判決文・委任状・証拠等偽造した弁護士の懲戒処分例②
⑪ 栗田 隆 32879 東京 業務停止2月 2013年7月
「安心してください。やってますから」
被懲戒者は、2010年11月1日懲戒請求者から交通事故に関する損害賠償請求事件を受任し同月22日懲戒請求者が加入する保険会社から着手金として10万5000円を受領したが2011年12月8日まで訴訟を提起することなく事件の処理を放置した。被懲戒者は同年2月8日上記保険会社に対して訴訟を提起した旨を連絡し、あたかも訴訟手続が進行しているかのような内容を記載した同年9月6日付け報告書を送付した。被懲戒者は同年10月19日及び同年12月7日懲戒請求者に対し捏造した虚偽の事件番号を記載した訴訟経過に関する報告書を送付した。
⑫内海 英二 28538 大阪 業務停止6月 2013年9月
被懲戒者は2007年9月6日懲戒請求者から債権者4社に関する債務整理事件を受任し速やかに着手したものの2008年11月には心身に変調を来たし、その後も心身の状況が悪化して2年以上事件処理をせずに放置した。その間の2009年11月4日に被懲戒者は懲戒請求者にして債権者から過払金の返還を受けたこと等の虚偽の事実を記載した事件処理の結果を報告する計算書を送付した。
⑬ 柳優香 35799 福岡 戒告 2013年8月
「私は悪くない!悪いのは事務員」
被懲戒者は2010年9月Aから破産申立事件を受任し委任事務の処理を事務職員であるBに担当させたがBが違法又は不当な行為に及ばないように指導及び監督することを怠った。その結果、Bは2012年3月上記事件の進捗状況に関するAの姉Cからの問い合わせに対し上記事件の申立てを行っていないにもかかわらず申立て済みである旨の虚偽の回答を行い同年破産事件申立受理票を偽造して破産申立書類一式とともにCに送付した。
⑭ 中丸正三 18900 広島 除名 2014年 2月
「行方不明で除名」
被懲戒者は2011年頃、懲戒請求者から破産申立事件を受任したが何らの手続を執ることなく2013年7月26日まで放置した。被懲戒者は同年5月16日懲戒請求者から受任事件の進捗状況を聞かれ懲戒請求者に対し破産手続開始決定済みである旨の虚偽の報告をおこなった。また被懲戒者は同月24日付け破産手続開始及び破産手続廃止の決定書並びに同年6月28日付け免責許可決定書をそれぞれ偽造し同年7月16日及び19日に懲戒請求者に対しこれらの写しを交付した。 被懲戒者の上記の行為は弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。被懲戒者は2013年7月29日頃から行方不明となり上記行為に関する懲戒手続きにおいて答弁及び弁明を行わないことなどを考慮し除名を選択する。
関康郎弁護士(東京)有罪判決 2013年7月9日
成年後見人で被後見人の預金を横領し通帳を偽造した判決要旨
⑯ 本田洋司 12900 二弁 除名 2015年7月
「詐欺団リーダー・印鑑偽造」
①被懲戒者はAらと共謀して2011年1月31日独立行政法人Bを売主、懲戒請求者を有限会社Cを買主、被懲戒者を立会人とし独立行政法人Bの偽造された印鑑が押印された不動産売買に関する契約書を示すなどして東京都所在の土地を購入できると懲戒請求者C社を誤信させ同日懲戒請求者C社から売買代金名下に5000万円を詐取した。②被懲戒者はAらと共謀して2011年8月19日独立行政法人Bを売主、懲戒請求者Dが代表取締役を務める株式会社Eを買主とし独立行政法人Bの偽造された印鑑が押印された不動産売買に関する契約書に立会人として押印するなどして静岡県所在の土地を購入できるとE社を誤信させ同日E社から売買代金名下に3500万円を詐取した。③被懲戒者はAらと共謀して2012年10月19日独立行政法人Bを売主懲戒請求者株式会社F及び懲戒請求者Gを買主とし独立行政法人Bの偽造された印鑑が押印された不動産売買に関する契約書に立会人として押印された不動産売買に関する契約書に立会人として押印するなどして神奈川県所在の土地を購入できると懲戒請求者F社及び懲戒請求者G社を誤信させ同日、懲戒請求者F社及び懲戒請求者G社から売買代金名下に3000万円を詐取した。
⑰ 白井裕之 23727 大阪 除名 2016年4月
「判決文偽造」
被懲戒者は、株式会社A又はその代表者Bから損害賠償請求事件、公正証書遺言無効確認等請求事件等合計4件を受任したが、これらの事件について訴訟提起していないにもかかわらずこれを隠蔽し訴訟提起等したと見せかける目的で2013年12月18日ころから2015年2月10日頃にかけて、4回にわたり判決正本、決定書等の公文書合計4通を偽造した上、偽造後まもなくA社又はB社に対し真正に成立したもののように装って上記各行偽造公文書の写しを交付し、またはファクシミリ送信した。
(報道)
判決偽造の白井裕之元弁護士に懲役3年の実刑判決
29日付で、産経ニュースは「未提訴放置を隠蔽→判決偽造 元弁護士に懲役3年判決 大阪地裁、2800万円着服も認定」として、以下の記事を配信した。
民事訴訟の判決文を偽造したり、預かり金約2800万円を着服したりしたとして、有印公文書偽造・同行使と業務上横領の罪に問われた元弁護士、白井裕之被告(59)に、大阪地裁は29日、懲役3年(求刑懲役5年)の判決を言い渡した。弁護側は即日控訴した。 西野吾一裁判長は判決理由で「弁護士への信頼を裏切る悪質な犯行だ。知識を悪用し、司法への信頼も損ねた」と批判。今年4月、所属していた大阪弁護士会から除名の懲戒処分を受け、弁護士資格を失ったことを踏まえても実刑が相当と判断した。 判決によると、白井被告は平成25年10月~昨年5月の間に、民事訴訟2件を提訴せず放置していたことを依頼人に隠すため、事務所のパソコンで大阪地裁や大阪高裁の判決文など計5通を偽造。また、別の依頼人から相続財産として預かった不動産の売却代金を銀行口座から引き出し、計約2800万円を着服した。
⑱ 門田修作 24471 札幌 退会命令 2002年2月
「昔からやってました」
被懲戒者は破産管財人の務の遅滞を取り繕うため裁判所に虚偽の報告をしたことの発覚を防ぐ目的で2001年訴訟提起していなかった破産財団に関する二通の訴訟事件の判決正本の写し各1通を偽造し翌21日これをファクシミリを使用して破産裁判所に送信し提起したものである。
⑲ 竹田吉孝 26780 東京 業務停止1年 2005年9月
相続事件で熟慮期間伸長日時を間違えて伝えたため再度延長が認められるよう書類を偽造
⑳ 石川勝利 23523 東京 業務停止2年 2006年6月
未払い金請求訴訟を受任 着手金受領後放置、提起したと虚偽報告、勝訴したと判決文偽装
㉑ 三島駿一郎 10861東京 業務停止6月 2007年10月
個人再生事件で給与証明書偽造
㉒ 近藤利信 13795 東京 業務停止1月 2009年5月
懲戒請求者がAを代理して2006年8月に貸金業者B社に対して提起した
不当利得返還請求訴訟において被懲戒者が過去にAの依頼を受けて債務整理を行った際B社との間で利息制限法に基づく引直計算をしないまま和解を成立させたか否か、及びこの和解がAの真意に基づくものであったか否かが重大な争点となったこのような状況の中で被懲戒者は訴訟において証拠として使用されることを承知していながら利息制限法に基づく引直計算を行った旨,及びAも和解を了承していた旨の記載をした虚偽の報告書を作成しこれをAの訴訟の相手方であるB社に対して交付した被懲戒者の行為は委任終了後の行為である等の事情を考慮しても依頼者の利益に反し、またその信頼を裏切るものであって非行の程度は軽いものと判断できない
㉓ 福川律美 16713 岡山 懲戒処分はナシ 9億円詐欺横領 懲役14年
(報道2012年12月)
弁護士が判決文変造 岡山弁護士会が容疑で告発
岡山弁護士会は10日、民事訴訟の判決文の記載を書き換えるなどしたうえで訴訟の依頼人に渡すなどしていたとして、同弁護士会所属の福川律美弁護士(65)を公文書変造・同行使などの疑いで岡山地検に告発した、と発表した。福川弁護士を巡っては、顧客からの預かり金を清算しないなどのトラブルで、この3年間に年10件以上の相談が同弁護士会に寄せられているという。地検は同日、岡山市北区の福川弁護士の事務所を捜索した。 同弁護士会によると、福川弁護士は、交通事故に伴う民事訴訟の判決文に記載された事件番号、判決日などを勝手に書き換えていたという。 この裁判は2007年10月に原告が勝訴して、2300万円の支払いが認められたが、控訴審は3500万円の支払いで和解。同弁護士会は、福川弁護士が文書の書き換えによって原告への支払いを遅らせ、差額の1200万円を流用した可能性があるとみている。
㉔ 大塚隆治弁護士の懲戒処分の要旨
偽の離婚届を出すときに『おれが真似て書きましょうか』と発言した。
1処分を受けた弁護士 大塚隆治 登録番号 30288
2【処分の内容】 戒 告
3 処分の理由の要旨
(1)被懲戒者は懲戒請求者からその妻であるAとの離婚事件を依頼されて処理するに当たり、2013年9月21日Aが成年後見人を選任しなければならない状況であることを認識しAに対しAは懲戒請求者と離婚した旨の虚偽の事実を伝えて離婚届用紙に署名させようとした。
(2)被懲戒者は同日、Aが上記離婚届用紙に署名しなかったことから
懲戒請求者と協議した際、Aの署名について「おれが真似て書きましょうか」と発言をした。処分の効力が生じた日 2015年3月31日
2015年7月1日 日本弁護士連合会
㉕ 判決文偽造 有罪判決 2017年7月4日 堀江幸弘弁護士(兵庫)
判決文偽造し依頼者に渡す…弁護士に有罪判決
2017年07月04日
小倉哲浩裁判長は「司法への信頼を大きく損なわせる悪質な行為」と指摘した。
判決では、堀江被告は自治会から土地の所有権移転を求める訴訟を起こすよう依頼されたが、放置。その発覚を免れるため、今年3月、同地裁社支部と大阪高裁の判決文各1通をパソコンで偽造し、自治会側にファクスで送信した。
引用 読売新聞
弁護士が書面等を偽造した事件の報道