「双方代理」「利益相反行為」 弁護士懲戒処分例 
日弁連広報誌「自由と正義」に掲載された弁護士懲戒処分の要旨
弁護士法第25条 弁護士職務基本規定第27条、第57条違反の懲戒処分例
双方代理・利益相反行為とよばれるもの、依頼した弁護士がいつの間にか相手側についたりするもの、職務を行い得ない事件の受任、処理に関わって処分。また弁護士の少ない地方の弁護士の処分が多い、ベテラン弁護士が多く処分の多くは戒告です。相続事件は別にしています。
弁護士職務基本規程(職務を行い得ない事件)
第二十七条 弁護士は、次の各号のいずれかに該当する事件については、その職務を行ってはならない。ただし、第三号に 掲げる事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合は、この限りでない。
一 相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件
二 相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるもの
三 受任している事件の相手方からの依頼による他の事件
四 公務員として職務上取り扱った事件
五 仲裁、調停、和解斡旋その他の裁判外紛争解決手続機関の手続実施者として取り扱った事件
処分例
懲 戒 処 分 の 公 告 2024年10月号

1 処分を受けた弁護士氏 名 岩本直樹 登録番号 37569 事務所 松山市一番町1-14-7 フジコビルF3階

しろやま法律事務所 2 懲戒の種別 戒告

3 処分の理由の要旨 

被懲戒者は2018年2月16日及び同年4月6日の法律相談において、A組合の理事である懲戒請求者から、A組合の理事会運営を正常化する手段としてA組合代表者に対して名誉毀損又はパワーハラスメントを理由に損害賠償請求することにつき相談を受け、懲戒請求者から具体的事実関係について事情聴取し、懲戒請求者に対し、名誉毀損に基づく損害賠償請求の見込みについては言及していないものの、A組合の理事会運営を正常化するための手段として、組合員又は理事の立場で総代会において問題視することを助言し、さらにその後、懲戒請求者の推薦によってA組合の顧問弁護士に就任したところ、後日、懲戒請求者がA組合代表者らに対し上記各法律相談において相談していた損害賠償請求につき訴訟を起こした際、被告であるA組合代表者の訴訟代理人として訴訟行為を行った。

4処分が効力を生じた日 2024年3月29日 2024年10月1日 日本弁護士連合会

懲 戒 処 分 の 公 告 2023年3月号

処分を受けた弁護士氏名 山崎弘子 登録番号 30651 兵庫県弁護士会懲戒の種別 戒告

処分の理由の要旨 被懲戒者は、2018年7月24日以降、有限会社Aの代表者である懲戒請求者からA社が医療法人社団Bから業務委託契約上の保証金の返還義務を免れる方法についての相談を受け、積極的な助言をしたにもかかわらずB法人の代理人として2020年8月21日付けで上記保証金の不当利得返還請求権を被保全権利としてA社を相手方とする仮差押命令の申立てを行い、同年11月19日付けでA社を被告とする不当利得返還請求訴訟を提起し訴訟行為を遂行した。 4処分が効力を生じた日 2022年11月18日 2023年3月1日 日本弁護士連合会

懲 戒 処 分 の 公 告

1 処分を受けた弁護士氏名 松本昭幸 登録番号 13688 第二東京 松本法律特許法律事務所 

2 懲戒の種別 業務停止1月

3 処分の理由の要旨

(1)被懲戒者は、懲戒請求者及びAから同人らの弟である被相続人の遺産に関する預貯金の払戻手続、遺産分割協議の成立及び協議書の作成、不動産の管理並びに相続税の申告手続等の業務を内容とする委任契約を締結するに当たり、利害の対立が顕在化した場合における辞任の可能性その他の不利益を及ぼすおそれがあることを説明しなかった。

(2)被懲戒者は、上記(1)の事件につき、2016年5月26日付け書面にて委任契約が懲戒請求者から解除されたにもかかわらず、同年7月懲戒請求者の代理人として、相続税申告及び遺産である不動産の一部について賃貸借契約更新に関する手続を行った。

(3)被懲戒者は、上記(1)の事件につき遅くとも2016年10月7日、懲戒請求者が遺産である不動産の遺産分割を未了としてAを相手方として遺産分割調停の申立てを行う意向を被懲戒者に伝えた時には、相続人間の利害の対立が顕在化していたにもかかわらず、その後も依頼者の依頼者の一人であるAの代理人としてとどまり、元依頼者である懲戒請求者を相手方として遺産分割に関する交渉及び訴訟行為等を続けた。

(4)被懲戒者は上記(1)の事件につき、委任契約を解除され、懲戒請求者から依頼された職務のうち、相続税の申告については無権代理行為として行ったに過ぎず、不動産の登記手続を完了しているとも言えないにもかかわらず、懲戒請求者に対し報酬金として上記(1)の委任契約につき締結した報酬契約書の趣旨に基づく計算による満額である税込540万円の報酬を提示した。4処分が効力を生じた日 2024年3月27日 2024年9月1日 日本弁護士連合会

懲 戒 処 分 の 公 告 2024年5月号

 処分を受けた弁護士氏名 小寺正史登録番号 17043 札幌 弁護士法人小寺・松田法律事務所 懲戒の種別 戒告

処分の理由の要旨 

被懲戒者は、株式会社Aに関する税務事件への対応につき、A社が運営する飲食店の店長であった懲戒請求者及びA社代表者から法律相談を受けた上で、2017年6月26日、被懲戒者が代表社員を務める弁護士法人とA社との間で委任契約を締結したところ、上記委任契約の内容上、上記税務事件が刑事事件に進展した場合に懲戒請求者に関し不起訴処分を獲得する等、懲戒請求者に有利な結果を得ることが成功報酬の支払条件として定められており、上記委任契約の前後を通じて懲戒請求者から上記飲食店における具体的な経費支出の内容やその処理方法に関する相談を受け、事実関係の聴取や助言を行ったにもかかわらず、2019年2月12日、A社から、上記飲食店の経費支出に関する会計処理の内容を争点に含む、懲戒請求者に対する上記飲食店の売上金の引き渡しに関する請求事件の委任を受け、同年5月21日、懲戒請求者に対する請求を行った。4処分が効力を生じた日 2023年12月27日 

懲 戒 処 分 の 公 告 2023年月号

1 処分を受けた弁護士氏名 黒田充治 登録番号 22286  黒田法律事務所 

2 懲戒の種別 業務停止8月

3 処分の理由の要旨

(2)被懲戒者は2017年9月頃、懲戒請求者Dから法律相談を受けて、相当程度の助言をなし、陳述書案を作成し、警察署への被害相談にも同行した上で、報酬も得た事件について、懲戒請求者Dが2018年12月21日に提起したEらに対する損害賠償請求訴訟において、Eら一部被告の訴訟代理人として2019年1月24日付け答弁書を提出しるなどの訴訟活動を行った。4処分が効力を生じた日 2023年3月17日 2023年8月1日 日本弁護士連合会

懲 戒 処 分 の 公 告 2023年10月号

1 処分を受けた弁護士氏名 丸山 實 登録番号 13707 東京弁護士会 丸山實法律特許事務所 

2 懲戒の種別 戒告

3 処分の理由の要旨 

被懲戒者は、懲戒請求者が所有する自動車につきAと所有権留保付き売買契約を締結したところAが上記自動車を運転中、他車に追突される事故により生じた物損について2019年7月31日、Aから損害賠償請求等を受任していた一方でAと懲戒請求者との間で損害賠償請求権の帰属につき利益が相反し得る状況であったにもかかわらず、同年8月6日、重ねて懲戒請求者から損害賠償請求等を受任した。

また被懲戒者は、懲戒請求者から上記損害賠償請求等を受任するにあたり物損に関する損害賠償請求権がAに帰属すると判断したことや、懲戒請求者と締結する委任契約が自動車保険の弁護士費用特約を利用するための手段であって形式的、便宜的なものにすぎないこと等について説明をしなかった。

4処分が効力を生じた日 2023年5月26日 2023年10月1日 日本弁護士連合会

 

 
泉谷恭史弁護士(和歌山)17861 戒告 2017年4月
 
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堀川隆二弁護士(兵庫)29614 戒告 2011年8月
 
清藤恭雄弁護士(仙台)12847 戒告 2009年4月
 
小澤彰弁護士(第二東京)12898 戒告 2017年1月
 
新井慶友弁護士(京都)33654 戒告 2008年11月
 
櫻井幸一弁護士(岡山)18623 戒告 2007年6月
 
保田行雄弁護士(東京)17663 戒告 2017年12月
 
中嶋俊作弁護士(大阪)21589  戒告2018年2月
糸賀良徳弁護士(茨城)21507 戒告 2018年12月
越知保見弁護士(第一東京)20193 業務停止3月 2019年4月
        
 南聡弁護士(京都)24271 戒告 2019年9月
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亀岡尚則弁護士(大阪)46169 戒告 2019年12月
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佐藤辰弥弁護士 (福井)16472 戒告 2020年10月号
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道山智成弁護士(山口)46573 業務停止1月 2021年2月号
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