
群馬県弁護士会2025年綱15号 懲戒請求事件
対象弁護士 小川晶 登録番号35233
調査開始日 2025年9月30日
処分を求めた理由 (概略)
前橋市長でもある対象弁護士は公用車を不正利用し職員といわゆるラブホテルに約10回程度行ったことは弁護士としての非行に該当する。
弁明書
群馬県弁護士会綱紀委員会殿 令和7年10月31日
前記の事件につき、以下のとおり弁明する。
第1 懲戒委員会に事案の調査を求めないことを相当とする旨の決議を求める。
第2 「懲戒請求の理由に対する答弁」
1 「公用車の不正利用については、以下の理由から否認する。
公用車の使用記録によると対象弁護士には、報道されているホテルへの送迎のような不適切な公用車の利用はない。帰宅時に、自宅以外の私事先への送迎も前橋市の公用車運用ルール上認められており、今回の市役所近くの商業施設前への送迎も問題がないことを確認している。
2 「不貞行為」についても否認する、
対象弁護士と男性職員は、ホテルに行ったが両者間に不貞行為はない。
この点については、男性職員からも代理人弁護士を通じて同様の説明がなされている。その内容は、「市長との間に男女の関係は一切ない」こと「会話の場所にホテルを選んだことは自身の提案である」こと、「私が判断を間違ったため多大な迷惑をかけた。市政への不信感を与えた」(令和25年10月11日付読売新聞)ということである。なお、同男性職員の代理人弁護士は、男性職員のみならず、その妻からも同様の依頼を受けて夫婦の代理人となっていることから、夫婦の間で利益相反がないこと、今後、その可能性がないことが推測される。
対象弁護士がこれまでに男性職員の配偶者から法的責任を全く追及されていないことはその証左である。
3 まとめ
対象弁護士に弁護士としての信用を失墜させる恥ずべき行為は認められないのであるから、懲戒請求者の主張には理由がなく、対象弁護士に懲戒事由は存在しない。
以 上
議決書 2025年(綱)第15号
懲戒請求者 ●●
対象弁護士 小川晶 登録番号 35233
対象弁護士代理人 釘島伸博弁護士 22964 弁護士法人釘島総合法律事務所 前橋市古市町1-43-1
(平成29年 群馬県弁護士会長)
主 文
対象弁護士につき、懲戒委員会に事案の審査を求めないことを相当とする。
理 由
第1 事案の概要
本件は、対象弁護士が、前橋市長として在任中の令和7年2月ころから同年9月ころまで、部下の既婚者の男性と前橋市内のいわゆるラブホテルにおいて滞在し不貞行為を行ったこと及び公用車を不正使用したことが弁護士の品位を失う非行に該当するとして懲戒申
立てがなされた事案である。
第2 懲戒請求事由の要旨
1,対象弁護士は、公用車の不正使用、不貞行為を行い、市長としての職業倫理、弁護士倫理に反する。
2、対象弁護士は、不貞行為と疑念を持たれかねない宿泊出張が判明する限り3回行われ、公費の不正支出があり、弁護士としての品位を失うべき非行がある。
第3 対象弁護士の弁明の要旨
1 対象弁護士には公用車の不正使用はない。
2 対象弁護士には、男性職員との不貞行為はない。
3 対象弁護士には、弁護士としての信用を失墜させ恥ずべき行為は認められないので懲戒請求者の主張には理由がない。
第4 懲戒請求者の主張・証拠
1 懲戒請求書及び添付資料(令和7年9月26日付)
2 懲戒事由の追加請求書及び添付資料(令和8年1月22日付)
第5 対象弁護士の主張・証拠
1 弁明書(令和7年10月28日付)
2 乙第1号証(当該職員の事情説明書について)
3 乙第2号証(ネット上の事情説明書
4 乙第3号証(読売・上毛・朝日・毎日の各新聞報道)
5 乙第4号証(市職員の妻のコメント・毎日新聞)
第6 当委員会の認定した事実及び判断
1 対象弁護士は、令和6年4月から前橋市長の職にあり、令和7年2月下旬ころから、同年9月ころまで、前橋市役所の秘書広報課長である既婚者である男性と約10回に亘り、勤務時間外に私に前橋市内のいわゆるラブホテルを利用して打ち合わせと称して2人で数時間滞在していたことが認められる。
しかし、不貞行為の有無については、これを否定する証拠もあり、不貞行為があったとまで認定できない。
2 また、対象弁護士が、職務時間外に既婚男性と約10回に亘り、ラブホテルを利用し、市政等について相談を重ねていたことにより、不貞行為があったと推認されかねない状況を作り出し、そのため市民からの苦情が相次ぎ、市政に混乱を来したことは、公的地位にある立場としては、道義的政治的な非難は免れない。
3 弁護士に対する懲戒制度は、弁護士自治の制度と表裏をなすもので、弁護士制度についての国民からの信頼を基礎とするもので、懲戒を受ける行為は、弁護士の職務の内外を問わないが、弁護士としての国民の信頼を害するか否かという観点から、私的事項の場合、弁護士としての職務に関することを経緯として行われた場合や弁護士に対する社会的信頼を著しく損なうと評価されるような行為等に限り、品位を失うべき非行に該当すると考えるべきである。
本件は、不貞行為についてはこれを認定するまでに至らず、市長としての公的立場に対する非難はともかく、弁護士としての社会的信頼を著しく損なうものとまで評価できないこと、また弁護士としての職務に関することを経緯として行われたものではない。なお新聞報道にとどまるが既婚男性の妻は、対象弁護士に対する法的手続きをとることは考えていないとのことであり、夫婦関係が破綻に至ったような事情も認められない。
以上から、対象弁護士の行為について、品位を失うべき非行があったととまでは言えない。
4 また、対象弁護士が公用車を不正使用した事実や公費を不正支出した事実は証拠上認められない。
5 以上から対象弁護士の各行為は、弁護士法第56条に違反する非行があったと認めることはできないから、主文のとおり議決する
令和8年(2026年)6月17日群馬県弁護士会綱紀委員会 委員長 小磯正康 印
