しかも顧問先会社がその投稿を知ったのはその半年後で、それまで異議申出人からの接触はなく、異議申出人金銭要求や嫌がらせの目的があったとは認められない、また、被懲戒者は、異議申出人が同社の商品サービスについて否定的評価を記載する一方、競業他社のサービスを高く評価して競業他社のウエブサイトに誘導するためのリンク設定をし、上記記事でアフリエイトによる収益を図ろうとしていたと指摘するが当該リンクが他社ウエブサイトに接続するものだったとは認められず、異議申出人の記事全体が不当なものだったということもできない。

ところが、被懲戒者は1通目の通知書で異議申出人の当該投稿を刑法上の犯罪に該当すると断定して刑事罰を列挙し、2通目の通知書で、刑事告訴を準備中で所轄署担当課に被害相談をしていると手続の進行をほのめかし、当該投稿内容が違法であることを前提に、上記確認書への署名を求め、同意しなければ刑事告訴やアフリエイトサイト等に通報・苦情申立て等すると警告しており、法的知識が豊富とはいい難い異議申出人がこれらの表現に困惑し、不安を感じたとしても無理はない。

また、異議申出人が1通目の通知書の要求に応じて当該投稿を削除して「お詫び」記事を投稿し、2通目の通知書に対し弁護士を探しているので期限の猶予を求める旨のFAXをする等の対応をしているにもかかわらず、被懲戒者はこれらを全く評価せず異議申出人が業界団体の消費者窓口に相談したことを挑戦的態度であり暴挙であると非難し、一方的に交渉の打ち切りと刑事告訴やアフリエイトサイトへの通報等採り得る手段を全て採る旨を宣言する3通目の通知書を送付した。

本件が法的知識に精通しているとはいい難い市民の紛争であることに照らせば、各通知書の表現及びこれらの送付にかかる被懲戒者の一連の交渉態度は、殊更に異議申出人を威圧し困惑させるものというほかなく、違法とまでいえないまでも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当するものといわざる得ない。

(3)以上のとおり、本件異議申出の一部には理由があるから、被懲戒者が真摯に反省しており、処分歴もないことを考慮しても、対象弁護士を懲戒しないとした兵庫県弁護士会の決定を取消し、被懲戒者を戒告とすることを相当とする

4処分が効力を生じた日 2022年6月21日 2023年2月1日 日本弁護士連合会

 

「書庫」審査請求と異議申立、処分取消と処分変更例 2023年2月更新