淫行処罰規定「削除を」 県弁護士会が談話
条例案が「威迫し、欺きもしくは困惑させる」性行為などを行ってはならないとしている点について、声明は「真摯な恋愛でも見方によっては『威迫』『欺罔(ぎもう)』『困惑』と捉えられるような行為が伴いうる」と指摘。「本来罰すべきではない行為に捜査が及んだり、当事者の一方的な被害申告で処罰される恐れが類型的に高い」とした。
条例案が、保護者の同意などがない18歳未満の深夜の連れ出しを処罰対象としている点も、17歳と18歳の交際を例に挙げて「親が交際に反対している場合、18歳が処罰される。子どもの自由が過度に制約されている」と指摘。その上で、「これらの懸念を正面から取り上げた議論が不可欠。当事者の子どもの意見も十分に聴取して行われるべきだ」とした。
条例案の処罰規定以外は「子どもを性被害から守るための総合的で恒常的な取り組みを宣言するもの」と評価し、処罰規定を削除した修正案の早期成立を求めている。
条例案は29日の県会県民文化委員会、7月1日の本会議で採決される見通し。同会子どもの権利委員会委員長の中嶋慎治弁護士は取材に、「県会の審議が大詰めを迎え、慎重な議論を求めるメッセージを発した」と述べた。弁護士会は29日に記者会見を開き、柳沢会長らが見解を述べる。
弁護士会は県会2月定例会前の2月上旬にも、処罰規定は「相当慎重な検討を要する問題であり、安易に賛成できない」とする会長声明を発表していた。 (6月29日)
弁護士自治を考える会
栃木県子どもを犯罪の被害から守る条例に対する意見書
意見の趣旨
2 子どもポルノの定義を限定しかつ明確化すべきである。
3 廃棄命令等違反についての罰則規定や立入調査等の規定は設けるべきではない。
4 子どもに不安を与える行為の禁止規定や子どもを威迫する行為の罰則規定を設けるべきではない。
5 子どもを守るためとの名目で刑罰を新設するのではなく、県民の子どもを被害者とする性犯罪に対する不安を
和らげるような諸政策をすすめるべきである。
意見の理由
当会は、子どもポルノの所持や子どもに不安を与える行為及び威迫行為が子どもに対する人権侵害行為であり、このような行為が社会から撲滅されることは望ましく、その意味では本条例の目的とするところに異論はない。しかしながら、本条例が上記行為につき刑罰を科すべき、あるいは禁止すべき行為とするには多々問題点があると思料するものであり、そのような見地から本意見を述べるものである。