弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2023年12月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・大阪弁護士会・青山友和弁護士の懲戒処分の要旨
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処分理由・上訴期限徒過
所属弁護士会で棄却(処分しない)とされた懲戒請求申立、懲戒請求者が日弁連に異議を申し出て認められたもの
大阪弁護士会が2022年11月24日付けでなした 被懲戒者を懲戒しない旨の決定について、懲戒 請求者から異議の申出があった。 本会は、上記決定を取り消して、以下のとおり懲戒の処分をしたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第6号の規定により公告する。
記
1 処分を受けた弁護士 氏名 青山友和 登録番号 37598
事務所 大阪府東大阪市中新開2-13-25 木の国ハイツ801
あおやま法律事務所
2 処分の内容 戒告
3 処分の理由の要旨
(1)原弁護士会懲戒委員会は、本件につき、、 第1に被懲戒者が異議申出人から訴訟を依頼された際に委任契約書を作成しなかった ことが弁護士職務基本規程第30条第1項に第2に同事件が一審で敗訴となり異議申出人から控訴を依頼されたのに、控訴期間を1日経過した後に控訴状を提出したた め控訴が却下されたことが同規程第35条に違反すると判断したが、異議申出人から被懲戒者に対して提起された損害賠償請求訴訟において和解が成立し和解金が支払われたことにより一切の紛争が解決されたと認められ、被懲戒者が反省していること等を斟酌すれば非行の程度が 「懲戒処分が相当な程度にまで至っているとは認められない」 として懲戒しないことを相当とする議 決をした。
(2)しかし、第1はともかく、第2の上訴期間 を過することは依頼人の裁判を受ける権 利を侵害するもので弁護士として重大な業 務の懈怠である上に、 上訴期間の把握と上 訴の手続は弁護士にとって容易に処理でき る初歩的な業務であるから、これを懈怠す れば原則として懲戒処分を相当とする非行 に当たることは、 同種事件の先例に照らしてもあきらかである
(3) ただし、上訴について依頼者の意思が明白でなかったなど上訴手続上に被懲戒者の責めに帰さない事由があった場合は、懲戒するまでの非行に当たらないと解される余地があるが、当委員会における被懲戒者の審尋結果からしても、当該事由を認めることはできない。また、事後に和解が成立し、異議申出人も被懲戒者を宥恕し懲戒請求の意思を放棄したなどの事由が認められる場合には、情状を考慮して 「懲戒処分が相当な程度にまで至っているとは認められ ない」と解釈する余地はあるとしても、異議申出人が現在も異議の申出をしてなお懲戒処分を求めており、和解金を支払っただけでは、 非行が治癒され懲戒処分を要しない程度に至ったと解するのは相当ではない。 (4) 以上のとおり、本件異議の申出は理由があるから、被懲戒者を懲戒しないとした原弁護士会の決定を取り消し、 被懲戒者を戒告とすることが相当である。
4 処分が効力を生じた年月日 2023年10月27日 2023年12月1日 日本弁護士連合会