弁護士自治を考える会

弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2022年12月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・東京弁護士会・松尾翼弁護士の懲戒処分の要旨

日弁連広報誌「自由と正義」は毎月発行です。特集の読み物も充実しています。

あなたが取った懲戒処分の記念にぜひ1冊。お申込みは、日弁連広報課 自由と正義担当 03(3580)9840年間購読費12000円(税別)1冊でも購入可能です。

処分理由・所属弁護士の管理監督責任

懲戒処分として珍しい内容です。

(1)登録番号7809 9期 今年で67年目の超ベテラン、登録から初の処分までの最長記録となりました。

(2)代表を務める弁護士法人の弁護士の所属は東京・第一東京・第二東京です。処分を受けた同事務所の弁護士は第一東京弁護士会の冨永伸太郎弁護士(29237)2022年12月号自由と正義に処分要旨が掲載されています。

(3)代表の松尾弁護士(東京)の処分日が2022年7月13日、冨永弁護士(第一東京)の処分日は8月8日、懲戒請求者は東京と第一東京に懲戒の申立てを行ったわけですが担当弁護士の非行と代表の監督責任の処分を取ったのは懲戒の実務、法律にかなり詳しい方ではないでしょうか、ひょっとすると弁護士さんかも? 

(4)懲戒の申立てを行う場合、委任契約書にその事務所の弁護士が署名押印してある場合、全員を懲戒請求する方もおられますが、担当以外にはなかなか処分がないのと代表弁護士の監督責任まではなかなか取れないのが実情です。

なお超ベテランで有名な事務所のボス弁ですから、この先、日弁連に異議(審査請求)を出されるでしょう。さてどうなるでしょうか?長年、弁護士の処分を見てきていますが、この処分はひょっとすると、取消があるかもしれません!

「自由と正義」は同じ法律事務所の処分であれば並べて掲載するの場合が多いのですが、今回は松尾弁護士が69ージ冨永弁護士が73ページと目立たないよう離れて投稿されています。日弁連の大ベテランへのご配慮だと推測します。

弁護士法人松尾綜合法律事務所 https://www.mknet.jp/

この処分には関係ありませんが、所属弁護士の中に元フジTVのアナウンサーの菊間千乃弁護士(第二東京)がおられます。1月に松尾綜合法律事務所で代表パートナー弁護士に就任。

懲 戒 処 分 の 公 告

東京弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。

          記

1 処分を受けた弁護士氏名 松尾 翼 登録番号 7809

事務所 東京都千代田区内幸町2-2-2 富国生命ビル18階

弁護士法人松尾綜合法律事務所 

2 懲戒の種別 戒告

3 処分の理由の要旨 

被懲戒者は2017年5月12日に懲戒請求者が株式会社Aを被告として提起した損害賠償請求訴訟について、被懲戒者が代表社員であった弁護士法人において受任し、事務所に所属するB弁護士らと共に被告訴訟訴訟代理人として名前を連ね、担当のB弁護士による名義使用を包括的に許諾していたところ、B弁護士が上記訴訟において、懲戒請求者の社会的評価を低下させ、かつ、争点との関連性がなく訴訟行為追行のための必要性、相当性からしても正当な訴訟活動とは認められない記述を含んだ準備書面を提出し、被懲戒者はB弁護士の訴訟追行等に関して監督上の努力義務を行った。

被懲戒者の上記行為は弁護士職務基本規程第5条、第6条及び第61条に違反し、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

4処分が効力を生じた日 2022年7月13日 2022年12月1日 日本弁護士連合会 

〈B弁護士の処分要旨〉

懲 戒 処 分 の 公 告 2022年12月号

第一東京弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。

          記

1 処分を受けた弁護士氏名 冨永伸太郎

登録番号 29237

事務所 東京都千代田区内幸町2-2-2 富国生命ビル18階

弁護士法人松尾綜合法律事務所 

2 懲戒の種別 戒告

3 処分の理由の要旨 

(1)被懲戒者は懲戒請求者から提起された損害賠償請求の被告である株式会社Aの訴訟代理人であったところ、氏名や生年月日を偽った旨及び逮捕歴がある旨などの名誉感情を侵害するなどの名誉等を毀損すると評価される記述を準備書面に記載し口頭弁論で陳述した。

(2)被懲戒者は上記(1)の訴訟において、外国人であることを理由とした差別的な記述がある新聞記事を証拠として提出し取り調べを求めた。

(3)被懲戒者の上記(1)の行為は弁護士職務基本規程第5条、第6条に違反し、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

4 処分が効力を生じた日 2022年8月8日 2022年12月1日 日本弁護士連合会

法律事務所職員・弁護士会職員に対する非行に関する弁護士懲戒処分例 2022年10月更新